運命の恋:あとがき

 ラブ・ロマンスと言うか、ラブ・ストーリーは何度か書いていますが、今回はリサーチをかなり入れています。まず調べたのが恋愛感覚の違いが出ていないかです。そりゃ、自分の経験は四十年も前だからです。

 あれこれ調べた結果として基本は変わらないで良さそうでした。誰かに好意を抱き、それが恋愛感情に育つものの、相手は自分の事をどう思ってくれるのか思い悩むぐらいです。違いは時代の進歩によりガシェットが変わっているぐらいです。

 それと高校生ぐらいの恋愛対象の男女差も変わりないと見てよさそうです。男は自分も経験者ですからおおよそわかります。平たく言えば同級生女子はすべて恋愛対象であり、その中で美女に群がる感じです。

 それと年上は・・・これは個人差が大きすぎるところです。この年代の一年、二年は大きくて大人に見え過ぎて気後れする人と、そんな事が気にならない人がいるぐらいでしょうか。印象的には気にしない人が多いように感じましたが、実際はどうなんでしょうね。

 年下もまた微妙なところがあります。たとえば高1で年下となると中学生です。これは学校も違うので花咲かせにくい気がします。学校が違うのは地域によって差はあるでしょうが、他校の生徒との恋愛がそれほど成立するかと言えば疑問です。塾とかはあるでしょうけどね。

 学校を越えての恋愛は難しいとして女性の方が精神年齢が高いと言うのがあります。ここも男性側が意識するというより、女性側が強く感じる気がします。これの延長線上で同級生ではガキに見えてしまうぐらいでしょうか。

 しかし女子でも同級生ラブはあります。同級生の女子から男子がどう見られているかの最後の部分はわかりませんが、あえて言えば年下ラブ感覚でしょうか。もちろん女性も一様ではありませんが、大雑把に女性は同級生の中でも選ばれたイケメンのみを恋愛対象にするぐらいです。その他大勢は対象外ぐらいです。


 それでも同級生ラブをやりたいのが私の希望です。まあ、先輩後輩ラブになると状況設定が面倒になるのもあります。ぶっちゃけで言うと、その他大勢であった自分の願望の投影です。

そこで持ち出したのが幼馴染ラブです。幼馴染の友だちと思い込んでいたのに、ふと異性としての意識を持ち、これが恋愛に発展するぐらいです。これであれば同級生ラブにしても不自然さは少ないぐらいです。


 主人公の氷室の設定も苦労したところです。まず定番のもてない男にしました。もてない男がなぜか美女をゲットする話もよくありますが、ここに必然性が欲しかったのです。もてない男が、もてるようにするには単純ですが強くなることです。

 そこで空手を使いました。これも最初に書き上げた時は、空手で強くなるエピソードに引っ張られ過ぎて、話が迷走してしまったので、あの程度にしています。この辺は女は強い男に魅かれるの法則を使わせて頂いてます。

 もう一つ苦労したのが、高校生感覚で相手を見る点です。ここも何度も書き直していますが、男なら相手の美醜にしか興味を惹かれない点をカギにしています。そう、顔はさておきみたいな感覚が無いぐらいの見方です。

 そこに恋愛経験を重ねる事により、それ以外の美点を見れるようになる成長みたいなエッセンスを仕込んだつもりです。ここは難しいですね。


 人を恋するキッカケも難しかった点です。美香が氷室を恋焦がれる理由のエピソードは、どうしようかと悩んだところです。でもこの手のエピソードは探すと割とあるのです。あるからには使って良いぐらいの判断です。

 誰と氷室を結ばせるかも悩んだ点で、当初は美香とすんなり行く話にしていました。マナとは結局すれ違いになるぐらいです。ただ、それでは話に深みが足りません。深みを加えるには悲劇が必要です。悲劇の中でマナの心の中の葛藤を後半の主題にしています。

 二冊分ぐらいの手間がかかりましたが、それなりに書きたいものに近付けたと思っています。マナに幸あれと感じて頂ければ幸いです。