天使と女神シリーズ32 ツーリング日和12

 隠岐にツーリングに出かけたコトリとユッキーがフェリーで見かけたのがドカの女。西郷の宿で再会したのですが、これがなんと女優の三田村風香でした。

 三田村風香と言えばハリウッド映画にも出演してアカデミー賞で助演女優賞を取ったほどの名女優。島前でマスツーすることになったのですが、風香はどうにも魔性の女である感触を抱いていきます。そう、風香はなんらかの目的をもってエレギオンHDの社長と副社長に接近してるに違いないと。

 風香の狙いはなんなのか。コトリとユッキーはどう動くのか。

ツーリング日和12 あとがき

隠岐は遠かった。作中でも書いていますが、高速が使えれば京阪神からでも半日で島後なり知夫里島に到着可能です。ですが下道ツーリングがお約束ですから、さてどうやって行かせるかになります。 隠岐のツーリングですが、四つの島のそれぞれに魅力はありそう…

ツーリング日和12(第32話)早川と三船

カムバックした風香だけどもったいなかったな。日本人俳優で国際的な活躍が出来たのは殆どいないのよ。「それなりに活躍したのはおるけど、あくまでもそれなりや。言うたら悪いけど、日本の映画に出て来る外人役ぐらいのポジションに毛が生えた程度が殆どや…

ツーリング日和12(第31話)サイコパス

「風香を説明するのやったらサイコパスやろ」 サイコパスは一般に自分以外の人間に対する愛情とか思いやりがない人を指すで良いと思う。だから自己中心的になるのだけど、それでは周囲に被害が及ぶじゃない。だけどサイコパスはそうなっても気にならないぐら…

ツーリング日和12(第30話)くノ一みたいな話

三田村風香の秘密らしきものだけど、「風香は生まれは隠岐やけど、母は滋賀県や」 そうなんだ。「でやな、安土の家には後鳥羽上皇の末裔の家系伝説はあるけど、忍者の家は関係ないで良さそうや」 ちょっと待って、じゃあ忍者に関係しているのは風香なの。「…

ツーリング日和12(第29話)折れない花

あれからコトリと何度も相談したけど、映画は作る事にした。なんだかんだと言いながら女優である三田村風香のファンだったのは大きかった。ミーハーも良いところだけど、スクリーンの三田村風香を見てみたい欲望が抑えきれなかったのよね。「ミサキちゃんは…

ツーリング日和12(第28話)親王寺脚本

「ユッキー、やっと出来たで」 さすが調査部だ。あのミミズののたくった親王寺監督の手書き脚本を文字起こし出来たんだ。あんなもの、いかに優れたAIを組み込んだOCRでも読み取れる代物じゃないものね。さて内容だけど、これって、「そやな、幸せの黄色…

ツーリング日和12(第27話)後始末

ツーリングが終わるとしばらくは、溜まっていた仕事の消化に追われるのが逃れられないセットみたいなもの。たいした事はないのだけど、一週間ぐらいはどうしたって忙殺される。「たく隠岐に行っただけやのに、なんでこれだけ溜まるんよ」 気持ちはわかる。東…

ツーリング日和12(第26話)魔性の女

岩井温泉からひたすら国道九号を走って福知山に。ここまで来れば勝手知ったる道で、篠山から三田、さらに北神戸有料道路から六甲山トンネルだ。「このトンネル抜けたら神戸に帰ったって気になるもんな」 神戸の海が見えて来るのと、空気が変わるのよね。これ…

ツーリング日和12(第24話)岩井温泉

フェリーは境港に十三時半に到着。「気合入れて走るで」 境港から半日で神戸に帰れるはずもないから、少しでも西に移動して泊まりたいぐらい。鳥取の名湯と言えば三朝温泉だけど、「もうちょい走りたい」 羽合温泉とか東郷温泉とか。「行きたいか?」 う~ん…

ツーリング日和12(第23話)知夫里島

今日は隠岐ツーリングのハイライトだ。風香は実家に置いてきた。まずは東に向かい、知夫漁港の東側のシーサイドを走り汐見橋を渡る。ここまで二車線だったけど橋を渡ると隠岐標準サイズだ。向うに見える島は、「島津島や。キャンプ場もあるけど牛の放牧場で…

ツーリング日和12(第22話)心残りの仕事

宴も終わり、部屋に戻ってから、「離婚の本当の理由はなんやねん。いや結婚の本当の理由とした方がエエか」 えっ、それって普通の女の子をやりたいだったはずだけど。「女神って本当に怖いってよくわかります」 そこから話してくれたのだけど、「親王寺監督…

ツーリング日和12(第21話)歓迎の夜

なんだかんだで十六時だから宿に行くのだろうけど。「風香の実家や」 そうなんだ。ご迷惑にならないかな。「たっぷりご迷惑をされとるからエエやろ」 来居港は知夫里島の玄関口だけど、ここが知夫里島の中心地ではない。どうも無理やり作ったフェリーターミ…

ツーリング日和12(第20話)テキサスゲート

中ノ島から西ノ島に渡った内航船フェリーだ。知夫里島の來居港に着くのは十五時五十一分になってるから、三十分ほどの船旅になりそう。ところで料金は、「内航船フェリーはどこで乗っても下りても同じみたいや」 シンプル会計だ。内航船とフェリーの違いだろ…

ツーリング日和12(第19話)サザエカレー

腹減った。「餓鬼かよ。リクエストはあるんかい」 あるよ。サザエカレーが食べたい。これも隠岐グルメとして良く出ているし、お土産屋さんにもレトルトが山積みしてあるぐらい。もちろんそれも買い込んでるけど、隠岐に来てるのだから、レトルトじゃない鍋で…

