ツーリング日和21

     瞬と結ばれたマナミは同棲生活に。これも快適なんてものじゃなかったのですが、マナミに出てきた不安は、余りにも愛されるだけではなく、大事にされ過ぎている事です。

     恋人と夫婦は違うのはバツイチのマナミなら知っています。この同棲生活には欠けているものがあるのです。それは妻としてのマナミの役割部分です。

     これを見つけようと奮闘するマナミでしたが、何をやっても空回り。そのうちに自分がどう扱われようとしているのかの疑問が出てきます。

     さらに気になる女まで出てきます。二人の恋の行方はどうなるのか。

ツーリング日和21(第25話)美山の夜

しっかし一棟貸しって豪勢だな。ご飯を食べた囲炉裏の部屋以外にも二間続きの広々したリビングみたいなのがあって、寝室も別なんだ。昼間のツーリングの疲れに、お風呂と、牡丹鍋と熱燗攻撃もあったから寝ることにした。明日も遠いものね。 寝るとなればあれ…

ツーリング日和21(第24話)かやぶきの里

コンビニ休憩を終えて出発。道は相変わらずツーリングにピッタリの道だ。のどかな田園風景の中を走り抜けていく。だいぶ里山も色づいてるな。神戸ではここまでじゃないけど、だいぶ北に来てるものね。 そろそろ腹減ったな。短い休憩を挟みながら走りっぱなし…

ツーリング日和21(第23話)迷いのツーリング

瞬にツーリングに誘われた。今回も取材ツーリングだ。そりゃ、行きたいけど取材ツーリングなら遠慮しとこうかな。出雲街道ツーリングの時みたいにお邪魔虫になったら良くないじゃない。「なに言ってるのだよ。マナミと出会ってマスツーの楽しさの虜になって…

ツーリング日和21(第22話)気になる女

瞬は小説家だから出版社から担当っての付くんだよ。話には聞いてたけど、実際に会ってみて、ホントにそんなのがいるんだと感心した。この頃ではオンラインで済ますのも多いようだけど、マンションまで来て打ち合わせとかをやるんだ。 この辺はいくらオンライ…

ツーリング日和21(第21話)存在価値への疑問

出雲大社から帰路についたのだけど遠かった。それも、「行きの時に見落としてるところもあったから・・・」 行きの時ほどじゃないけど、宿場町をちょこちょこ見ながら往復ツーリングだったんだよ。帰りは湯原温泉だったのは嬉しかったけど、湯原温泉から神戸ま…

ツーリング日和21(第20話)縁結びの神様

出雲はとにかく古いのだけど、その一つに和風月名もあると思う。和風月名ってなんだだけど、睦月、如月、弥生・・・ってやつ。今でもカレンダーに書いてあったりするやつだし、古典の授業でも習ったよね。 この和風月名なんだけど、誰が作ったかは愚か、いつか…

ツーリング日和21(第19話)古代ロマン

玉造温泉から目指すは出雲大社だ。江戸時代の出雲街道は松江が終点だけど、出雲街道の成立は古いはずなんだ。だって出雲はどんだけ古いんだってところなんだもの。記録の上だけでも古事記の神話部分の大和王権のライバルだよ。 これじゃ、わかりにくいよね。…

ツーリング日和21(第18話)今夜も温泉だ

米子宿はあんまり残っていないらしくてパスして次は安来宿だ。ちなみに米子までが鳥取県で、安来市からは、なんとなんと島根県だ。安来市と言えば、「刃物だろ」 えっ、安来節じゃないの。ドジョウすくいってやつ。今はさすがに見なくなってる気がするけど宴…

ツーリング日和21(第17話)続街道の謎

大名同士の関係は微妙なところはありそうなのはわかる。松江藩は勝間田宿に本陣を作ってるけど、勝間田宿の前が津山宿で、その前が勝山宿だ。でもって、勝山宿から勝間田宿までナビで四十キロ以上あるんだ。昔で言えば十里以上になる。 勝間田宿に泊まろうと…

ツーリング日和21(第16話)街道の謎

旅先ってなんかテンション上があがるのよね。マナミだって、瞬だって、昼間のツーリングの疲れがあるはずなのに、今日は休んでおくって選択は頭から無かったもの。しっかり愛し合って関係をより深めたよ。 朝は部屋の露天風呂だ。ここも良かった。マンション…

ツーリング日和21(第15話)湯郷温泉

さすがに疲れてきたな。瞬の取材に付き合うのは妻予定者として当然のことだし、それぐらい出来なくて小説家の妻になんかなれるはずがないのだけど、ここは岡山県だぞ。岡山県には土居宿の時点で入ってるけど、さすがに遠いわ。「それはマナミ姫様、お気遣い…

ツーリング日和21(第14話)出雲街道

瞬がまたツーリングに行こうって。それもお泊り付きだし、城崎よりロングツーリングなんだ。「マナミも慣れて来てると思うから・・・」 城崎ツーリングは純粋に遊びの旅行だったけど、今回は瞬の仕事がらみのツーリングなんだ。瞬は何本か連載を抱えてるけど、…

