天使と女神シリーズ37 ツーリング日和17

 シナリオライターのアリスが偶然に再会したのは中学の同級生である健一。健一は神戸アート工房の専務でもありましたが、アリスが仰天するほどの体格と驚嘆するぐらい強い男に変貌していました

 そんな健一から交際の申し込みがあったのですが、アリスにはいくつかの問題点がありました。だから断ろうとしたのですが、健一は物ともせずにアリスに迫ります。

 そんな健一に惹かれて行くアリスでしたが、最後に残された体の問題、不感症疑惑があったのです。アリスは覚悟を決めて運命のベッドに臨みます。

ツーリング日和17 あとがき

ツーリング日和16の完全な続編です。もともと前編に含まれていたエピソードだったのですが、あまりにも長くなり過ぎて分割させてもらいました。話はシンプルでヒロインのアリスの恋物語です。 そういう点でツーリング日和シリーズから若干外れる部分があるの…

ツーリング日和17(第32話)エピローグ

オフィス加納の撮影のためのセットはシオリちゃんも苦労しとったわ。あそこは六人もプロがいて、六人ともクセが強いなんてものじゃないから、その要望を満足させられる業者はなかなかあらへんかってん。 困り果てていたシオリちゃんに神戸アート工房からの売…

ツーリング日和17(第31話)スペシャルナイト

なんか真剣な話になりすぎた。こういう真面目な話は嫌いじゃないけど、そんな話をやりにこのレストランに来たのじゃない。話題を変えよう。シナリオライターとしてもアリスを健一がどう見ていてくれたかはわかったけど、女としてのアリスはどうなのよ。 二人…

ツーリング日和17(第30話)夢の話

クレーマーのお蔭でぶち壊しになりそうだったけど、なんとか気を取り直してディナーだ。うん、晩飯じゃなくてディナーだよ。もっともここでこういうフレンチの店の最初の難関がやってくる。 アリスだってフレンチの最低限のテーブルマナーぐらいは知っている…

ツーリング日和(第29話)あの二人の正体

それにしても二人の表情がチビり上がりそうなぐらい怖くて迫力がある。コトリさんは微笑みを残しながらも冷淡に、ユッキーさんに至っては声も出せないぐらい怖い顔だ。ふと見ると越後屋社長の顔が真っ青を通り越して土気色だ。「誰がこの場に相応しくないか…

ツーリング日和17(第28話)クレーマー騒動

高原ツーリングではなかったけど、儀式の日はいつになるかとあれこれ心待ちにしてた。そしてだけど今夜こそ何かあるはず。だってだよ、今夜はなんとホテルのレストランでフレンチなんだ。神戸でホテルと言えば、やっぱりオリエンタル、ポートピア、オークラ…

ツーリング日和17(第27話)大河内高原ライン

「砥峰高原と峰山高原を結ぶ大河内高原ラインってのがあるそうなんだ」 高原ラインって気持ちよさそうな道じゃない。「とりあえず全面舗装されていて走れるそうだけど、かなりのワインディングロードだそうだ」 ついでに道も狭いのか。その代わり交通量も少…

ツーリング日和17(第26話)高原ツーリング

アリスの仕事は部屋に籠ってシナリオを書いてるのだけど、やはり外に見聞を広めておく方が良いのだよね・これはシナリオハンティングの時もあるけど、あれこれ現場の風景をイメージする時にも重要なんだ。 だってあるシーンを書く時には背景がどうなってるか…

ツーリング日和17(第25話)同棲へ

朝の光が眩しい。こんな幸せな朝を迎えたのは初めてだ。健一も目覚めてくれたみたいで、またしっかりと抱きしめてくれた。このままずっとこうしていられたら、どんなに幸せだろう。 とも言ってられないから、一緒に部屋の露天風呂に入った。でも、さすがにま…

ツーリング日和17(第24話)運命のベッド

夕食も終わり部屋に戻ってきた。これからする事は一つだ。ついにこの時が来てしまった。このツーリングに来るまで、何度も健一に会ってるのだけど、会えば会うほどイイ男だ。優男タイプじゃないから一般受けは微妙なところがあるけど、なんと言っても強い男…

ツーリング日和17(第23話)湯の花温泉

福住からはデカンショ街道を東に東に。まさしく田園地帯の道だけど、見晴らしが良いから気持ち良いな。クルマだってそうだと思うけど、左右が圧迫されてる道って気を遣うじゃない。こういう道を走るのはツーリングの醍醐味になるのじゃないかな。 だいぶ山間…

ツーリング日和17(第22話)幻の鉄道

王子山稲荷からお城の駐車場に戻り、「福住に寄って行く」 聞いたことがないところだけど、篠山の隣町みたいなところで良さそう。由来を読んでると隣町と言うより、役割分担みたいなところみたいだ。篠山は山陰道が古来から走るところだけど、福住は篠山の宿…

ツーリング日和17(第21話)まけきらい稲荷

猪肉を堪能したら篠山散策だ。二階町通りをブラブラしてからお城の西側の御徒子町武家屋敷群に。ここは藩政時代の武家屋敷が十軒以上も残ってるところなんだ。でもさぁ、武家屋敷と言うには小さくない?「身分が低い下級武士の家だったみたいだな」 なるほど…

ツーリング日和17(第20話)篠山

ツーリングに出発したアリスにまず立ち塞がる難関は六甲山だ。これを越えないと始まらないのだけど、ここは新神戸トンネル一択だ。新神戸トンネルは阪神高速に移管されたのだけど、今でも原付二種は走れるんだよ。「原付はウソみたいに安いな」 五十円だから…

