続々バイクも恋も若葉マーク(第9話)ラスボス完了形

 英語の授業ってたしか、現在形から始まって、過去形、未来形って覚えて行ったと思うんだ。それぐらいしか教えようがないとは思うけど、

「そこにラスボス現在完了形が乱入してくる」

 そんな感じ、そんな感じ。あれってどんな感じで教えられた?

「えっとえっと、たしか『~したところ』ぐらいだっけ」

 カノンもそんな感じ。おぼろげに理解したのは、現在形でも過去形でもない謎の代物だ。その謎の正体もわからないうちに、

「過去完了とか、未来完了とか湧いてきて、やがて成長しまくってテストの魔王として君臨する」

 だったよね。教師だってひたすら時制の一致がポイントだって言うだけで、こっちが悪戦苦闘の末に覚えたのは、

「テスト的にはこうするものだのパターン暗記だったよ」

 ミルもそうだったのか。謎の暗号解読みたいな状態になってたものね。あれってさ、英語と言う言語の基本骨格の一つらしいのよ。日本語だってそういう部分もあるし、日本語にも完了形の表現はあるけど、母国語だから意識もせずに使ってるぐらいかな。

「はぁ、日本語にも完了形があるって言うの!」

 この辺を理解しようと思ったら、英語での時制とはなんだかを知らないといけないけど、教師もエエ加減だった気がする。この辺は教わる方だって完了形アレルギーがバリバリだったのもあると思うけどね。

 英語ってね、どの時間体系で話しているかを、はっきりさせる言語だと考えるのが良いみたいなんだ。英語の時制も現在、過去、未来なんだけど、この三つの時制はまったく別物だと考えると良いぐらいかな。

「わからんぞ」

 そんな簡単にストンと理解出来たら、あんなに苦労するもんか。三つの時制は、そうだな、英語では完全に独立した時間空間と考えれば良いかも。

「そしてミルは時空の旅人になった」

 カノンもそうだって。話を現在形にしようか。現在時空で話をしてるのだけど、現在時空の話でも過去が存在するぐらい。

「過去は過去じゃない」

 そうなんだけど、たとえば大学でミルに会って話をしてるとするじゃない。その時って現在時制の時空で話をしてるだろ、

「危なくなって来たけど、とりあえず先に進もう」

 そこで朝ご飯は何を食べたって聞くとするじゃない。それがパンだったら、『パンだった』って答えるだろうけど、パンを食べたのは大学で会う時より前の話になるじゃない。

「当たり前だ。朝食を食べたのは大学に来る前だもの」

 だから大学でミルと会話してる現在より前の出来事になるけど、英語の時制では過去じゃないのよ。現在時制の時空の中に含まれる過去になるぐらい。

「この話をやめようか」

 気持ちはわかる。カノンも解説動画を見てもなかなかピンと来なかったもの。現在、過去、未来の三つの時制だけど、過去とか、未来は時間の幅があるのはわかるでしょ。

「それぐらいはわかるよ」

 過去がわかりやすいけど、高校時代の話だけでも三年分ぐらいあるものね。これが現在時制でもあるのが英語なんだよ。ミルも現在と繋がってる過去って説明を聞いたことがないかな。

「訳ワカメだった」

 カノンもそうだった。言いたいのは現在時制の時空も、過去に広がってるのが英語なんだ。

「えっと、えっと、現在って時間軸の一点じゃないの?」

 あれも教え方が悪いと言うか、ああなってしまうのだろうけど、時制を教える時にこんな感じで一本の時間軸を使うことが多い気がする。あれって何本も使ったら教わる方がかえって混乱するからかもしれないな。

 一本の時間軸で英語の時制を説明するんだったら、時間軸にこんな感じで丸を書いたら少しはわかりやすくなるかも。この丸で囲った範囲が、現在時制の時空になるぐらい。この丸で囲った範囲は現時点からどれだけ過去であろうが、すべて現在時制の時空になるのが英語だ。

 朝食にパンを食べたのは現時点より過去だけど、時制空間としては現在なんだよ。だけど現時点からみれば既に終わってる出来事じゃない。だけどあくまでも、現在時制の範囲に含まれる出来事になるのが英語だ。

「うんと、うんと・・・」

 じゃあ、野球の喩えにしよう。打者が打ったボールを野手が捕るプレイだ。この時だけど、野手がボールを捕ったのが現時点だ。そこから見ると打者のバッテイングは既に終わってることになる。

 捕球時の現時点より前だから過去にはなるけど、これを過去形とするのはおかしいぐらいの感覚だと言えば良いかな。それこそ今打ったところのボールを野手が捕った事になる。これに投手を加えてもそうだろ。

「まさに『~したところ』の連続動作だものね。そっか、現在形にも過去に幅があるってそういうことか。一連のプレイは現在時空の話だけど、その中でも順番と言うか前後関係があるものね」