ツーリング日和21(第13話)サヤカのわからんとこ

今日はサヤカと晩飯。サヤカはライトスクエアの社長をやってて、ビジネスの世界では皇帝陛下とまで怖れられている凄腕と言うより辣腕らしい。ちなみにマナミが勤めている会社も、元クソ夫と離婚した時にサヤカが世話してくれたライトスクエアの子会社だ。 な…

ツーリング日和21(第12話)ピロートーク

食事が終わって部屋に戻ると、ぴっちり合わせた布団が敷いてある。武田尾の時もそうだったけど、まあそうなるよな。武田尾の夜の時はあれこれあり過ぎて、なんか決闘に挑むみたいに臨んだけど、今はさすがにね。 瞬さんと同棲に入ってからマナミはとにかく幸…

ツーリング日和21(第11話)外湯めぐり

城崎でやらなければならないのは誰がなんて言おうが外湯めぐりだ。城崎以外でも外湯めぐりってあるのかな。「ありますよ。野沢温泉なんて有名ですよ」 野沢温泉って野沢菜の総本山みたいなところなんだろうな。野沢温泉はさておき、城崎には七つの外湯がある…

ツーリング日和21(第10話)瞬さんの収入

小説家も出版社も本を売ってナンボの商売だけどヒットの目安ってあるの。「紙と電子書籍で違いますが・・・」 電子書籍の方が紙にしない分だけ安く出来るよね。「とくに在庫管理が安くなります」 紙の本はかさばるから倉庫代だけでもバカにならないのか。今でも…

ツーリング日和21(第9話)小説家としての始まり

三木屋の由来はもう良いけど、気になったことがある。出石の蕎麦屋の時には瞬さんは、『秋野さん』 こう呼ばれてた。だけど三木屋では、『秋野先生』 だったのよね。これって出石の蕎麦屋の時はエリートビジネスマン時代に行ってて、三木屋は作家で行ってた…

ツーリング日和21(第8話)三木屋

とにもかくにも、これだけの超が付く高級旅館の常連さんとはまさに恐るべしだ。部屋に案内されたけど、これって次の間ってやつじゃないの。これは客室と言うより、御殿のお座敷だろ。縁側からはこれまた綺麗なお庭が見えるのよ。この宿は三木屋ってなってた…

ツーリング日和21(第7話)但馬ツーリング

生野を過ぎたら朝が来る町、朝来町と言いたいところだけど、今は朝来市だし、生野だって朝来市なんだよね。この朝来市ってのも広くて、和田山まで朝来市なんだよ。ホント、そこまでして市になりたいもんなのかな。 生野から三十分ほどで和田山に到着。ここは…

ツーリング日和21(第6話)北へ

ツーリングするのにネックになるのは実はマナミの方なんだ。というのも瞬さんはある種の自由業みたいなものだから時間に融通が利くし、ツーリングすることが作品の取材にもなるのよね。「経費で落とせるからね」 らしい。一方のマナミは会社勤めだから休もう…

ツーリング日和21(第5話)旅行の誘い

瞬さんはクルマを持ってるだけで、なんの役にも立たないから二人のお出かけはバイクだ。そんなツーリング中に二人は出会ったし、恋に落ちたし、なんとなんと同棲にまで進んでる。 バイクのツーリングは好きだし、そのためのバイク女子にもなっている。だから…

ツーリング日和21(第4話)瞬さんのクルマ

瞬さんもクルマ持ってるけど、それこそ口をアングリさせられたかな。それもロールスロイスとか、ベンツとか、ポルシェとか、フェラーリとか、ランボルギーニだったからじゃない。 そのクルマはマナミも聞いた事があるし、見たこともある。とは言うものの、モ…

ツーリング日和21(第3話)故郷のお祭り

マナミの故郷はどこにでもある少子高齢化で苦しむ地方都市って感じかな。かつては大工道具で栄えていたし、今でも有名な職人さんはいるらしい。けどね、大工道具も今は電動工具の時代で、その波に乗り損ねちゃって、はっきり言わなくても斜陽産業になってし…

ツーリング日和21(第2話)同棲へ

恋人関係が深まれば次に目指すのは同棲だ。絶対じゃないけどこのステップを通らないと再婚に進めないじゃない。これはステップと言う意味もあるけど、お互いをより深く知るのも重要ではある。 ごくシンプルには同居する事で互いの生活習慣がわかるじゃない。…

ツーリング日和21(第1話)プロローグ

大会社の社長さえ狙えた元エリート社員であり、今は人気作家であり、ダンディで、ジェントルメンで、インテリジェンスも高い瞬さんに告白され結ばれたのが武田尾の夜だ。まさに感動と試練の夜だった。 試練はすべて克服されて恋人同士になれた。今でも信じら…