ツーリング日和20

 あれこれ将来に夢見ていたマナミが最後につかんだ夢は平凡な結婚。やっとつかんだと思ったのですが結果は最悪。修羅場の離婚騒動の末にバツイチ。独身に戻ったマナミはツーリング小説に影響されバイク女子を目指します。

 苦心惨憺して小型免許を取り、出かけたツーリング先に出会ったイケメンに心が動きます。ただなんとその相手はマナミをバイク女子にした作者だったのです。

 不思議に好意を持たれツーリングを重ねます。ただマナミにはバツイチ以外にもコンプレックスがテンコモリありました。そんなマナミを後押しする友人のサヤカ。二人の恋の行方はどうなるのか。

ツーリング日和20 あとがき

ツーリング小説を書いているつもりなのですが、なにぶんシリーズが長くなり過ぎまして、ツーリングはサイドでラブロマンスがメインになってしまっているのは御愛嬌です。もう一回のツーリングで長く行けるところが思いつかないぐらいです。 それでもツーリン…

ツーリング日和20(第35話)そして・・・

その夜に告白されて結ばれた。と言ったら愛想がないけど感動と試練の一夜だった。告白があるのはどこかで予感してたけど、現実となると信じられないとしか言いようが無かったもの。 瞬さんの想いはサヤカが推測した通りだった。マナミと逢えば逢うほど魅かれ…

ツーリング日和20(第34話)ノスタルジー

宿の名前は紅葉館別庭あざれってなってるけど、さっきの元湯にくらべたら腰が抜けそうな高級旅館だ。なんていうかな、上に積みあげたような大旅館じゃなくて離れを繋ぎあわせたような平べったい細長い作りの気がする。 中もシックで上品だ。部屋に案内されて…

ツーリング日和20(第33話)武田尾ツーリング

地図も見てたけど、武田尾なんてどうやってバイクに行くのだろうって思ってた。だって宝塚あたりから行けそうな道なんてないんだもの。昔は武庫川の河原を歩いたのかもしれないけど、そんなところをバイクで走れるはずないじゃないの。 そう思ってたら、なん…

ツーリング日和20(第32話)突っ込んだ話

そこから瞬さんの話になったんだけど、次のツーリングを悩んでるって相談したんだ。次は武田尾ツーリングなんだけど、瞬さんは泊りにするって言うのよ。この話を聞いた頃は、瞬さんの気持ちがライクだと見切ったつもりだったからホイホイ受けたのだけど、サ…

ツーリング日和20(第31話)女も男も灰になるまで

そこから話は果てしも無く脱線した。サヤカも同い年だからアラフォーなんだけど、あれっていくつまで出来ると言うかするものなんだって話になったんだよ。その昔、貝原益軒が自分の奥さんに聞いたそうだけど奥さん曰く、『女は灰になるまで』 こればっかりは…

ツーリング日和20(第30話)心遣い

この世になんにでもマウントを取りたがる人種はいる。たとえば結婚時代のクソ姑だ。嫁にマウントを取って支配するのが生きがいみたいだったもの。あんなことして、後がどうなるかぐらい・・・わかってないだろうな。クソ姑の事はもう完全に赤の他人だからどうで…

ツーリング日和20(第29話)乃井野陣屋

武田尾温泉の話も出てるけど今日は乃井野陣屋へのツーリングだ。これは今まででも最長のツーリングになるはず。だって波賀城のさらに西まで走るんだもの。そう考えると兵庫県も広いと思った。そこまで行ってもまだ県内だものね。 コースは山崎までは波賀城の…

ツーリング日和20(第28話)意外な話

そうだそうだ、この際だから聞いてやれ。サヤカは瞬さんの事をどう思ってたの。「完全に恋愛対象外。部下としては欲しいけど、あんなのと結婚して夫婦なんてやれるものか」 即答かよ。でも似た者同士でお似合いだと思うけどな。「どこがだよ。秋野瞬はカマイ…

ツーリング日和20(第27話)こいつらバケモノか

今日はサヤカと夕食だ。「カンパ~イ」 あれこれ話をしたのだけど、イズミのとこの話もしたんだ。「そんな事があったんだ。でもそれが正解じゃない。その手の店が生き残るのは難しいよ」 それで瞬さんが悔しがっていた話をした時にサヤカの目の奥がギラっと…

ツーリング日和20(第26話)真実は苦いかも

帰り道で瞬さんに聞いたのだけど、「いくつか対策を用意していたのだけど、まさかああなるとは・・・」 まずイズミの旦那さんの腕は一流としてた。「朱雀園の桑島さんに昔聞いたことがあったんだ」 桑島シェフは名人とか達人とも呼ばれるけど、一方では地獄の閻…

ツーリング日和20(第25話)アドバイス

家に帰ったからもイズミの店のことを考えていたのだけど、なんにもアイデアは浮かんで来ないのよ。だったら誰かに相談するのはありだけど、経営のことならサヤカはいるにはいる。だけど頼みにくいのよ。 そりゃ、サヤカならカネ持ってるし、カネに物を言わせ…

ツーリング日和20(第24話)相談

「この辺もお店が増えたじゃない」 それは走って来たから知ってるよ。高校の頃に比べても増えてるよね。それもちょっとオシャレそうな店も出来てる。「銀将も出来てたでしょ」 あったな。あのチェーンは大きいけど、こんなところにも出来てるのにちょっと驚…

ツーリング日和20(第24話)旧友の問題

今日は高校時代の友だちのイズミの店に来てる。ここも懐かしいな。高校の近くにあるのだけど、良く食べに行ってたんだ。いわゆる町中華だけど、ラーメンとかチャーハンとか良く食べてたもの。ギョウザもなかなかなんだ。 花の女子高生に中華はちょっとミスマ…