 現時点から見たら打つは前の動作だけど、これを過去形にしてしまうと、この打者はかつて打ったことがあるになってしまうぐらいのはず。だから現在時空の中で先に完了している動作って意味で使ってるはずなんだ。

「じゃあ、打者が前の打席でホームランを打ったは?」

 それも完了形のはず。ここで過去形を使うと、その試合じゃなく、かつてホームランを打ったことがあるになるはずだ。野球のたとえの現在時空は、少なくともその試合ぐらいは含んでるはずなんだ。

 その延長線の話が朝食の喩えになるぐらい。大学で会った時より一時間ぐらい前の話だけど、話してる時空はあくまでも現在なんだよ。ただね、ミルも苦労したと思うけど、日本語には英語みたいな明瞭な完了形はないのよね。

 日本語では投げた、打ったは過去形じゃない。だけど英語教育的には一緒したらダメのはず。過去形の投げた、打ったで良いとしたら、教わる方は過去形だと思い込んじゃて、区別がつかなくなるでしょ。だから英文和訳として別の表現を求められたぐらいだと思うんだ。

「言われてみればそうだ。けどさぁ、野球の喩えなら『~したところ』は使えても、朝食のパンの喩えで『~したところは』は無理があり過ぎる」

 日本語感覚として、一時間前に食べた朝食を『~したところ』は無理があり過ぎるものね。日本語では文脈で過去形か完了形かを区別してるぐらいじゃないかな。

「過去完了を大過去とも習ったけど、大過去っていつの時代だと思ったもの。ミルなんかティラノサウルスがウロウロしてるのが思い浮かんだぐらい」

 カノンもそうだった。古代文明の時代じゃないかと思ったもの。そんな程度の理解で、完了形を過去形表現じゃない和訳にしろってのは無理難題も良いところだったよね。

「カノンの説明で日本語にも完了形みたいな表現はあるのはなんとなくわかったけど、英語の完了形を現在形でも、過去形でもないものとして日本語にしろとか、理解せよは無理難題も良いところだよ」

 カノンもそう思った。中学生でこんな代物を突然みたいに教えられても、ひたすら謎の怪物になり、苦しめまくられた。とは言えだ、

「そうなのよね。中学生の時点でカノンの説明を聞いてもサッパリわからないよ」

 カノンもそう思う。なんとか怪しげでも完了形の解説が理解できたのは、ここまで散々苦労させられて、おぼろげでも問題点がわかっていたからだもの。

続々バイクも恋も若葉マーク(第8話)do動詞の謎

 カノンもミルも読むぐらいならなんとか出来る。あくまでもなんとかレベルだけどね。

「話す聞くはスマホのアプリに任せた」

 あれ良く出来てるよね。あれってこれからもっと、もっと進化するはずだけど、現実は英語が必要だ。高校受験にも、大学受験にも必要だったから必死になって覚えたけど、

「未だに謎が多すぎる言語だよ」

 カノンもそうだよ。なんかさ、英語を覚えたと言っても、受験技術のパッチワークをしただけと思うのよね。

「do動詞ですらbe動詞とは違うぐらいしかわかんないじゃない」

 カノンもそうだった。だってさ、do動詞には動詞としてのdoまで出て来るから余計に混乱させられた。そしたらね、ユーチューブで面白い動画を見つけたんだ。

「よくそんなもの見る気になったね」

 そうなんだけど、見てると解説も面白いし、カノンがずっと謎だったことがやっと理解出来た気がしたんだ。ミルはさ、do動詞の疑問文って不思議と思わなかった?

「あれも謎ルール過ぎるよ。だってさ、疑問文になったら三単現のSも過去形もなくなるってなんなのよ」

 疑問文の基本は動詞が先に来て主語になるじゃない。これはbe動詞も同じなんだけど、そもそもdo動詞ってなんだって話になるぐらいかな。あれってさ、名詞を動詞として使ったものぐらいで良いはず。

 たとえばloveって言葉があるだろ。あれは動詞して使えば愛するだけど、名詞として使えば愛になるじゃない。あれって元は名詞としての愛で、それを動詞として使ったものぐらいで良いらしいんだ。

「そうだったのか。どうして動詞も名詞も同じなのがずっと不思議だった」

 カノンもだよ。だから名詞として使う時には冠詞を付けるのじゃないかな。そこは良く知らないけど、この名詞を動詞として使う時のルールが名詞の前にdoを付けるんだって。だからdo動詞って言うらしい。

「ちょっと待ってよ。それだったら、大元はI love youじゃなくて、I do love youだったの!」

 そうらしい。けどさ、いっつもいっつも、名詞の前にdoを付けて話すのが面倒だからって、肯定文の時はdoを省略しちゃったんだってさ。その時に三単現のSとか、過去形表現が必要になり、動詞化された名詞をそうしたからdo動詞って言うみたい。

