ツーリング日和3(第23話)美味問答

メシを食べ始めた時に和彦さんが、「龍泉院さんでもサイゼリヤを食べられるのですか」 「井筒はん、龍泉院はやめてくれるか。うちも清次も龍泉院やからややこしいねん。マイって呼んでな。それとやけどサイゼリヤをバカにしたらあかんで」 そやった、マイは…

ツーリング日和3(第22話)英二

ビックリしたわ。もっと軽い水戸黄門ごっこで終わるかと思ってたのに、マイは泣き崩れるわ、清次さんが鬼のように怒りまくるわの修羅場になるとは思いもせんかった。とりあえず昼飯は先付から椀物で終わってもたから腹減った。おっ、サイゼリアがあるやん、…

ツーリング日和3(第21話)思わぬ修羅場

英二が土下座状態になったところで部屋にもう一人入って来よった。昼時の忙しい時間帯に板前が呼び出されたのをようやく知ったようや。遅いで、こんなもん即座に報告するもんやろが。「支配人の平井でございます。なにかお気に召さないことでもありましたか・…

ツーリング日和3(第20話)幸楽園

ほう、これが幸楽園か。表にまぁ、恥ずかしげもなく堂々と書いてあるわ。庭は広いけど、なんちゅうか仕上がりが良うない気がするわ。もうちょっと、なんとかならんもんか。あそこの池の太鼓橋も取って付けた感があるもんな。石も庭に馴染んどる気がせえへん…

ツーリング日和3(第19話)思い出のバイク

そこから今日の打ち合わせや。「任せといておくれやす。うちと清次であんじょうやります」 「やり過ぎんようにな」 アホ言うな。うちが来たからにはタダでは済ません。コトリはんが予約取ってくれてはるから幸楽園にマスツーや。懐かしゅうて涙が出て来るわ…

ツーリング日和3(第18話)呼ばれたで

うちが帳場におる時やった。電話があってんけど、「コトリ様ですね。ご予約でしょうか」 ひったくるように受話器を奪い取ったわ。そしたらやっぱりコトリはんやった。要件はすぐにわかったから、爺さんのとこにすぐに行ったで。「明日も明後日もうちも清次も…

ツーリング日和3(第17話)気がかりが一つ

和彦さんと柚香さんの恋は、どこにでもある失恋話と結論してエエわ。平井と和彦さんの中高からの因縁こそあるものの、全部引っぺがしたら、柚香さんが和彦さんを見切って、平井に走っただけの話に過ぎん。「それ以上の内容はないね」 和彦さんと柚香さんの復…

ツーリング日和3(第16話)食の祭典・福井

話を聞いていた和彦さんは、「柚香を愛してますが、手遅れなのです」 そやから傷心旅行やっとってんやろ。ここも柚香さんとツーリングの時は湯の山温泉の一泊二日やったそうや。ひょっとして、「同じルートで帰っています」 そやから、あんだけ道を知ってた…

ツーリング日和3(第15話)釣り合い談義

和彦さんがツーリングに来ていたんは、柚香さんとの思い出のツーリング・コースやってんて。そう初めてのお泊りデート・ツーリング。「泊まったのもあの旅館か」 「ええ、そうです」 あそこで初めて結ばれたってことか。それやったら、あれぐらい奮発するや…

ツーリング日和3(第14話)思わぬ関り

和彦さんは市役所の同僚の柚香さんに恋をしたんよ。「ツーリング仲間からでした」 二人は自然に付き合いだして結婚も意識するところまで行っとったらしい。ここまでは、どこにでもあるような恋愛話やねんけど、「平井が福井に帰って来たのです」 柚香さんと…

ツーリング日和3(第13話)鳩ヶ湯温泉

今庄宿から越前市、これもコトリにした武生と呼びたいけど、ここで和彦さんは国道三六五号から国道八号、通称福井バイパスに乗り換えた。そのまま行ったら鯖江の市街に入るんやけど、その手前で県道一九四号に入り、さらに県道一〇五号から二十五号にしよっ…

ツーリング日和3(第12話)北国街道

北国街道ってコトリは言うてるけど、これも実は他にも北国街道はあるねん。中山道の追分から善光寺経由で直江津に行く道があるねんけど、これを善光寺道とも呼ぶけど、北国脇往還とも呼ぶねんけど、この善光寺道を明治以降は北国街道と呼ぶことが多いねん。 …

ツーリング日和3(第11話)小谷

関が原で適当に昼飯食べて次は小谷城や。途中で姉川渡ったけど、あの橋の左右ぐらいが姉川の古戦場跡やねん。川を渡って浅井朝倉軍が襲い掛かった地や。さてまずは小谷城戦国歴史史料館や。こういうのん好きやねん。「これは大きな城だったのね」 「そやから…

ツーリング日和3(第10話)信長と家康

「三成はそんなに人望が無かったの」 「そんなことあるはずないやろ」 関が原時点でも家康の権勢は随一やった。信長、秀吉と回り持ちされた天下は次は家康で衆目は一致していたで良いはずや。そんな家康に盾ついて、あそこまでの大軍を関が原にかき集めた三…

ツーリング日和3(第9話)関が原

朝風呂入って、朝飯食べて、今朝はノンビリ出発や。なんせロープーウェイが動くのが九時からやし、宿からロープーウェイの駅まで近いしな。「観光地料金ね」 しゃ~ないと思うけど、駐車場でも料金取られたわ。普通車千円も結構なもんやけど、バイクでも五百…

