ツーリング日和17(第24話)運命のベッド

 夕食も終わり部屋に戻ってきた。これからする事は一つだ。ついにこの時が来てしまった。このツーリングに来るまで、何度も健一に会ってるのだけど、会えば会うほどイイ男だ。優男タイプじゃないから一般受けは微妙なところがあるけど、なんと言っても強い男は好きだもの。少々強すぎるところもあるけど、弱いよりずっと良い。

 強いだけじゃなく紳士でもある。健一がその気になればいつでもアリスを襲えた。襲うは言い方が悪いけど、自分の部屋に招き入れてるだけじゃなく、合鍵まで渡してるのだから、誰がどう聞いても合意のサインを出してるもの。

 合意のサインを出してる女がだよ、その女の部屋で二人きりで、実はやりたくないは法律上の云々は別として通用しないと思う。だから迫られたらどうしようもなかったと思う。だって健一がその気ならオランウータンだって捻じ伏せそうだもの。

 もし求められてたら応じてた。実は、そんな雰囲気に一度だけなりかけた時があったんだ。いくら健一が紳士でも男だし恋人関係になってるし、ハグされてキスもしてるじゃない。ネンネじゃないから、この流れに乗るのもありかと一瞬思ったぐらい。

 一方でこんな形で運命のベッドになるのはどこか嫌だった。そりゃ、どこでやろうと結果は同じだろうけど、これが最後のベッドになるかもしれないじゃない。だから、二人の最初の夜は、もうちょっとロマンチックにしたいと言っちゃったのよ。

 なんて高慢ちきな女だと思われたかもしれないと、言ってからどれだけ悔やんだことか。たかがアラサー女との一発だよ。健一で四人目だし、ヴァージンなんて変態野郎に縛り上げられて散らされた女なのにだ。

 そしたら健一はあの大きな体を小さくして謝ってくれた。それからそんな素振りを一切見せなくなったんだ。これはこれで、しまったと思ったもの。せっかく求めてくれたのに、それをあんな形で不意にしちゃったことをね。あの時はこれで終わったと思ったぐらい。

 健一がどれだけ本気なのかは十分すぎるほどアリスには伝わってるんだ。健一にとって、アリスを抱くと言うのは、そのまま結婚すると同じぐらいの意味なんだよ。そこまでの決意で求められてるのに断ったようなものだもの。

 だから今回のツーリングは飛び上がるぐらい嬉しかった。このツーリングの目的は一つしかない。これからこの部屋で結ばれる事だ。健一はね、アリスと結ばれるのに生涯をかけるぐらいの気持ちでいるはずなんだ。

 だからアリスも応えてあげたい。もう健一以外の誰も考えたくないぐらい愛してる。だけどアリスには呪わしい疑惑がある。この疑惑が本当にそうであれば、アリスは健一に相応しくない。健一だけでなく、どんな相手でも相応しくない女なんだよ。


 その結果が今からわかる。神様がいるなら、アリスに感じさせて。アリスが感じることが出来れば、健一の愛をすべて受け止められる。健一が部屋の照明を落とした。今夜は満月だったかな。月明かりだけで部屋がそれなりに明るい気がする。

 健一はアリスをぎゅっと抱き寄せて口づけだ。それも今までにないぐらい熱い口づけだ。抱きしめられたまま、健一の指がアリスの浴衣の帯にかかる。腰の周りを締める感覚がなくなり、そのまま布団に導かれた。

 口づけが続く中、浴衣も、下着も取り払われた。健一もそうなって、ついに完全に肌を合わせる事になる。なんて、なんて、逞しい体なんだ。服の上から知ってるつもりだったけど、こうやって肌を合わせるともっとよくわかる。

 同時に健一の男だってわかる。これってなんて大きさなんだ。今までの男と別物ぐらいの大きさじゃない。まさかそこも筋トレして鍛え上げてるんじゃないかと思うほど。たぶんだけど、これこそを巨根と言うはず。


 そして始まったのだけど、違うのよ。今までの男とまったく違うのよ。始まったのは前戯だけど、アリスの知っている前戯は胸を触って、アリスの女を触って一丁上がりだった。これもわかるのよ、男が女に執着するところはそこじゃない。