「えっとえっと、それってもしかしたら、She loves meはShe dose love meでShe loved meはShe did love meだったって事なの?」

 それで良いはず。語尾変化するのは動詞だからね、do動詞って、名詞の前にdoを付けることで名詞を動詞として使うアイテムだもの。この大元のルールが疑問文の時に不死鳥の様に蘇えるぐらいだよ。

「そうだったのか。それなら最初からそう教えてくれたら良かったのに」

 その気持ちは今ならわかるけど、疑問文も過去形も中学で覚えるじゃない。あんな怪しげな英語知識の段階で教えられたって余計に混乱した気がする。だからdo動詞の疑問文はとにかく文頭にdoを付けて、動詞の三単現のSとか過去形を取っ払うって教えたと思うんだ。

「大元の用法だったら、あんなに苦労して過去形の語尾変化を覚える必要なんてなかったのに」

 それはカノンも思った。だけど現在の英語はそうなってるから仕方ないじゃないの。せめて高校ぐらいで教えてくれても良かったかな。だって、その手の動詞の語尾変化ってテストで必ずってぐらいトラップにするもの。

「そうだよ、そうだよ。なんか地雷原の中を歩いてる気分になったもの」

 教師がそこまで教えなかった理由なんてわかるはずもないけど、その手の文法って中学レベルじゃない。だから問答無用で英語とはこういうルールだって覚えこませたら実用的には問題無いぐらいが一つあると思う。

「それはそうかも」

 もう一つは教師ですら知らなかった可能性だ。英語教師って英語が得意な人がなるはずじゃない。だからdo動詞の用法の大元なんて知らなくても困った事すらないと思うんだ。結果は同じだけど、つべこべ考えずに英語とはこういう言語だから覚えろって感じかな。

「英語が得意な人なら、それぐらいは単純なルールとか基礎の基礎みたいなものだろうな」

 実際も基礎の基礎だものね。それとさ、たしかに中学、高校と膨大な英語の授業数はあったけど、教える側からすれば少ないと思うんだ。そんなルーツ的な話を教えるより、他の構文とかを教えるのに手いっぱいぐらい。だって高校英語の目標って、表向きの理由はさておき、

「高校によって違うだろうけど、入試英語レベルにする事だよね」

 入試に必要だからカノンやミルも必死になって英語ルールを覚え込んだだろ。でもさぁ、そうじゃなくて高卒就職組だったりしたら、

「三単現のSで躓いてそのままなんてゴロゴロいたよ」

 学校の英語授業の目標はネイティブと英会話が出来る事になってるけど、あれって無理あると思うんだ。たとえばさ、ミルが英会話をどうしても必要な時はどうやる?

「どうやるって言われても困るのだけど、そうだね、まず聞き取れた英単語を頭に並べて行って、そこから英文和訳をして、そこから日本語の返答を考えて和文英訳するぐらいかな」

 カノンだってそうだ。でもそんなレベルでネイティブと英会話なんて出来るはずがない。スムーズに英会話をしたいのなら、英語をそのまま英語で理解し、英語で考えて返答できるレベルが必要だと思うんだ。

「そんな事が右から左に出来たら誰も苦労するものか」

 それぐらい日本語と英語って異質だものね。だからだと思うけど、アメリカとかで長く暮らしてる人って日本語を忘れるって言うじゃないの。日本語はさすがにネイティブだから聞いたままに理解できるけど、そこからの返答が日本語じゃなくて英語で出て来る感じじゃないかな。

「英語で思い浮かんだ返答を日本語に翻訳する時に躓くのか」

 根本的には日本にいる限り、日本語だけで何の不自由もないのが大きすぎる。ネイティブの人と楽しく会話出来たら良いぐらいの価値しかないもの。妙な言い方だけど、英会話が出来ないと生きていけない世界とは遠すぎる。

「そうだよね、英会話能力をブラッシュアップする環境なんて皆無だ。なんでもそうだけど、使わなければ衰えるだけ」

 使わなければ衰えるのは英語だけじゃないものね。あれだけやらされた数学だって、実際に使っているのは小学生レベルだと思うよ。

「そうだよね。サイン、コサイン、タンジェントなんか未だになんのために使うかわかってない」

 電卓で計算できる程度ぐらいで十分で、大学入試レベルは論外としても、高校入試の数学だってもう解けるものか。

「無理無理、絶対無理」

 英会話がスマホのAIに早くなって欲しいよ。

「do動詞の話は目から鱗だってけど、ラスボス完了形もその解説動画にあったの?」

 あったけど聞きたいの。あれは未だに生煮えなんだけど頑張ってみるか。

続々バイクも恋も若葉マーク(第7話)ゼミ

 バイク女子だけど冬のツーリングはお休みだ。理由はひたすら寒いから。バイクって走ってると、それこそ全身が凍え上がるのよね。いくら着込んだってどこかが冷えるなんてレベルじゃない。