ツーリング日和3(第8話)明日のプラン

「どうしようコトリ」 これは断じて夜這いの相談やない。会ったその夜に女から夜這いをかけるなんて下品の極みや。まず今日で魅かれだして、明日のツーリングやってるうちに想いが高まり、これが愛しいに変わるもんや。「こっちは二人だから向こうからもない…

ツーリング日和3(第7話)湯の山温泉

そろそろ今日の泊りの湯の山温泉に近いはずやねん。このパーキングは御在所岳ロープーウェイの手前ぐらいやねんけど、今日の宿は鈴鹿スカイラインのもう一本南側の県道沿いにあるねん。 この県道やけど、入るには、ここから三キロぐらいさらに下って入り込む…

ツーリング日和3(第6話)鈴鹿スカイライン

また駐車場にバイクが入って来たんやけど。「近江八幡で見た気がする」 「安土城でもおったんちゃうかな」 目に付いたんはKTMのデュークやったからやねん。外車やってのもあるけど、やっぱり、見慣れんバイク見たらバイク好きならどうしてもな。「390…

ツーリング日和3(第5話)ツーリング風景

近江八幡から安土は面白かった。〆に安土城天守信長の館を見て、もう三時回ってもたな。「ここからどれぐらい」 「ナビ通りやったら、一時間二十分ぐらい、距離にしたら五十キロぐらいや」 「五時までに着きそうね」 目指すんは鈴鹿スカイライン。関西でも屈…

ツーリング日和3(第4話)近江八幡

雲ケ畑街道から府道三十八号に出てホッとした。ここから府道四十号を経由して国道三六七号に突入。もう十時やな。「三千院に寄ろうよ」 そやな。ちょっと休まんと事故するわ。秋の三千院はさすがに綺麗やわ。三千院言うたら大原やけど、平家物語で後白河法皇…

ツーリング日和3(第3話)惟喬親王と小野小町

「惟喬親王のゆかりの地ね」 知らん人が殆どやと思うから解説しとくわ。時代は文徳天皇の御代や。時代背景的には藤原氏の勢力がドンドン強くなって、他の氏族が小そうなっていった時代ぐらいの理解でエエやろ。「藤原氏 VS 非藤原氏みたいな時代ね」 「非…

ツーリング日和3(第2話)さて出発

ツーリングも季節はある。そりゃ、いつでも行けるようなもんやけど、やっぱり冬場のツーリングは辛いわ。とにかくバイクは吹き曝しやからな。そやからあれこれ着込むのやけど、やっぱり凍えてくるねん。「電熱グローブぐらいがせいぜいだよね」 他にも電熱は…

ツーリング日和3(第1話)秘湯趣味

兵庫県に温泉は五十二か所ある。全国的に有名なんは有馬と城崎、次が湯村ぐらいやな。その次になるとCMで有名な洲本、将棋の王将戦やる塩田ぐらいや。赤穂御崎ぐらいになるとさらにマイナーになる。「宝塚温泉もあるし、歴史が古いのなら籠坊も武田尾もあ…

次回作の紹介

次回作の紹介の前に今年も自作小説にお付き合い頂きありがとうございます。今年挙げたのは、 黄昏交差点 恵梨香の幸せ 純情ラプソディ 運命の恋 謎のレポート ツーリング日和 ツーリング日和2 黄昏交差点は去年からの年またぎですが全7作です。この中で一番…

イラン・イラク戦争・テヘラン脱出の再々検証

参考資料は秋月達郎著「海の翼」です。この作品はセミドキュメンタリーに仕立ててあるのですが、時刻関係については一番真実に近いのではないかと考えています。もっとも秋月氏もはっきりしない部分があったようで、そういう部分はボカされているのが残念で…

三種の神器

本物の方で八咫鏡、天叢雲剣、八尺瓊勾玉のことです。これがどこにあるかと聞かれたら皇居と言いたいところですが、そうとは言えません。 伝承上は八尺瓊勾玉は皇居にあるはずです。ですが失われた可能性は大と考えています。源平合戦の時に平家は八尺瓊勾玉…

長万部ミステリー

ミステリーは大げさで小学校時代の北海道家族旅行の記憶です。もう半世紀近い前の記憶なので曖昧かつ断片的になったが故のミステリーと思って下さい。 まず大阪空港から新千歳空港に飛行機で行ってます。生まれて初めての飛行機だったので良く覚えています。…

冬の北海道のバイク

ツーリングどころか短距離通勤しているだけですが冬のバイクは辛いものです。ひたすら寒いと言うより凍えます。神戸の冬でもそうですから、北海道で冬のバイクなんかありえないだろうぐらいに思ってました。 ところが冬の北海道にツーリング、それも雪中キャ…

北海道はでっかいどう

ツーリング日和シリーズは延々と続くのですが、最新作はついに北海道に行かせました。遠すぎて行くのを控えていたのですが、行くところのネタが尽きて強引に行かせました。 行かせた感想ですが、とにかく広い。北海道の人が言う内地では、名ツーリングコース…

ツーリング日和2 あとがき

ツーリング日和の続編と言うより、前回挫折したロードムビー風の小説に再挑戦です。ツーリングをするコトリとユッキーが旅先で出会った人との触れ合い、そこから起こる小事件の積み重ねみたいなお話です。 意気込みはともかく、とにかく旅行させるのが大変で…