 同時に女の性感帯でもある。アリスだって弄られたり、吸われたりしたらそれなりに感じるところだもの。前戯とは男がそこを触って満足する行為と思ってたし、それ以外の前戯があるなんて想像もしてなかったもの。

 健一は口づけが終わると、額、頬、首筋とアリスを愛して行った。次は胸だと思ったら腋に行ったんだ。腋から脇腹、そしてヘソだ。わかる、胸は通りすぎちゃったんだ。でもヘソの下はアリスの女じゃない、まさかそっちにいきなりと思ったら、なんと、なんと、足の指に行ったんだよ。

 そんなところを愛されるなんて夢にも思わなかったからビックリした。そこから上に登ってきた。ふくらはぎから、太ももってね。この時も今度こそって思ったもの。もう残ってないじゃない。そしたら俯せにされた。

 なにをする気と思ってたら、うなじから背中、腰から足の裏まですべて愛された。それもじっくり、じっくり、時間をかけて丁寧に、丁寧に。アリスの体に変化が起こっていた。胸もアリスの女も触れられていないのに、アリスの体に火が着いてしまってる。

 女は濡れてしまっているし、胸だって痛いぐらいにしこってる。そうだよ、アリスは間違いなく興奮してる。そんな様子を知られたくなかったけど、背中を愛し終わると仰向けにされてしまった。そして最後まで残されたところを愛された。

「うぐぐぐ」

 そこまで焦らされたためか、アリスの体が興奮させられてしまったからかわからないけど、たまらないほど感じた。声が出てしまうのを止めようがない。とくにアリスの女を愛された時は強烈だった。

 だって指まで使われてダイレクトだったもの。これは我慢できるようなものじゃない。声だけでなく身悶えするしかなかった。その時に気づいたんだ、アリスの体がトンデモない方向に突き進んでることを。

 アリスには不感症疑惑はあるけど、セルフでは感じるし、最後もちゃんと来るんだよ。だから胸なりアリスの女を愛されたらそれなりに感じることだって出来た。そのセルフの来る状態にアリスはなろうとしてるんだ。

 焦った、焦った。あれは女の秘め事で、決して男に知られてはならないもの。それをセルフでなく、男によって導かれてしまうなんて信じれないもの。なんとか来るのを防ごうと逃れたくても相手は健一だ、思う存分愛されてしまうのをどうしようもない。

 アリスの体は昇りに昇っていくしかなかった。このままでは、あの恥しい来る状態を見られてしまう。なんとか堪えようとしたしたけど、無防備にされた体に与えられるのは強烈過ぎる刺激だけ。それでも、これだけは、これだけは・・・

「うっ」

 アリスのあらゆる抵抗は突破されてしまった。堪えに堪えていたせいもあったかもしれないけど、こんな強烈なのが来るは初めてだ。あまりのことに放心状態になってしまったぐらいだもの。

 放心状態から少し戻ると、これまた恐ろしいことに気がついたんだ。これってまだ前戯なんだよ。セルフなら来てしまえば終わりだ。一回で満足できない女もいるそうだけど、アリスの場合は来れば終わりだ。

 時間だって、今までの男だったら果てて終わってもおかしくないぐらいなんだ。アリスが来るまでなってるのに、男にとってはまだ前戯で、アリスの体にぶち込む前を楽しんでいる時間に過ぎないもの。

 当然次がある。アリスが来たことに満足したのか、健一はアリスの姿勢を変えた。そりゃ、ぶち込みたいよね。それをするためにここまで来てるんだもの。このぶち込まれるのは痛いんだよ。

 ロストヴァージンの体が引き裂かれそうな激痛に較べたらマシにはなってるけど、歯を食い縛らないといけないぐらい痛い。でも男はぶち込むのが命だし、そうさせないといけないと思ってひたすら耐えてきた。

 あっ、そうだ。健一の男は逞しいのだった。前戯の途中にもチラチラと見えたけど疑いようのない巨根だ。あんなものをぶち込まれたら、ロストヴァージンの時ぐらいの激痛がくると覚悟した。

「あぁぁぁぁ」

 あれっ、痛くない。あんなに大きいのにウソのようにすんなりとアリスの女に入ってくる。痛くないのは嬉しいけどアリスの女は悲鳴をあげていた。なにこれ、アリスの女にまるで電流が走ってるみたいじゃない。

