浦島夜想曲:二日目(2)

そこからユッキーとコトリちゃんが街を歩いてくると言いだし、香坂さんが付いて行ってしまったのでシノブちゃんとおしゃべり。 「ユッキーやコトリちゃんって、仕事している時もあんな感じなの」 「コトリ先輩は近いところもありますが、社長は違います」 シ…

浦島夜想曲:二日目(1)

起きたらまず朝風呂。温泉旅行はこれがあるからイイんだよね。昨日は露天風呂だったけど、今日は大浴場。これが槇風呂で気持ちイイのよ。泉質も滑らかでお肌もツルツルする感じ、湯の花もプカプカと。龍神温泉は美人の湯として有名だけど、看板に偽りなしだ…

浦島夜想曲:お成りの間

風呂から部屋に戻ったんだけど、 「立派な部屋ねぇ」 なんでもこの部屋に紀州の殿さまが泊っていたからお成りの間っていうらしいし、置いてある調度も当時の物があるんだって。四人とも大はしゃぎで、 「シオリ、撮って、撮って」 床の間をバックに殿様気分…

浦島夜想曲:龍神温泉

さすがに一時間半の路線バスの旅は長かった。 「とりあえず宿に荷物を預けて観光します」 宿はバス停からほど近い上御殿。なんでも紀州藩の開祖である徳川頼宣が龍神温泉を訪れた時に建てられた御殿が始まりらしく、当時の建物も残ってるらしい。 「シックで…

浦島夜想曲:出発

当日は九時半にクレイエール・ビルの一階ロビーに集合。 「こっちよシオリちゃん」 なにやら旗を持っていますが、 『明文館高校二年三組』 校章まで入れた染め抜き。わざわざ作ったんだ。 「はい、これ」 旅の栞じゃない。これもわざわざガリ版刷りで作って…

浦島夜想曲:三十階仮眠室にて

香坂さんは常に控えめで、そのうえ若く見えるから、ホンマにエライさんかと思う事もあるけど、今日は見せてもらった。六時とはいえまだまだ仕事は続いており、香坂さんとわたしが乗り込んだエレベーターに、見るからにおエライさんて感じの人と部下らしき人…

浦島夜想曲:追憶のシオリ

香坂さんから連絡があって、旅行の件の打ち合わせをしたいからクレイエール・ビルに来てくれないかって。それにしても、打ち合わせに会社を使わなくても良さそうな。それに呼ばれた時刻も妙で、 「夕方六時に受付においで下さい。わかるように手配しておきま…

浦島夜想曲:シオリのマンションにて

ユッキー社長の命を受けたミサキは加納さんに連絡を取り自宅のマンションに伺いました。このマンションも最初に訪れた時は生死をかけるほど緊張したのも今となっては懐かしい思い出です。 『ピンポン』 加納さんを見るたびに思うのですが、ミサキもあそこま…

浦島夜想曲:プロローグ

共益同盟のナルメルとの対決に備えて、加納さんに主女神が宿っていると告げたのはもう十四年前のウィーンの夜になります。加納さんも大変驚かれていましたし、お二人が加納さんに、あそこまで話すとは思ってもいませんでした。 あの時に日本での再会を約束し…

次回作の紹介

このシリーズも長くなり第14作になります。今回は前作の続編の位置づけで、シリーズ全体の流れは、 こうなっています。この作品の紹介文としては、 最愛の夫山本を失ったシオリは生きる気力も失い、生きがいだったカメラも置いてしまい、引き籠り状態になっ…

女神の休日:あとがき

今回は完全なサイドストーリーです。テーマは旅もの。とりあえず豪華クルーズさせたのですが、とにかく豪華クルーズ船なんか聞いた事しかないので大変でした。モデルにしたのはクイーン・ヴィクトリアですが、船内地図と断片的な情報を基になるべく豪華そう…

女神の休日:旅の終り

「さて、晩御飯食べに食堂車行こうか」 「今日もですか」 「当然よ、これも仕事だからね」 モスクワからウラジオストクまでの世界最長の鉄道ですから食堂車も当然あります。なかなか立派な食堂車なのですが、値段はちょっと高級なファミレス程度でしょうか。…

女神の休日:シベリア鉄道

視察は順調に進み、モスクワからシベリア鉄道に乗り込みます。頑張って二人用個室を並びで二つ確保して、ウラジオストックまで七日間の旅になります。時差ボケの心配がなくなったコトリ副社長はルンルン気分ですが、ミサキはさすがにウンザリ気分。ユッキー…

女神の休日:再びルナの家

目覚めるとベッドの中。それにしてもひどい夢だった。夢って見てる時はリアリティがバリバリだけど、考え直すとご都合主義の矛盾がテンコモリなのよね。だってさ、無防備平和都市宣言とまで言われた、人畜無害のミサキが事もあろうに、冥界で大暴れって笑っ…

女神の休日:地上へ

ぶっ倒れたナルメルを見下ろしながら、どうするかは途方に暮れる思いなのよ。そりゃ、あんな野郎の愛人になるなんて真っ平ゴメンだけど、その代償の冥界暮らしもウンザリしそう。それに暮らすたって、どうやって暮らすんだろこんなとこ。 とにかくなんにもな…