「通学だけで限界だよ」

 あちこち冷えるけど、ミルならとくに指先だ。冬用のグローブをしてたって、学校に着く頃には白くなってるもの。顔も辛いなんてものじゃない。と言う訳じゃないけど、今日はミルの下宿で定番の鍋料理だ。今日はなんだ、

「まずだけどキャベツと豚バラ肉を適当に切る」

 見るからに適当だな。

「これはダシ汁に秘密があるのよ」

 お水に塩と醤油に鶏ガラスープの素を加えて、はぁ、そこに牛乳ってだいじょうぶかよ。

「沸騰したら具材を放り込んで蓋だ」

 茹で上がったら、

「これが決め手のごま油」

 食べてみたら美味しいじゃない。これも簡単そうで安そうだから、カノンも試してみよう。冬はコタツを囲んでの鍋料理が最高だものね。あれこれ話は出たんだけど、いつしか学校の話に。四月になれば三回生になるけどゼミも始まるのよね。

「先輩たちにも聞いたけど、ゼミってもう一つわかんないのだけど」

 ゼミはゼミナールを短くしたものだけど、少人数制のグループ授業みたいなものらしいよ。

「それって代々木ゼミとか、進研ゼミの少人数制の講義ってことよね」

 代々木ゼミも進研ゼミも行ったことないから知らないけど、ちょっと違うはず。ゼミナールって日本語にすれば演習になるらしいけど、

「自衛隊が富士山麓で大砲をぶっ放すやつ」

 そんな事をしてどうするんだよ。講義ってさ、教壇の前にいる教授の話を聞くものだろ。高校までの授業の拡大版みたいなものだ。

「それの少人数バージョンって事よね」

 う~ん、なんか違う気がするな。ゼミだってあれこれあるんだろうけど、そうだな、講義って基礎を学んでいる段階ぐらいで、ゼミになるともっと専門的知識を深めるぐらい。

「なに言ってるのかわかんないぞ」

 カノンだってゼミ未経験者だって。それでもグループ研究みたいなものらしい。

「それって、中学とか高校でやった班研究みたいなもの?」

 あれも大学のゼミからのものの気がするけど、似てるけど違うはず。班研究ってさ、教師からテーマを与えられて班であれこれ調べたりするじゃない。

「そうなのよ。ミルの班にサボリがいてね・・・」

 それは長くなるから置いとこう。班研究だったら最後に班で研究成果の報告をするだろ。だけどゼミではグループで研究はするけど、発表は個人でになるらしい。この時に提出するのが卒業論文だって。

「過去問があれば楽勝だ」

 そうは行かないだろ。過去の論文の丸写しが通用するはずないよ。この辺はゼミに入ってみないとわからないよ。問題はどのゼミに入るかだよ。ここだって、こういうテーマをこの教授の下で研究したいって決めてたら良いだろうけど、

「カノンは決めたの?」

 大雑把ぐらいにはね。でもさぁ、ゼミもあれこれあるし、人気とか難度とかもあるじゃない。選ぶのは学生だけど、希望したゼミに必ず入れるものではないらしいのよね。どうしたって人気のあるゼミに偏るし、ゼミにも定員があるんだって。だから二回生までの成績を評価されたり、面接があったりするそうなんだ。

「希望していたゼミに入れなかったら?」

 その時は人数が空いているゼミになるんだろうな。だからどのゼミに希望を出すかもあれこれ駆け引きもあるみたいなんだ。それでもさ、大学ではゼミ仲間って大事って言うじゃない。同期だとか、サークル仲間もあるけど、ゼミ仲間も卒業後も繋がりがあることが多いんだって。

「それは聞いたことがあるよ」

 小人数だから交流は自然に深まるだろうし、同じ研究テーマに取り組むから仲間意識も強くなるぐらいじゃないかな。いわゆる同じ釜の飯を食った仲ってやつ。

「そこにロマンスだって生まれるはずよね」

 無ければウソだろ。前に学生ラブからの結婚の話題も出てたけど、ゼミ仲間から付き合いが始まるのは多そうな気がするもの。だからこれからが大学生活の本番かも。

「ゼミ旅行で恋の花が咲くだ。海とか行くのかな」

 それは研究テーマによると思うよ。それに旅行ってなってるけど、正式にはフィールドワークだ。

「網梯子を登ったりするやつ」

 あのね、それはフィールドアスレチックだって。レベルの低いボケだし、前も使ってたぞ。歴研の人もやってるだろ。大学の外に出て、実際に足を運んで調査したり、研究したりするものだよ。

「名所旧跡巡りも楽しいよ」

 だ か ら歴研では研究テーマが歴史だからそうなだけで、街でインタビュー調査をしたりみたいだよ。もっとも楽しい部分もあるみたいで、卒業してからもゼミ旅行の思い出話に花が咲くこともあるらしい。

