旧友を悼む

 アラカンになったとは言え、世間的にはまだまだ若いと言うか、現役と見られる時代です。とはいえ、寄る年波は確実に押し寄せていまして、悲しいことに、同級生の訃報がボツボツと出て来ています。

 なんだかんだと青春のある時代を共有した仲間ですから寂しさも格別です。かつてのクラスメートとは言え当時からの交流に温度差はありますが、先日届いた訃報はさすがに驚かされました。

 中三の同級生と言うか、中三だけの同級生で、小学校も違いましたから顔合わせした時には、なんかゴツイ奴と感じたのは白状しておきます。ゴツイ理由もあってサッカー部のキャプテンでした。

 ちょっと肌合いがと思ったのは今でも覚えていますが、なんだかんだで友だちになり、あれこれバカして遊んだものです。良く言えばリーダーシップがあり、求心力もあり、クラスの中心人物でした。再会したのはクラス会でしたが、昔と変わっておらず、そこから旧交を温めながら今に至るぐらいです。

 こんなものは後だしジャンケンの極みみたいなものですが、健康状態は懸念していました。視力の低下、足の指の壊死切断、いつからか顔を合わせてもあれこれ理由を構えてアルコールをまったく口にしなくなっていたからです。

 これぐらいの説明で医師ならピンと来るでしょうが、ピンと来たからと言って何が出来るわけでもなく、黙って見守るだけでした。

 最後に会ったのは私が大腸癌手術を終え、ケモに入る間の時期です。あれはクラス会の準幹事会みたいなもので、コロナ禍で延び延びになっている次のクラス会の相談みたいなものです。

 わたしの体調もそんな状態ですから、顔を出すかどうかは悩んだのですが、あれも今から思えば虫の知らせだったのかもしれません。会っていて良かったと思っています。まさか今生の別れになるとは思いもしませんしたけどね。

 旧友から聞いた話では昨夏に体調を崩し膵癌が発覚。黄疸で見つかったとということは、そういう状態であったと考えています。それでもオペを予定していたそうですから、そんな感じだったようです。残念ながらあれこれあってオペは出来ず逝去に至るぐらいです。

 訃報を知らされて頭に浮かんだのは、

    好漢、惜しむべし
 あれだけの男気のあるやつは他に見たことがないぐらいです。まあ、モテてたな。男にも女にもモテたまさに好漢でした。こういう場ですから悪いところは伏せさせて頂きますが、なんか心にポッカリと穴が空いています。


 お前、早すぎるぞ。バーベキューの話をどうするつもりなんだ。次のクラス会だってお前抜きでどうやって開けと言うんだよ。神戸で私に幹事を押し付けてする話だって真剣に考えていたんだぞ。

 それなのに、それなのに、勝手に逝っちまいやがって、残されたこっちが困るじゃないか。まだこれからって、あんだけ言ってただろうが。お前抜きでどうしろって言うんだよ。


 また一人、抜け落ちてしまいました。あれかな良いやつほど早いかも。そうなると私が一番遅いことになりますが、そうは行かないか。

 嫌でも体の中の時限爆弾が気になります。あいにく膵臓にもありますからね。他にも不摂生のツケがあれこれと。だったら次かもが嫌でも頭に過ります。

 この歳になれば既に早い遅いの問題になりつつあります。まだ早いとは思ってはいますが、もう10年も生きていたら、どれだけこういう話を聞かなければならないかと思うだけでウンザリです。

 とりあえず待っててくれ。そのうち行くから。そん時は先に行ってる連中と飲もうや。あはは、その頃にはどっちが多いかわかんないかもな。あっちの方が盛り上がったりして。

 個人の冥福を謹んで祈ります。