ツーリング日和20(第23話)温泉話

武田尾って具体的にどこにあるかだけど宝塚の北側の山の奥なんだ。あの辺の地形を大雑把に言うと宝塚ぐらいまでが平地で、その北側ぐらいから山地になるぐらいで良いと思う。ここに温泉があるのだけど見つかったは寛永十八年っていつなんだよ。 西暦なら一六…

ツーリング日和20(第22話)花見

楽しい夜の食事だったけど、あははは、なんにも起こらなかった。バーで飲んで電車で帰っただけ。あれからも何回か行ったけど、メシ食って、酒飲んで、楽しいおしゃべりをしてサヨナラだ。 二人の間の距離こそ縮まったけど、ハグやキスどころか手さえつないで…

ツーリング日和20(第21話)もう一杯

スペイン料理を満喫したら予想通り、「せっかくですから、もう一杯いかがですか」 来たぁって思った。もちろん待ってましただ。その先だって準備万端だぞ。なんだって来てみやがれ。スペインバルを出て東門街を少し上がり、右に入ったな。でもって次の角も右…

ツーリング日和20(第20話)パエリア

食べて飲んで堪能してたのだけど〆が欲しいかな。そしたら出てきたのがパエリアだ。パエリアぐらい知ってるけど、スペイン人も米を食べるのだな。「良く食べるようです。スペインに米料理を持ち込んだのはムーア人だとされていますが・・・」 ムーア人ってムー…

ツーリング日和20(第19話)スペインバル

ツーリングの天敵は都市部の市街地走行だけど、他にも天敵がいる。それは季節だ。とにかく体を剥き出しにして走るのがバイクだから夏は照り焼きになるかと思うほど暑いし、冬は冷凍食品の気持ちが良くわかる。 そんな季節をものともせずに走るのもいるけどマ…

ツーリング日和20(第18話)カマイタチ

今夜はサヤカと夕食だ。「やっぱりそれ狙いだったんだ」 なにがやっぱりだ。バイクに乗ったのはツーリングを楽しむのが目的で男をハントするためじゃないぞ。あれはたまたまツーリング先で出会いがあって、そこからたまたまで付き合いが続いてるだけなんだ。…

ツーリング日和20(第17話)バケモノ燃費だろ

目的の波賀城も見れたから帰るのだけど、来た道って都市までいかなくても市街地走行が多かったのよ。来た時は朝早くからだったから空いてたけど、今からなら混みそうなのがちょっと憂鬱だな。だってあの距離だもの。「それはボクもそうです」 あれっ、まだ一…

ツーリング日和20(第16話)波賀城

あれからも何度も秋野先生はツーリングに連れて行ってくれたんだ。秋野先生って呼び方も嫌がられて、嫌がられて今では、「瞬さん」 こう呼ばせてもらってる。なんが慣れないところもまだあるけど、名前呼びするだけで距離が縮まった気がしてる。言っとくけど…

ツーリング日和20(第15話)三木の殿様

金鑵城での取材が終わったらお昼ご飯にGOだ。こういう時に男とマスツーなのは心強いんだ。それも秋野先生と一緒だからどんな店だって遠慮なんかいるものか。「そうでもないですよ」 金鑵城から県道七十九号線に出てひたすら北上してた。かなり走ったけど、…

ツーリング日和20(第14話)金鑵城

ありえないと思っていた連絡が秋野先生からあったのには腰が抜けるほどビックリした。誰かの悪戯だと思ったもの。内容はマスツーへのお誘いだ。どうしようか悩んだけど、どう考えたって乗らない手はないだろ。 待ち合わせをしたのだけど、本当に来てくれるの…

ツーリング日和20(第13話)まさかの人

男は一流企業のエリートだったようだ。いわゆる同期の出世頭で、期待のホープとか、次代を背負うとされてたぐらいかな。イメージだけはマナミでも出来る。「あの頃は出世レースに血道を挙げてたのですが・・・」 この辺は会社によって変わるのだろうけど、出世…

ツーリング日和20(第12話)福住

ちょっとだけときめいた蕎麦屋だったけどもう会えないだろうな。まずだけどあの男が次に目指すのは九分九厘篠山だ。ここからならそうなるはずだ。だから再会を目指して篠山に向かうのはありだけど、まず篠山で再会できるかはある。 そんなに大きな街ではない…

ツーリング日和20(第11話)蕎麦屋の出会い

バイクのツーリングは走るのがとにかく楽しいし、実際に走るだけのツーリングをしている人もいるぐらい。とはいえ、ツーリングだって目的地を普通は設定する。どこそこに行こうとか、そこで何かを見るとかだ。 そんな中でお昼ご飯をどうするかも出てくる。別…

ツーリング日和20(第10話)納車だ!

サヤカに免許が取れたって報告したら、「やっとなの。もうあきらめたかと思ってた」 うるさいわ。どれだけ苦労したと思ってるんだ。これこそ血と涙と汗の結晶だ。「血も流したってことは、転んだの?」 うっ、急制動でやらかした。結構痛かったし、擦りむい…

ツーリング日和20(第9話)免許への道のり

その場でオーダーしたけど店長さんから、「納車は時間がかかりまっせ」 半年ぐらいは覚悟しないといけないみたいだ。バイクってそんなに手に入れるのに時間がかかるものなのかな。ひょっとしたら受注生産だとか。「そうやのうて人気があって生産が追い付いて…

ツーリング日和20(第8話)バイク女子になるぞ!

今日はサヤカに相談と頼みがあって会ってる。「バイク女子ねぇ・・・」 あきれたように答えるな。女がバイク乗って何が悪い。「マナミに似合ってない」 バイクに乗るのに似合うとか似合わないなんか・・・無いとは言えないだろうけど、そもそも似合う女ってどんな…