 旅行って言うぐらいだから、泊まりになれば旅館だろうし、昼間はフィールドワークでも夜は親睦を深める場になってもおかしくないよ。もっともゼミ旅行もないところもあるらしいし、あっても日帰りもあるそうだよ。

「そこはバッチリ調べておかないと」

 ゼミ旅行で言えば、他の大学とも合同ゼミ旅行があったりとか、これはゼミ旅行じゃないけど一年上の先輩との交流ゼミもあるところはあるんだって。交流ゼミでは卒業論文への具体的なアドバイスとか、就活の体験談も聞けるとか。

 そうそうゼミは就活にも重要なところで、ゼミと言うか教授経由のコネルートもあるところはあるらしい。たぶん教授の教え子が重い地位に就いていたり、優秀な教え子を送り込んだ実績とかじゃないかな。

「教授と喧嘩したら大変だ」

 それどころじゃないだろ。そんなことしたら、卒業も出来なくなるよ。卒業論文の審査は指導教官がして、それをさらに教授がOKを出すらしいけど、教授と喧嘩なんかしたら通るものか。

「指導教官もそうよね」

 その辺は普通に真面目にやれば問題ないって先輩は言ってたじゃない。教授や指導教官だって学生を落とすためにいるんじゃなくて、無事卒業させたいって思ってるはずだもの。この辺は無暗に落第させたら指導力にマイナス点が付くんじゃないかな。

 山学では三年になればゼミ希望を出して振り分けが行われゼミも始まるのだけど、前期の間は講義も並行して行われるみたい。ゼミのみになるのは後期からみたい。

「最初は何からなの」

 ミルも一緒に聞いてたじゃないの。専門に入るためのさらなる基礎知識を付けるところから始まるみたい。教授から指定された文献とか、論文をひたすら読まされるんだってさ。それも読めばそれで良いってものじゃない。

「そう言ってたな」

 どう読んだとかをグループでディスカッションとかをするらしい。そうやって知識を深め合ったり、読んだ成果の発表をさせられたりもあるって言ってたじゃない。

「講義も並行してるから大変だったって言ってたな」

 そうやって研究テーマに必要な基礎知識を蓄えてから、次に進んで行く感じじゃないかな。この先はゼミが始まってみないとわかんないけど、なんか大学で勉強するって気にならない?

「カノンは前向きだね。その教授が指定する文献とか論文ってまさか英語じゃないよね」

 カノンに聞かれたって知るものか。その辺は教授の好みとか、専門分野の特徴とかで変わるぐらいじゃないかな。

「よくそんな平気な顔でいられるよ」

 カノンもお世辞にも英語は得意じゃないものね。中高とあれだけやったけど、

「未だに謎が満ち溢れてる」

 ミルもか。外国語って英語も含めて難し過ぎる。

続々バイクも恋も若葉マーク(第6話)騒ぐ人

 こういうCMは令和だって突き刺さる人は多いとは思うけど、たぶん作られないとするのはミルに同意だ。だってだぞ、夜食にカップ麺を食べてホッペを赤らめただけでフェミどもが噴き上がるんだもの。

「父子家庭の設定で、高校生ぐらいの娘が朝食を作っただけでもあの騒ぎだものね」

 とにかく女が少しでも色っぽい姿になれば、女を商品化してるだとか、性的搾取だって花火を乱射しまくるし、女が男に食事を作っただけで性的役割分担の固定とか、男尊女卑だって喚きまわる。

「温泉娘叩きも凄かった」

 警察官募集のポスターもそうだったよね。あの頃は女って、どんな格好なら認められるか疑問だったもの。

「なんか、イスラム教の女の人が着てるようなものじゃないと、許されないんじゃないかと思ったぐらい」

 そんな鼻息だった気がする。そうやって放火しまくった頂点の象徴的な事件が、

「草津事件だ」

 あれはひたすらエグかった。なんか女性町議が町長に襲われたって騒ぎだしたのが発端だったはずだけど、

「女性町議の発言を鵜呑みしてフェミどもの総攻撃状態になったもの」

 ここなんだけど、カノンたちはフェミとフェミニストは分けて考えてる。フェミもフェミニズムから派生したものだろうけど、もっと穏健で真っ当なフェミニストと同じにしたくないもの。

 草津の時は町長への個人攻撃も壮絶だったけど、草津町への攻撃もおぞまし過ぎるものだったもの。草津には有名な温泉があるけど、あんな温泉に行くなって、花もって押しかけてデモまでやってたぐらい。

 たしかに草津の町長と町議の問題ではあるけど、他の草津の人は無関係じゃない。なのに、草津温泉ごと地上から抹殺しようとする勢いだったもの。どっかの政党の女性党首まで乗り出してきて大騒ぎになったのだけど、

「痴漢冤罪だったのよね」

 問題の日の録音データが決定的な証拠として出てきて、女性町議は逮捕され虚偽だったことを認めてるもの。そうなれば、尻馬に乗って草津町を攻撃していた人の謝罪ぐらい必要になるはずだけど、