女神の休日:ラスボス

そこからはミサキは夜叉になった。クリスチャンに夜叉はおかしいけど、他に適当なのが思いつかいから、それでイイことにする。服と靴が見つかったのはラッキー。なけりゃ裸足に浴衣で戦わなきゃいけなかったし。第四の門からの戦いは、もう問答無用のものに…

女神の休日:第三の門

道はますます陰気になってくのだけど、ようやく三つ目の門が見えてきた。まだ三つ目だけど、冥界の門って、洞窟の広間みたいなところの次の洞窟の入口を塞ぐような作ってあるみたい、洞窟自体、えらい狭かったり、ちょっと広かったり、登ったり下りたりもあ…

女神の休日:ミサキの冥界下り

階段は延々と下って行きます。とっくに地面レベルは通り過ぎて地下に入っているはずですが、それでも下って行きます。 「これは深いですねぇ」 「そうね、でも行かないと仕事は終らない」 この階段には途中に部屋と言うものがありません。どうも竪穴を掘って…

女神の休日:謁見の間

延々と控室で待たされ続けましたが、 『コンコン』 男が入ってきて、 「ご案内します」 そこからまた迷路のような館内を案内されて、やたらと重厚な扉の前に、 「エレギオンHDの小山社長をご案内しました」 扉が音もなく開き中に。なんだ、なんだ、この部…

女神の休日:共益同盟本部

「ここなんですか」 「そうや」 タクシーで下りたところは鬱蒼たる森の前。そこには十メートルぐらいありそうな巨大な門柱と鉄柵の門。ユッキー社長はタクシーの中からなにか考え事に集中されてるようなのでコトリ副社長に、 「なんかバッキンガム宮殿の門み…

女神の休日:ルナの家にて

ルナはフランス食品産業界の大物、木曜会のメンバーでこそないものの、エレギオン・グループの中でもかなりの有力者。家はパリ郊外にあるお屋敷。 「何回見てもデカイ家だねぇ」 社長や副社長とも個人的にも仲が良いのです。パリに出張の時に何度かお邪魔し…

女神の休日:共益同盟からの使者

ミサキは加納さんとの夜があんな展開になるとは夢にも思っていませんでした。あそこまですべてを話してしまうとは信じられなかったのです。 「コトリ副社長、あれで良かったのですか」 「やってもたし」 そりゃ、そうなんですが・・・ユッキー社長も賛成だった…

女神の休日:ウィーンの夜

ブラフッタはウィーン市内に支店が五つぐらいあるけど、招待されたのは本店。なかなかシックなでイイじゃん。既にお三人は来られていて、挨拶になったんだけど、考えてみれば社長や副社長から改まって挨拶されるのは初めての気がする。社長は、 「今日は世界…

女神の休日:久しぶりのシオリ

私は加納志織、ホントに久しぶりの登場。だってさ、だってさ、私はこの長ったらしいシリーズの事実上の第一作のヒロインなのよ。もっとも、あの時は脇役のはずが、書きなれていない作者の迷走でタナボタ式にヒロインになっただけって言われるけど、それでも…

女神の休日:フォトグラファー

強引に猥談に持ち込まれて辟易していたら、 「すみません、日本の方ですよね」 あれ、これは日本語、顔を見ても日本人。 「大変申し訳ありませんが、今から少し撮影をさせて頂きたいので、その間だけ、席を移動して頂けませんか」 なるほど、ヨハン・シュト…

女神の休日:ニンフルサグ

ユダとの話し合いを終りシュテファン大聖堂を出た社長と副社長は無言でした。やがてシュタットパークのベンチに座り、 「ユッキー、ホンマにあんな術が残ってるんやろか」 「わたしも術自体が具体的にどんなものかは知らないの」 「主女神は知っとったんやろ…

女神の休日:シュテファン大聖堂での神の会話

翌日は三人連れだってシュテファン大聖堂に。ここはウィーン大司教区のカテドラル。今日は朝からミサが行われるので出席しています。ミサキはマルコと結婚した時にカソリックに改宗していますが、お二人はどうかと思ったのですが、 「なに言ってるのよ。ミサ…

女神の休日:アラッタの主女神

ウィーン国際空港にほぼ予定通り到着。ルッツが手配してくれた送迎車でホテルへ。ホテルではルッツ自らが出迎えてくれて、ディナーはホテルのレストラン・アンナ・ザッハーで。ミサキはそろそろ日本食が恋しくてならないのですが、お二人はパクパクと。 「日…

女神の休日:ウィーンへ

いよいよサザンプトンまで二日となった時に、 「ミサキちゃん悪いけど、ちょっと予定を変更するわ」 「エジンバラ城でもあきらめたのですか?」 「そうよ、ストーンヘンジもカージフ城も、カーナボン城もあきらめた。ウィーンに向かうことにする」 そうなる…

女神の休日:マリー

指輪騒動でミサキたちの正体を知ってしまったマリーは朝早くから、 「おはようございます」 当たり前のように部屋に入ってきて、ミサキたちの準備が整うのを待ってます。なにをしているかですが、 「マリーは皆様方の秘書でございます」 社長も副社長も断る…