女神の休日:ラザロ騎士団

とにもかくにも四十五万ドルが手に入ったので、その夜はヨット・クラブを貸切にしての大祝勝会が行われました。ヨット・クラブはデッキ10にあるダンスも出来るにナイト・クラブです。これもコトリ副社長曰く、 「勝ち方の一つよ。これぐらいは還元しておか…

女神の休日:賭け金の支払い

部屋には当たり前のようにマリーがいるのにも笑いそうでしたが、とにかく勝ったのでシャンペンを取り寄せて、 「カンパ~イ」 三時間ほどしてから船長が部屋に現れました。 「調査の結果ですが、ルーレットにも卓にも何の不正も御座いませんでした。またベッ…

女神の休日:赤道祭

社長と副社長はトムを呼び出して説教してました。もちろんミサキも加わってです。トムはかなり渋ったのですがユッキー社長は奥の手を使っています。まあ、あれをやられて抵抗できる人間はまずいないのですが、トムもしゅんとなってます。 「で、いくら負けた…

女神の休日:カジノ

あれからマリーの態度はすっかり変わってくれたのですが、今度はベッタリ引っ付かれるようになりました。 「香坂常務」 「だからここではそれはやめて」 「では香坂さん」 「ミサキでイイよ」 歳もバレちゃいましたから、やたらと丁重です。 「マリー、お父…

女神の休日:指輪騒動

寄港地観光の手配は案外時間がかかるのですが、昼下がりはデッキ9のウインター・ガーデンでお茶にしようっと。 「ミサキ、ミサキ、こっちだよ」 「おじゃまします」 船で知り合いになったベス。ベスにはミサキの事を社長と副社長の付き人ぐらいに思われてい…

女神の休日:寄港地観光

今日はデッキ2のザ・ベランダでランチ。プリンセス・オブ・セブン・シーズは客室のランクによって食事できるところが変わりますが、そういう客室ランクに関係ないレストランもあり、その一つがザ・ベランダです。ここもなかなか豪華なスペシャリティ・レス…

女神の休日:ユッキー社長

船内は高級ホテルそのものの感じで、昼間はカジュアルな服装で構わないのですが、十八時以降は日によってインフォーマルとフォーマルのドレスコードが定められ、夜の催しに沿ったものが求められます。 テーマナイトがあり、ブラック・アンド・ホワイト・ボー…

女神の休日:出航

ユッキー社長もコトリ副社長も休暇のために忙しく働いておられました。留守を任せるシノブ専務に信頼を置いていますが、少しでも負担を減らしておこうぐらいです。ミサキも同様です。申し送りも済ませるとシノブ専務は、 「行ってらっしゃいませ、安心して留…

女神の休日:ユッキー社長の計画

エレギオンHDの経営は順調なのですが、お二人はどうにもコソコソと相談されている気配があります。こうやってミサキを外してお二人で相談を重ねる時にはロクな事がないので要注意です。 だいぶ前に大騒ぎになったのがバーベキュー。もちろんお二人がバーベ…

女神の休日:三十階仮眠室

お二人がお住まいになられてるのは三十階仮眠室。ここは六年前の彗星騒ぎの時に作られたのですが、名称こそ仮眠室ですが、はっきり言わなくともお屋敷です。いろいろ経緯はあるのですが、ミサキが騙された格好になって、三十階に仮眠室の名目で家を建てられ…

女神の休日:ホールディングス

話はミサキがクレイエールに入社して二十八年目、ちょうど五十歳になる年のことです。クレイエールは六年前の彗星騒動、三年前の宇宙船団騒ぎの時に飛躍的な発展を成し遂げています。 二度に渡る騒ぎは日本だけでなく全世界規模の深刻な世情不安に陥り、世情…

次回作の紹介

とりあえずブログの方の紹介文は、 ユッキー社長がバカンスに。それも超豪華客船でのクルーズ。ところがこれが怪しげな団体からの無料招待。罠だと心配するミサキを尻目に、ひたすらクルーズに熱中するユッキーとコトリ。このクルーズの先には果たして何が待…

流星セレナーデ:あとがき

一昨年のお盆から書き始めた連作ですが、これで実に十一作目です。処女作は苦心惨憺して十月までかかり、第二作も十二月までかかっています。でも書き慣れって怖いもので、以後はおおよそ一ヶ月に一作ぐらいのペースになっており今年に入って九作目になって…

流星セレナーデ:ミサキの決心

神戸空港での二回目の宇宙船騒ぎから七年が過ぎました。あの時のエラン人も次々と亡くなってしまいました。どうも感染症管理が極度に進んでいたエラン人に、地球の病原菌は厳し過ぎたのではないかとされています。 エラン人からの聞き取り調査は難航しました…

流星セレナーデ:宇宙船みたび

地球に向かってくる小惑星が突然現れたニュースが報道されたのは八年後のことでした。さすがのNASAも早い段階で、 『惑星エランからの宇宙船の可能性が高い』 こうしています。コースが十一年前の彗星、八年前の宇宙船とほぼ同じですから否定するだけ無…