ツーリング日和17(第19話)ツーリング計画

アリスがツーリングまでしてるって聞いて徳永君がビックリしてた。アリスがバイクに乗っているのは知ってたんだ。オフィス加納に通ってる時はバイクだったからね。でもあれは買い物用ぐらいだと思っていたんだって。 まあそうだろうな。市内を走るだけなら、…

ツーリング日和17(第18話)それでもの本音

アリスの仕事はシナリオライターだ。この仕事はフリーランスが原則で、在宅ワークというより自宅ワークになる。まあ、パソコンが一つあれば出来る仕事と言えば仕事だからね。シナリオ書くのに資料が必要だったりするけど、これだってオンラインであらかた手…

ツーリング日和17(第17話)不感症疑惑

ここまで二人だけどかなり歪んだ男性遍歴とは言える。だって二人経験して二回だもの。それも一人目は変態野郎によるレイプだし、二人目は入れた瞬間の空撃ちだ。さらに言えば変態野郎はまだまだ檻の中だし、早漏君はインポになってしまった。 でもさぁ、でも…

ツーリング日和17(第16話)早漏君

トラウマから廃人みたいになってたのだけど、ふとした事で男友達が出来た。オタクがかって陰キャで、コミュ障気味のところもあったけど、そこが当時のアリスには良かったのかもしれない。 見た目はともかく優しい人だった。傷ついたアリスの心を懸命になって…

ツーリング日和17(第15話)合意の範囲

初体験の後がどうなったかだけど、そのままマゾ奴隷になんかなってないぞ。アリスは必死になって逃げるチャンスを窺ってた。この辺は変態野郎も手抜かりがあったと思う。これがもしホテルでなく変態野郎の部屋だったらマジでやばかったかもしれない。 そりゃ…

ツーリング日和17(第14話)ホテルの思い出

同棲するにはやらないと行けない事がある。大げさに言うほどの事じゃないけど、恋人同士だからやらないと話が進まない。これだって同棲しなくてもアラサーのどこか結婚を意識している恋人関係なら、とっくにやっているのが普通だ。 ここまでやっていない理由…

ツーリング日和17(第13話)本性

トンデモナイ夜になってしまった。まさまさかの告白を受けちゃったのよ。アリスだって冗談とか、座興で逃げようと懸命だったのだけど、とにかく徳永君は真正面からゴリゴリと押してくる、いや押しまくられた。 徳永君は誠実にして純情だ。それだけでなく意志…

ツーリング日和17(第12話)思わぬ展開

「葛木の末路のシナリオなんて、どこに書いているのですか」 あれはネット漫画だよ。動画と言うより紙芝居みたいなものだけど、徳永君は見たことないかな。「ネット漫画なら恋愛物も書いてるのですか」 当然だよ。これが一番依頼が多いかな。すれ違い、思い…

ツーリング日和17(第11話)クズ野郎の思い出

五年ぐらい前だったけど中学の同窓会があったんだ。「卒業十周年ってなってましたね」 つまりは二十五歳になる年だった。アリスは欠席したけど徳永君は、「あの時の幹事はしつこかったものですから・・・」 そうだった。欠席の返事を出してるのに何度も電話をか…

ツーリング日和17(第10話)プロになる才能

二人同窓会をキッカケに徳永君と飲みに行くようになったんだ。ちゃんと確認したよ。徳永君は独身だ。アリスもそうだから会っても後ろめたいことはないからね。もっとも恋人関係を目指そうって感じじゃなく、懐かしい同級生との異業種交流会てな感じかな。 二…

ツーリング日和17(第9話)二人同窓会

あの乱闘の日から現場主任みたいな人のことは心の底で引っかっていた。歳の頃はたぶんアリスと同じぐらいで、あの作業着は神戸アート工房の人のはず。名前はわからないな。ロケの建設現場にも毎日顔を出すわけじゃないし、あれから顔を見てないもの。 どこか…

ツーリング日和17(第8話)現場の乱闘

少弐屋敷のセットは大掛かりだったのだけど、さすがの神戸アート工房も応援を呼んでた。そりゃそうだよ、あれはセットを組んでるのじゃなくて、屋敷を建ててるようなものだ。その規模になると工務店だって一手で出来るところは少ないんじゃないかな。 その日…

ツーリング日和17(第7話)神戸アート工房

シナリオの総点検と見直しでオフィス加納の通い詰めの時期があったんだけど、お蔭で今は顔パス状態になっている。あそこのセキュリティは固いなんてもんじゃないのだけど、身内扱いになればアポ無しでもフリーパスで入れるってこと。そりゃ、『四葉先生』 こ…

ツーリング日和17(第6話)寄り道ツーリング

朝風呂を頂いて部屋で朝食。旅館の朝食って美味しいのよね。ここは七時から始まるのだけど七時半には、「行くで」 早出なんだよね。早出と言えばあの二人のメイクも実に手早い。コトリさんなんて顔洗ってるだけじゃないかと思うほど。「アリスも変わらんやん…

ツーリング日和17(第5話)干物女の高望み

牛のように飲み、馬のように食べるこの二人のペースに巻き込まれないように、アリスは優雅に晩御飯・・・と言いたいところだけど、飲む量と食べる量はともかく、飲む姿、食べる姿はあきれるぐらい上品で優美なんだよ。 食べる量、飲む量は暴飲暴食レベルなんだ…

ツーリング日和17(第4話)湯村温泉

温泉トンネルを抜けたら、そこに広がる温泉街と思ったのだけど、谷間の農村しかないな。それでもローソンを過ぎたあたりで山腹に『ようこそ湯村温泉へ』のでっかい看板が見えてきた。あそこに見えるのはホテルかな。 さてだけど宿がどこかだ。こればっかりは…