天使と女神シリーズ3 女神伝説第1部
新入社員のミサキが気になるのは社内の二人の天使部長。やがてその二人に目をかけられ、謎めいたイタリア出張に。そこでミサキが体験する信じられない出来事。そして帰国したミサキに待ち受ける運命とは。 |
読めばそのままですが、『天使のコトリ』の続編です。『天使のコトリ』の時にボカしたというか、あの時に構築しきれなかった謎解き編ぐらいの位置づけとすれば良いでしょうか。かなり伏線を『天使このコトリ』の時に残しておいたつもりでしたが、実際に書き…
「カランカラン」 コトリ部長の好きなバーで、木製のドアにカウベルが付いています。今夜はコトリ部長と二人で飲みに来ています。あれこれ話をしていたのですが、 「ミサキちゃん、面白い昔話をしてあげる。完全に理解するのは難しいかもしれへんけど、五千…
退院したもののしばらくは、さすがのコトリ部長も不調で、 「どうにも疲れやすくてアカン、やっぱ歳かな」 こうやってボヤいておられましたが、徐々にエンジンが温まってくるといつものペースに戻られました。溜まっていた仕事も見る見るこなしてしまわれ、…
帰りのエレベーターに乗り込み、扉が閉まった瞬間にコトリ部長はエレベーターの壁にもたれかかられました。 「だいじょうぶですか、コトリ部長」 「だ、だいじょうぶ、かな。やっぱりマンチーニ枢機卿みたいな雑魚とは桁が違いすぎたわ。よく無事で帰れたと…
ミサキはコトリ部長とシノブ部長に一緒に行くとは宣言しましたが、最後の最後まで置き去りにされるんじゃないかと心配でした。でもちゃんと迎えに来てくれました。ミサキはマルコからもらった二つの宝物のネックレスと指輪をつけて、 「マルコ、ミサキを守っ…
「マルコ、ミサキのことを愛してくれてる」 「当たり前じゃないか、ミサ〜キはボクの太陽、ボクの女神、ボクの天使、ボクのすべて、地球のすべて、宇宙のすべてだよ」 毎度のことながらマルコの表現は大げさですが、その言葉通りに愛してくれてるのは、もう…
コトリ部長とシノブ部長が、エライ気合で人数を集めた歴女の会は大盛り上がりでした。歴女の会は名前の通り女性だけの会なのですが、今回は特別にゲストとして男性も参加しています。マルコやマルコの工房のお弟子さんも呼ばれていますし、シノブ部長の旦那…
「カランカラン」 カウベルが鳴る木製の扉を開けるといつものバーです。 「コトリ先輩、ホントに良かったのですか」 「後悔してないよ。あの二人は結ばれる運命にあったんだよ。今のコトリには、はっきり見えてるの」 「でも・・・」 「そうね、なかなか上手く…
首座の女神のユッキーさんに会いに行く話はとりあえず保留になりましたが、次にコトリ部長がミサキに持ちだしてきた話はわたしを混乱に叩きこみます。コトリ部長は次の缶ビールを開けながら、 「ところでミサキちゃん、マルコと上手くやってる」 「はい、な…
どこかのお店に呼ばれるかと思っていたら、コトリ部長の部屋に招待されました。 「ピンポン」 「ミサキちゃん、待ってたよ」 部屋に案内されるとシノブ部長は先に来てました。テーブルにはイタ飯の数々、 「シノブちゃんと頑張って作ってみたの」 これはイタ…
マルコ氏の工房も半年ぐらいする頃には軌道に乗ってきました。マルコ氏は弟子たちの技術進歩の階級をABCの三段階に設定しています。セリエCは見習いクラス。このクラスでも他のジュエリー店では十分に一人前レベルなのですが、エレギオンでは話にならな…
今日は久しぶりにマリちゃんと晩御飯。ミサキもイタリア行ったり、マルコ氏の工房の立ち上げにかかりきりになったり、さらに新しい天使ブランドへの参加で忙しく、マリちゃんに会うのも久しぶりです。 「遅くなったけどイタリアのお土産」 「ミサキちゃん、…
コトリ部長はイタリアからの帰りにも時差ボケ対策をあれこれやってましたが、 「だから時差って嫌い。どうしたって残るんだから」 ボヤキながらイタリア出張中に溜まりに貯まった仕事の山を片付けていました。シノブ部長も同じだと思います。ミサキは報告書…
長かったイタリア視察旅行も終り、帰りはフィウミチーノ空港からエール・フランスでシャルル・ドゴール空港を経由して関空です。エール・フランスにしたのは、結果的に座席の確保の問題もあったのですがシノブ部長が、 「さすがにイタ飯飽きたから、せめてフ…
部屋に帰るとコトリ部長は、 「シャンパン飲みたい。ホント聖職者と飲む酒は愛想無いから嫌い」 ルームサービスで運ばれてきたのはフランチャコルタ。イタリアでも最高級のスパークリング・ワインです。 「今夜は教皇庁の奢りだからリッチしようね。じゃあ、…