流星セレナーデ:セレナーデ

アラの葬儀が終わりしばらくしてから、 『カランカラン』 いつものバーに誘われました。 「コトリ副社長、アラはエラン人にとって英雄だったのですか」 コトリ副社長はスコッチの入ったロック・グラスをゆっくりと弄ぶように、 「英雄だよ。千年の戦乱を鎮め…

流星セレナーデ:アラとコトリ

宇宙船団が帰ってからミサキが耳にした個人的な大ニュースは、コトリ副社長がアラとまた引っ付いちゃったのです。一時はアラを殺しかけ、その後も社史編纂室に監禁状態、お茶室会談の後でさえ軟禁状態だったアラとですよ。ビックリしてユッキー社長のところ…

流星セレナーデ:歴史は繰り返す

「ミサキちゃん、晩御飯食べて帰らへん」 「コトリ副社長、どこに行くのですか」 「久しぶりに出前取ろうって、ユッキーと言うとってん」 お鮨は三十二階の龍すし支店から。この店は通常は出前をしないのですが、クレイエール本社ビル内だけ、いや事実上は三…

流星セレナーデ:女神の享楽欲

あれから何回かユッキー全権代表とエラン代表との会談が行われ、エラン船は日本の放射性廃棄物をゴッソリ積み込んで砂漠の砂の採取に飛び立っていきました。他のエラン船も諸国の放射性廃棄物をゴッソリ積み込んだ上で砂漠で砂採取です。これも短期間で終了…

流星セレナーデ:推理は巡る

「最後の反乱の真相は」 「アラの言葉を信じれば人類破滅兵器が使用されたことが周知されてしまったことかな」 「コトリもそう思う。エランでも変な宗教団体はおったんやと思う」 ミサキの頭の中には地下鉄サリン事件が思い出されています。 「たぶんやけど…

流星セレナーデ:偉大なるアラ

アラは社史編纂室に戻り三人は仮眠室のリビングルームに、 「コトリ、間違いないね」 「そやな、意識分離技術は不老不死とは関係なく広がったでエエと思う」 「これで十万人の説明が出来るわ」 「どういうことですか」 「ビール飲む」 コトリ副社長は缶ビー…

流星セレナーデ:お茶室会談

クレイエールでは大阪支社に本社機能をある程度移し、シノブ専務と佐竹本部長が代行として経営の実質的な指揮を執られています。そのために社長も、副社長も、ミサキもエランの宇宙船対策に専念できる体制になっています。まあ、うちうちではそういう体制に…

流星セレナーデ:第二回会談

なんだかんだで二週間ぐらいかかりましたが、第二回会談が空港ビルで行われました。どんなことが話合われるのか興味津々でしたが、ユッキー社長がいきなり冒頭に持ちだしたのが、 『宇宙船の移動』 宇宙船のサイズは長さが千五百メートル、幅が二百メートル…

流星セレナーデ:会談後

エランの代表団が宇宙船に帰った後がそりゃ大変。誰だってユッキー社長と、エラン代表団がなにを話していたか知りたくて仕方がないからです。ユッキー社長は、 『相手はエランという名の惑星政府である』 『目的は彗星騒ぎの時の宇宙船で地球に来た国家的重…

流星セレナーデ:会談

ミサキは社長と副社長の話を聞かされて、まんじりと出来ないまま朝を迎えました。一方でお二人は健やかな寝息を立てられて熟睡です。朝食はコーヒーとサンドイッチでしたが、ミサキはコーヒーすら飲めなくなっています。それでもスーツに着替えて待機です。 …

流星セレナーデ:着陸前夜

空港での夕食も終り夜になりましたが、とにかく部屋から出ることもできません。部屋の前には婦人警官が貼り付いているからです。御手洗に行くのも御手洗の中まで付いてくる状態ですから、監禁状態みたいなものです。ミサキは緊張と部屋から出られないストレ…

流星セレナーデ:着陸前日昼間

ポートアイランドの混雑はますますひどくなり、本社ビルから眺めても、人、人、人です。それに対応してユッキー社長は、本社機能を一時的に大阪支社に移すことにしました。これだけ人の山になってしまうと、通勤するのさえ一苦労だからです。シノブ専務と佐…

流星セレナーデ:総理との会談

クレイエール本社はポートアイランドにあるのですが、宇宙船の着陸日が迫るにつれてエライことになってます。それこそ世界中のジャーナリストが神戸に押し寄せて来てる感じです。ジャーナリストだけではなく宇宙船見物のために数えきれない人々が押し寄せて…

流星セレナーデ:船団からのコンタクト

フィルことアラは社史編纂室に配置換え、いわゆる窓際の極致ですが、 「なにか意味があるのですか」 「社史を編纂してもらうためよ」 「えっ」 「冗談よ、逃げ出せないようにしてるだけ」 「でも、出入り自由ですし」 「アラは呼吸以外に出来ることはないわ…

流星セレナーデ:エランの戦乱

料亭での審問会の後にコトリ副社長にバーに誘われました。 「社長、怖かったです。あれが氷の女神なんですか」 「そうよ、でもエレギオン時代よりかなり温和になってるよ」 ひぇぇぇ、もっと怖かったんだ。 「ミサキちゃんも聞きたいでしょう」 「もちろんで…