ツーリング日和12(第18話)展望所の決闘

展望所の駐車場にバイクを停めたぐらいの時に三台のワゴンが駐車場に入ってきた。なるほど大阪ナンバーだな。三十六計逃げるに如かずだけど、あの連中は駐車場の出口を塞ぐようにいるから、いくらバイクでも突破は難しそう。 駐車場の周囲も広い草原になって…

ツーリング日和12(第17話)半グレの鬼滅羅

誰がお出迎えに「大阪の半グレで鬼滅羅って言うらしいわ」 さすがシノブちゃん、そこまで調べてたのか。「いや風香に聞いた」 知ってたのか。いつも思うのだけどあの手のDQN連中のチーム名って、見ただけでわかるのよね。「昭和の時代からの伝統やもんな…

ツーリング日和12(第16話)鬼舞スカイライン

西ノ島のツーリングは島後や中ノ島とはちょっと違う。西ノ島の形は複雑なのだけど大雑把にはまず北側が国賀海岸になる。ここは昨日遊覧船で巡ったところだけど、見る分には景色は良いけど険しい海岸になっている。 人が住んでいるのは南側の湾に沿ったところ…

ツーリング日和12(第15話)安土の家

風香から話を聞くのは部屋に戻ってからにした。コトリはいきなり切り込んだ。「どこから聞いたんや」 ちょっと単刀直入過ぎるでしょ。それじゃ通じないしトボけられちゃうよ。でも風香はニッコリ笑いながら、「さすがですね。もう調べ上げられましたか」 ト…

ツーリング日和12(第14話)隠岐のアワビ

この旅館もお食事処だ。風香はツーリング中はサングラスにマフラーだってけど、「遊覧船は初めてでした」 ということは隠岐は初めてじゃないことになるな。さて今日は何が食べられるのかな、「今日は隠岐のアワビや」 それは楽しみ。アワビは京都貴族でも珍…

ツーリング日和12(第13話)西ノ島へ

コトリがランチに選んだのは焼肉。隠岐牛が食べられる唯一の店だとか。隠岐牛ってなにかになるけど、品種としては黒毛短角和牛で良いはず。他の産地との違いは、「全部隠岐で生まれた牛やそうや」 たとえば日本一のブランドとも言える松坂牛は、優秀な子牛を…

ツーリング日和12(第12話)中ノ島

中ノ島はコトリの歴史趣味が大きいのだけどね。「ユッキーも行きたい言うたやんか」 まずは菱浦港から南に下るのだけどこれが峠道の一車線半も怪しい道。ナビにはカルデラ展望台があるってなってるけど、「あらへんな。どうもさっきの路側帯みたいなとこみた…

ツーリング日和12(第11話)島前へのフェリー

翌朝は宿でお弁当をあつらえてもらって西郷フェリーターミナルに。八時半出航のフェリーに無事乗り込めて、二階のオープンデッキで朝食。こりゃなんだ、風香は知っていて、「爆弾おにぎりですよ」 でっかい球形のおにぎりでビッシリと海苔が巻いてある。「隠…

ツーリング日和12(第10話)明日の予定

風香との話が盛り上がり、明日から女三人のマスツーにしようって話になったのだけど、隠岐ってツーリングで回りにくいところがある。隠岐には今いる島後も含めて四つの島があり、ここまで来たら四つともツーリングしたいじゃない。「もちろん、その気で来と…

ツーリング日和12(第9話)華やかな世界の裏舞台

三田村風香はアイドル映画のオーディションから勝ち上がった叩き上げだけど、「あの世界も男社会です」 これは今でも男性監督や男性プロデューサーが幅を利かすだけじゃなく、「女性監督や女性プロデューサーも気質として男社会ですから」 セクハラというよ…

ツーリング日和12(第8話)三田村風香

そんなもの覚えてるなんてもんじゃないよ。三田村風香と言えば一世を風靡した名女優だよ。わたしもファンだったもの。若い時から美人女優として知られ、その演技の評価も高かった。「高いなんてもんやあらへん。主役を食い尽くすって言われとったぐらいや」 …

ツーリング日和12(第7話)ドカとの再会

島後の北部のメインスポットがローソク島。海上にあるのだけど本当にローソクみたいな形をしてるのよ。ここには遊覧船も出てるけど、「夕日をバックにするとローソクに灯がともるように見えるインスタスポットや」 見たかったけど、こんなところで夕日を見て…

ツーリング日和12(第6話)島後観光

下船準備のアナウンスがあり、車両甲板デッキに。待つうちにランプウェイが開き、係員の誘導に従って、『ガタンガタン』 フェリーを使ったツーリングでランプウェイから下りた瞬間が好き。ついに上陸したぞの感動と、これから始まる冒険にわくわくしてくるも…

ツーリング日和12(第5話)ドカの女

ここは二階の船尾にあるオープンデッキの椅子席。出航風景を見送ろうぐらい。電車もそうだけどフェリーも乗っている間は退屈なところがあるのよね。観光旅行なら風景を楽しめるけどビジネス、たとえば東京までの電車になるとウンザリする時はある。「そやか…

ツーリング日和12(第4話)渡海

大山寺から県道二十四号で米子に向かう。道は良いし、向うに米子市内が見えて良い感じ。今日は宿に向かうだけだけど、皆生にしたのかな。「それでも良かったんやが、近い方が明日に便利やろ」 皆生も立派な温泉だけど、松江出張で温泉を利用しようとすれば皆…

ツーリング日和12(第3話)蒜山から大山

朝はこの宿のもう一つの名物風呂である立湯に。これは鍵湯より湯船は小さいけど、「なるほど座って入れんな」 ここも湯船の底から温泉が湧いて来るお風呂なのだけど深いのよ。百二十センチとなってたからプール並。「昭和の銭湯並みに深いな」 昭和やそれ以…