 でもちっとも痛くない。これは、これは、どういう感覚なの。こんなものどう表現すれば良いかわからない。気持ちが良いかもしれないけど、ちょっと違う。そうだこれは女の感じるかもしれない。

 感じるとは気持ちが良いのはずなんだけど、感じ方がそんなレベルじゃない。気持ち良く感じるが頂点を突き抜けてる状態と言えば良いのかな。それも違うな。耐えがたい感覚が燃え盛ってるとでもしたら良いのかもだ。

 でもこれって、まだ健一の男が入っただけの状態じゃない。それだけで、こうなってしまうってなんだよこれ。言うまでもないけど、これで終わりじゃない。ここから男は果てるまでギッコンバッタンするんだよ。

 ギッコンバッタンの時間もこれまでは退屈な時間だった。それをさせなきゃ、男は果てないし、終わらないからさせてた時間だ。だけど今夜は怖い。入っただけでこの状態だよ。これが動いたりしたらアリスはどうなってしまうんだよ。

 そして健一は動き出した。アリスの女は真っ赤に燃え盛り、そこから放たれる電流にアリスの体は悶えまくるしかなかった。こんなもの受け続けたら、アリスの体はどうなるって言うんだよ。

「あっ、あっ、あっ」

 夢中になって声を上げ、身悶えしまくってたけど、どれぐらい時間が経ったのだろう。気づけばアリスの体が告げている。アリスが未知のゾーンに入ってしまってることを。それは猛烈なスピードで一点を目指して昇って行ってる、そこまで行けばなにが起こるかぐらいは体でわかる。

 その時に健一の動きと息遣いが変った。これは果てるのを目指し始めてる。アリスだって未知のゾーンの頂点まであと少しだ。これってまさかの同時になるとか。これも聞いたことだけはある。

 そうならばそうしたい、いやそうなってやるんだ。だけど、もうアリスは限界だ。堪えるなんてレベルじゃない。健一はまだなの、ここまで合わせてるのに、早く、早くアリスに来て、

「うっ」

 健一が今までになくアリスの女の最奥部まで抉った。もうどうしようもなかった、アリスの女は臨界点をこえて炸裂した。いやこれは炸裂じゃなく大爆発だ。大爆発は背筋から脳天を貫いていった。

 それと同時に健一が果てたのがわかった、健一はアリスの女の最奥部で果ててくれた。これは同時と言ってよいはず。大爆発の余韻の中でアリスは今までにない満足感に浸っていた。


 凄すぎる経験だった。あれが女の感じるでイクなんだ。イクはセルフの来ると似てるところもあるけど、あれは来るじゃない、まさしくイクだ。上手いこと言うものだと実感させられた。

 どこにイクかだって、そんなもの女の喜びの楽園に決まってるじゃない。あんな世界がこの世に存在するなんて完全に想像を越えていた。さらに言えばイクはイカされるでもある。あれは自分でイケるところではなく男によってイカされるところだもの。

 男は女を求めるけど、女だって男を求める理由もすべてわかった気がする。そりゃ、男とヤルことであの楽園に行けるのなら、そりゃやりたくなっても不思議無い。アリスだって、あれだけの大爆発をさせてもらってイッたのに、どこかで体が疼くところがあるもの。

 イクの経験も強烈過ぎたけど、それよりもっと大きな喜びと安堵感に包まれてる、アリスは健一に感じることが出来たんだ、それも健一の男にイクまで感じたんだよ。アリスは運命のベッド、試練のベッドに勝ち、不感症疑惑は完全に消え去ってくれた。

 ひょっとしてアリスは健一だから感じたのかもしれない。とにかくあの巨根だから、他の男じゃ感じさせる事が出来ないところまで刺激し尽くしたっておかしくない。でもそれでも十分だ。もう健一以外の男とやることなんてあり得ないもの。

 アリスは健一にだけ感じればそれで十分だし、健一以外の男と感じたくもない。二人を阻んでいた最後の障害は健一が粉々に粉砕してくれた。健一は男の中の漢だ。そんな漢に巡り合えたアリスは世界一の幸せ者だよ。