「まるでオールドメディアの謝罪記事ぐらいで済ませちゃったのよね」

 上手いこと言うな。何日もどころか、何週間も、下手すりゃ何か月も何年も吊るし上げみたいにぶっ叩いて誤報とわかっても、ウォーリーを探せぐらいの、小さな小さな片隅の訂正記事を載せるだけだものね。

 それよりも疑われる余地のある行動をした男がすべて悪いとか、女である町議の言葉を信じて何が悪いとか、警察もグルの男の陰謀だみたいな意見が溢れ返ってた。そうだそうだ、女に疑われるだけで罰して当然まで出てた。

「あれでフェミってどういう連中かの認識が定着した気がする」

 SNSのフェミの扱いが完全にネタ化したものね。まともに相手したって噴き上がるばかりだから、冷やかかに揶揄嘲笑するぐらい。

「トドメになったのはAED論争だと思うな」

 あれも酷かった。そりゃ、カノンだって見知らぬ男に胸を見られるのは嫌だ。とは言えだ。生死の境の緊急事態も良いところじゃない。カノンだって死にたくないもの。

「あの時に胸を見ずにAEDを行う方法の話が出てたじゃない」

 あったあった。だけどそっちは専門家の総スカンを喰らってた。AEDまで使われる状態って一分どころか一秒さえ争うぐらいなんだって。そんな超が付く緊急事態に胸を見られるのが恥ずかしいなんて取るに足らないことだって。

「他にも電極パッドが服を着たままでは貼りにくいのもあったよね」

 後はブラのワイヤーが問題になるとかもあったかな。けどさぁ、技術的な問題なら、技術で解決できる可能性があるじゃない。カノンはそっちの方に議論が向かうのを期待してたんだけど、

「全部叩き潰したのがフェミだ」

 だったよね。服の下からって方法でさえ、その時に胸を触ってしまう可能性と言うか、それがしたいために手を入れてるって決めつけてたもの。

「あの時に知ったようなものだけど・・・」

 AEDを使うような状況は、心臓が停まってるのよね。それを再び動かす装置がAEDなんだけど、AEDを使うより前に心臓マッサージが最優先で必要なんだって。心臓マッサージだぞ。そんな事をすれば、

「フェミのフラグが立ちまくる」

 それ以前もあるのよね。状況的には、女性が倒れてるのがまず発見されるじゃない。それだけじゃどうなってるかわからないから、まず声をかけるよね、

「フェミのフラグがこれだけで立つ」

 まさにそうなった。挙句の果てにAEDは、女の胸を見るために男が発明した助平装置だってのも出て来たもの。そんなキチガイみたいな意見が飛びまくった末に、

「フェミがどれだけ危険な連中かの認識が、広く確実に浸透して根深く定着したぐらいで良いはず」

 そう思う。AEDで救助に当たろうって人は純粋の善意なんだよね。だって手を出せば時間が取られるし、労力だって必要だ。さらに言えば専門家でなく、せいぜいAEDの使い方の講習を受けたことがある程度の人が多いはずだもの。

 それでも人の命を救うためって立ち上がってくれてるんだよ。それもさ、そこまで頑張っても巨額の報酬があるわけじゃなく、せいぜい感謝の言葉だとか、いくばくかの謝礼ぐらいしか期待できないし、それさえ無くても気にもしないぐらい。

 だけど相手がフェミだったらタダでは済まなくなる。痴漢だなんだの法的措置の報復で息巻いてるじゃない。けどさぁ、倒れてる女がフェミかどうかなんて確認しようがないじゃない。

「その女がフェミだったら、マジで社会的破滅をさせられる」

 そんなロシアンルーレットに手を出すのがアホの結論になっちゃったのよ。フェミなんて声が大きいだけの極少数派だと言いたいけど、

「キチガイフェミの意見に数万イイネが付いてるのを見て頭を抱えたよ」

 あの時の議論もとにかく異様で、

「だったよね。胸を見られたって助けて欲しいなんて女が言ったら、男のなりすましだとか、名誉男性だとか、それこそ袋叩きにしてたもの」

 男性側の結論的な意見が、倒れている女性を見ても黙って通り過ぎるになっちゃったもの。あれも不思議だったけど、男に助けられたくないなら、女同士が助けるようなんて主張は最後まで出て来なかった気がする。それどころか、

「男は助けて当たり前、その後に訴えるかどうかは女の権利なんてのが湧いてた」

 あのね、これが男女逆の立場だったら女だって黙って立ち去るよ。

「あの論争で男が全員立ち去るとは思ってないけど、立ち去ろうと決めた人はかなり多かった気がする」

 手を出さなければ自分も家族も平和だものね。

「専門家の嘆きが悲痛だった」

 突然の心停止は一定確率で起こるらしいだけど、とにかく突然だから、そこに専門家が居合わせる方がレアなのはわかる。だから専門家じゃない一般人に協力してもらおうって長年の努力をしてるんだよ。