翌日はシラクサで観光三昧。コトリ部長とシノブ部長は、 「お土産」 「ワイン」 「イタ飯」 で大騒ぎ状態です。夕方になりホテルに帰ってみると、ミサキたちを待っていた人物がいます。会ってみると教皇庁の職員だと名乗り、 「無理を言って申し訳ありません…
シチリアのエレギオン人は五人の女神の公開処刑を見せつけられました。この公開処刑の後、二度とエレギオン人の下に女神が現われることはありませんでした。自分たちが女神を守り切れなかった事を深く後悔しながら暮らすことになります。 歳月は流れ、女神の…
エレギオンの始まりは伝説の彼方ですが、プラトンのアトランティスとの関連は薄いと見て良さそうです。ティマイオスやクリティアスでは、エジプトではネイト神がサイスの街を八千年前に作り、ギリシャではさらにその千年前にアテナ神がアテナイの街を作った…
昼が過ぎ枢機卿の随員からパンを頂きましたが、まだコトリ部長は教会から出てきません。遅れてくるはずのシノブ部長も来ません。じりじりする時間だけが過ぎていきますが、待つしかありません。そこに一台のタクシーが。下りて来たのはシノブ部長です。とに…
タクシーで地図の示す場所まで一時間。街外れにぽつねんとその教会はありました。外から見ると特に目立つような特徴はありませんがコトリ部長は、 「見事に同じだぁ」 神戸の聖ルチア女学院に存在した天使の教会と瓜二つと仰ってました。 「これは外見も意味…
ヴェネツィアからシラクサの移動はまずはテッサレ国際空港に行くのですが、 「絶対水上タクシーで行くの」 お二人の観光気分は徹底するとこうなると良くわかりました。テッサレ国際空港からはボロテア利用で一〇時発。一時間四十五分のフライトでシチリアの…
遊びまくるコトリ部長とシノブ部長でしたが、ミサキはシラクサへの航空便の手配とホテルの確保もやっていました。そうやって迎えたヴェネツィア最後の夜ですが、 「ワイン」 「イタ飯」 これでスタートです。もういい加減、味噌汁に白御飯が懐かしくて仕方が…
ヴェネツィアでの初日はジュエリー店巡り、いつもの通りに快調に却下の山を築いて終了です。夜は夜で、 「ワイン」 「イタ飯」 ですが、いつも以上に盛り上がってます。 「コトリ先輩なかったですねぇ」 「そうよね、ムッソリーニの下から逃げたエレギオンの…
視察旅行は続きます。ミラノを皮切りに、トリノ、ジェノバ、ボローニャ、フィレンツェ、ローマ、ナポリ。コトリ部長もシノブ部長も疲れを知らないというか、よくあれだけ毎日パワフルでいられるものかと思われるほど精力的に回られます。ただなんですが、観…
コトリ部長は、 「時差ボケが・・・」 こう愚痴ってましたが、朝はノンビリしてました。今回の目的はジュエリー・ショップ探しですから、店が開かないと仕事が始まらないからです。今日の予定を三人で確認してからホテルを出発です。出発前にコトリ部長もシノブ…
関空からルフトハンザでまずはフランクフルトに出発。関空は一〇時出発ですが、フランクフルトまで約一二時間、現地時刻の一五時ぐらいに到着予定です。機体は747、いわゆるジャンボです。ビジネスクラスは一階と二階に設定されているのですが、今回は二…
視察プランについては、 「ミサキちゃん、頑張ったわね」 コトリ部長に合格をもらいました。修正点はいくつかありましたが、 「ホテルも一緒で、部屋のランクも同じでね」 重役とヒラでは出張旅費が違いますから同じランクの部屋に泊るとわたしの持ち出しが…
コトリ部長に呼ばれたのですが、 「ミサキちゃん、イタリアは来月に行くことが決まったわ」 ついにあの話の日程が決まったようです。 「行くのはコトリとシノブちゃん、そしてミサキちゃんの三人よ」 「たった三人ですか」 「そうよ、こんなもの数いたって無…
「今夜、空いてる」 コトリ部長から誘われて和食屋さんに、店に入ると、 「ミサキちゃん、こんにちは」 シノブ部長が待ってました。話はイタリア旅行というか、出張視察が決まったとのことです。 「一か月で粘ったんだけど、三週間で押し切られちゃった。で…
会議室にはブライダル事業部の主要メンバーがそろってます。本部長の副社長が、 「・・・やはり次の展開としてアクセサリー部門の強化充実は必要なのは、皆の共通認識である地点から話を進めたい」 輝く天使・微笑む天使の天使ブランドの成功はクレイエールにし…