「ミルの高校でも救命救急の特別授業があったよ」

 他なら市民救命救急講座かな。それでたとえ一人でも命を救える者が出て欲しいの切実なものなんだ。AED導入もそうで、人だけでは心臓マッサージと人工呼吸ぐらいしか出来ないから、ここにAEDが加わればさらに救命率が上がるはずぐらいだ。

 そんな運動の成果が街中にあれだけのAEDが備えられるようになったで良いと思うし、そういう事態に遭遇すれば及ばずながら力を貸そうって人も増えてたみたい。

「直接には参加できなくても救急車への連絡をしたり、野次馬の整理とか、それこそAEDを取りに行くってのも協力できるぐらいかな」

 心臓マッサージをやりながらAEDがどこにあるかを探して、取りに行くなんて出来ないものね。そういう機運を長年の努力で積み重ねて来たのに、

「あの論争でどれだけ後退したかってボヤキたくもなるよね」

 なんか他人事みたいに言ってるけど、カノンも当事者なのよ。事故なんて起こしたくないから、なるべく安全運転を心がけてるけど、バイクに絶対はないのよ。

「まだ若葉マークだし」

 ベテランだって事故しないと言い切れないのがバイクだ。転倒事故とかで生死の境をさまよう事だって無いとはとても言えないもの。その時に女だからって見捨てられるのは悲し過ぎる。

「自分はフェミじゃないし、胸を見られても助けて欲しいってカードを作って持つしかないかも」

 甘いよ。そんなカードの所持を確認しようとすれば、ジャケットのポケットなりを探らないと出来ないじゃない。そんな行為自体がフェミ的にはフラグじゃないの。そんなリスクを負うより、女ないし、もっと言えばどうやら女らしいと思われた時点で走り去っちゃうよ。

「そ、そうなってしまうか。バイクにステッカーを貼ってもあんまり変わらないな」

 AED論争の影響で怖ろしいのは、心臓が停止してAEDが使うか使わないかの話に留まらないところだと思うのよ。とにかく見知らぬ男に胸を見られたり、触られたりする可能性があるだけであの発狂状態になるんだもの。

 バイクの転倒事故だって心臓は動いていても意識を失う事だってあるじゃない。そんなもの遠目で見てわかるはずがないのよね。

「そっかそっか、様子を確認するために近づくだけでフラグが立てられてしまうよ」

 介抱のために服越しで体に触れようものなら完全にフラグだ。その女がそういうフラグを立てまくり、騒ぎを起こすフェミかどうかなんて、見ただけでわかるはずないじゃない。

「見知らぬ女に近づくだけでフラグだってなれば、何があっても知らん顔にしておこうにしかならないよね」

 そうなのよね。フェミの主張の根源だけど、男はすべて性欲の権化であり、女に近づくのはイヤらしいことをしたいだけと問答無用で断定してるものね。これはいかなる状況でもそうだをAED論争で見せつけたってことになる。AED論争の勝利者っているのだろうかと思うのよ。フェミ以外の女はトバッチリでしかないもの。

「フェミ連中は勝ったと思ってるんじゃないかな」

 それがどれだけ虚しくて、意味の無いものなんて考えもしないんだろうね。

「もう忘れて頭の片隅にも残っていないに一票だ」

 なんだよね。あれだけの大論争があったのに、その直後ぐらいに女が意識を失ってなかなか助けられない動画が出たら、

「男どもはどうして助けないはまだ良いとして・・・」

 助ける男がキモオタは嫌だ、チー牛は嫌だ。そんな男だったら訴えてやるって息巻いてた。

続々バイクも恋も若葉マーク(第5話)恋は遠い日の花火じゃない

 正月が開けて下宿に帰って来てミルと宅飲み会。

「お節まで作ったのか。カノンの女子力はますます爆上がりだ」

 ミルだってそうだろうが。CMの話をしたら、見てみようって話になったんだけど、

「これって昭和だろ」

 そうなんだよね。親父もカノンが子どもの頃に見てそうしようと思ったのじゃなくて、親父が子どもの頃に見たCMを覚えていたぐらいのはず。画質はさすがに時代を感じるけど、ストーリーも役者さんの演技も良く出来てるよ。

「今でも余裕で通用するよ」

 当時のシリーズものだったみたいで、その頃はずっと流されてたんだろうな。まだ感覚としてわからないとこはあるけど、

「大人の恋なんだろうけど、恋は遠い日の花火じゃないってフレーズがぐっと来るもの」

 設定としたら課長とその女性部下のやり取りなんだけど、女の方は課長に好意を持ってるで良いだろう。これって不倫への誘いとはちょっと違うよね。

「違うと言うか、そうなってしまう含みも否定していないところが良い気がする」

 そうなんだよね、好意と言ってもラブなのかライクなのかもはっきりしないもの。いやさせてないんだろ。それも課長はわかっているけど、どこかで舞い上がりそうになる気持ちになるぐらいかな。

「そういう火遊び感覚が花火なんだろ」

 もう自分が花火をする歳ではないと自覚してるけど、どこかでもう一度の願望が揺れ動いてしまうぐらいかな。でも決して、ある一線以上は踏み出さないぐらい。でもこんな瞬間は女でもあるよ。

 彼氏がいたら浮気をしないのは今も昔もデフォだけど、イイ男をみると気になってしまうぐらい。もちろんそっちに踏み込んだりはしないよ。心の奥底で線香花火が灯るぐらいかな。カノンだってそんな瞬間はあったもの。

「ミルもあったもの」

 このシリーズには男女逆バージョンもあって、

「こっちの方は踏み出して来る若者に戸惑う年上女なのがしびれる」

 年下だからって一線を引いてはいるけど、どこかで花火の導火線に火が着きそうな心の揺れだろ。それなりの年齢差にしてそうだから、こんなオバサンじゃダメだって思いながら、それでもってやつだろうな。こういうのって、決して結ばれる事のない恋ってことにして良いのかな。

「男性バージョンはそうだろうけど、女性バージョンはそうとは言えない気がする」

 主役の二人が独身なのか既婚者なのかは明らかにされてないけど、男性バージョンは課長と言う肩書、年恰好から自然に既婚者にまず見える。さらに年末編があるのだけど、お正月用の買い出しに新巻鮭を持ってるんだよ。

 それもまるまま一尾だから、独り者なら多すぎる。もし独り者で一尾となると、実家に未だに同居になるけど、それはそれで当時でもダサイだろ。

「女性バージョンは東北に一人旅をしてるから、どう見ても独身だ」

 それも何泊かしてるものね。既婚者でそれが出来るとは思えないよ。あの歳の既婚者なら子どもいる方が自然だし、まだ小さいことになるから、子どもを置いて一人旅は設定として無理があり過ぎる。

「既婚者でも子どもが出来なかったはあるけど、それはそれで強引すぎる設定だし、そっちになって来ると夫婦の危機のエッセンスも入る話になっちゃうよ」

 そんな状況で花火に魅入られてしまったら、離婚騒動の修羅場への導火線に着火するものね。

「男性バージョンの恋の花火は独身の頃の遠い日の思い出だけど、女性バージョンの恋の花火は余裕で可能性があるよ」

 そんな感じがする。

「思ったんだけど女性バージョンは、当時としてはかなり斬新な設定だったんじゃないかな」

 男がかなり年下女と恋に落ちるのはありきたりだ。だけど女がかなり年下男と恋に落ちるのはドラマや映画でも少ない気がする。

「今なら女が年上結婚は四分の一ぐらいあるそうだし、同い年も二割ぐらいらしいけど・・・」

 男が年上の結婚は半分ちょっとぐらいしかいないのか。でもCMの頃だったらレアな気がする。それに女優さんの年齢の感じからすると、

「確実にアラサーだ」

 今だってアラサー女になればあれこれウルサイけど、当時だったら完全に売れ残り状態だったんじゃないかな。昭和の頃は会社だって女性社員は結婚までの腰掛けで、寿退職するのが当たり前の時代だったはず。

「それでも、あんな年下の男に心が揺れ動くのがウケたのかも」

 そんな年上女の設定でも、あの人となら余裕でアリぐらいの魅力を感じたもの。当時の人気女優さんだったろうな。

「だと思うけど、それでもある種のファンタジーだよ」

 これは男が女を見る目の違いになるものね。若いのはいくらでも射程範囲内であるけど、年上となると今でさえ、

「女からしてもそうだよ。あれだけ歳の差があったら対象外のことが多いんじゃないかな。たとえばさ、ミルなら高校生とか、ましてや中坊に惚れられても気づかないよ」

 だよね。頭から恋愛対象外だよ。というか、そんな気持ちになるはずないと思い込んでるはずだ。だからこそ、女が主役の場合は男にあれだけはっきりした態度をさせたんだと思うな。あれぐらいしないと女が気づかないぐらい。

「男がイケメンなのは配役上当然だけど、初心でぶっきら棒なのが良いね」

 だからこそ年上女に突き刺さったのだって観る方が感じるもの。女っていくつになっても自分を女と見てもらいたいって言うじゃない。こんなオバサンにまさかの本気なのを感じ心が揺れるんだよ。

「こっちの方が、男が主役よりレアかもね」

 そう思うな。年上男のシチュエーションは、ドラマとか小説とかの設定で割とあるけど、かなりの年上女となるとあんまりない気がする。どっちも大人の恋の断片を描いた作品で良いと思うけど、

「もうこんなのは作られないね」