天使と女神シリーズ9 女神の休日
ユッキー社長がバカンスに。それも超豪華客船でのクルーズ。ところがこれが怪しげな団体からの無料招待。罠だと心配するミサキを尻目に、ひたすらクルーズに熱中するユッキーとコトリ。このクルーズの先には果たして何が待ち受けているのか。 |
今回は完全なサイドストーリーです。テーマは旅もの。とりあえず豪華クルーズさせたのですが、とにかく豪華クルーズ船なんか聞いた事しかないので大変でした。モデルにしたのはクイーン・ヴィクトリアですが、船内地図と断片的な情報を基になるべく豪華そう…
「さて、晩御飯食べに食堂車行こうか」 「今日もですか」 「当然よ、これも仕事だからね」 モスクワからウラジオストクまでの世界最長の鉄道ですから食堂車も当然あります。なかなか立派な食堂車なのですが、値段はちょっと高級なファミレス程度でしょうか。…
視察は順調に進み、モスクワからシベリア鉄道に乗り込みます。頑張って二人用個室を並びで二つ確保して、ウラジオストックまで七日間の旅になります。時差ボケの心配がなくなったコトリ副社長はルンルン気分ですが、ミサキはさすがにウンザリ気分。ユッキー…
目覚めるとベッドの中。それにしてもひどい夢だった。夢って見てる時はリアリティがバリバリだけど、考え直すとご都合主義の矛盾がテンコモリなのよね。だってさ、無防備平和都市宣言とまで言われた、人畜無害のミサキが事もあろうに、冥界で大暴れって笑っ…
ぶっ倒れたナルメルを見下ろしながら、どうするかは途方に暮れる思いなのよ。そりゃ、あんな野郎の愛人になるなんて真っ平ゴメンだけど、その代償の冥界暮らしもウンザリしそう。それに暮らすたって、どうやって暮らすんだろこんなとこ。 とにかくなんにもな…
そこからはミサキは夜叉になった。クリスチャンに夜叉はおかしいけど、他に適当なのが思いつかいから、それでイイことにする。服と靴が見つかったのはラッキー。なけりゃ裸足に浴衣で戦わなきゃいけなかったし。第四の門からの戦いは、もう問答無用のものに…
道はますます陰気になってくのだけど、ようやく三つ目の門が見えてきた。まだ三つ目だけど、冥界の門って、洞窟の広間みたいなところの次の洞窟の入口を塞ぐような作ってあるみたい、洞窟自体、えらい狭かったり、ちょっと広かったり、登ったり下りたりもあ…
階段は延々と下って行きます。とっくに地面レベルは通り過ぎて地下に入っているはずですが、それでも下って行きます。 「これは深いですねぇ」 「そうね、でも行かないと仕事は終らない」 この階段には途中に部屋と言うものがありません。どうも竪穴を掘って…
延々と控室で待たされ続けましたが、 『コンコン』 男が入ってきて、 「ご案内します」 そこからまた迷路のような館内を案内されて、やたらと重厚な扉の前に、 「エレギオンHDの小山社長をご案内しました」 扉が音もなく開き中に。なんだ、なんだ、この部…
「ここなんですか」 「そうや」 タクシーで下りたところは鬱蒼たる森の前。そこには十メートルぐらいありそうな巨大な門柱と鉄柵の門。ユッキー社長はタクシーの中からなにか考え事に集中されてるようなのでコトリ副社長に、 「なんかバッキンガム宮殿の門み…
ルナはフランス食品産業界の大物、木曜会のメンバーでこそないものの、エレギオン・グループの中でもかなりの有力者。家はパリ郊外にあるお屋敷。 「何回見てもデカイ家だねぇ」 社長や副社長とも個人的にも仲が良いのです。パリに出張の時に何度かお邪魔し…
ミサキは加納さんとの夜があんな展開になるとは夢にも思っていませんでした。あそこまですべてを話してしまうとは信じられなかったのです。 「コトリ副社長、あれで良かったのですか」 「やってもたし」 そりゃ、そうなんですが・・・ユッキー社長も賛成だった…
ブラフッタはウィーン市内に支店が五つぐらいあるけど、招待されたのは本店。なかなかシックなでイイじゃん。既にお三人は来られていて、挨拶になったんだけど、考えてみれば社長や副社長から改まって挨拶されるのは初めての気がする。社長は、 「今日は世界…
私は加納志織、ホントに久しぶりの登場。だってさ、だってさ、私はこの長ったらしいシリーズの事実上の第一作のヒロインなのよ。もっとも、あの時は脇役のはずが、書きなれていない作者の迷走でタナボタ式にヒロインになっただけって言われるけど、それでも…
強引に猥談に持ち込まれて辟易していたら、 「すみません、日本の方ですよね」 あれ、これは日本語、顔を見ても日本人。 「大変申し訳ありませんが、今から少し撮影をさせて頂きたいので、その間だけ、席を移動して頂けませんか」 なるほど、ヨハン・シュト…
ユダとの話し合いを終りシュテファン大聖堂を出た社長と副社長は無言でした。やがてシュタットパークのベンチに座り、 「ユッキー、ホンマにあんな術が残ってるんやろか」 「わたしも術自体が具体的にどんなものかは知らないの」 「主女神は知っとったんやろ…
翌日は三人連れだってシュテファン大聖堂に。ここはウィーン大司教区のカテドラル。今日は朝からミサが行われるので出席しています。ミサキはマルコと結婚した時にカソリックに改宗していますが、お二人はどうかと思ったのですが、 「なに言ってるのよ。ミサ…
ウィーン国際空港にほぼ予定通り到着。ルッツが手配してくれた送迎車でホテルへ。ホテルではルッツ自らが出迎えてくれて、ディナーはホテルのレストラン・アンナ・ザッハーで。ミサキはそろそろ日本食が恋しくてならないのですが、お二人はパクパクと。 「日…
いよいよサザンプトンまで二日となった時に、 「ミサキちゃん悪いけど、ちょっと予定を変更するわ」 「エジンバラ城でもあきらめたのですか?」 「そうよ、ストーンヘンジもカージフ城も、カーナボン城もあきらめた。ウィーンに向かうことにする」 そうなる…
指輪騒動でミサキたちの正体を知ってしまったマリーは朝早くから、 「おはようございます」 当たり前のように部屋に入ってきて、ミサキたちの準備が整うのを待ってます。なにをしているかですが、 「マリーは皆様方の秘書でございます」 社長も副社長も断る…
『コンコン』 ビールが到着、 「来たばっかりで悪いけど、もう二ダースとソーセージの盛り合わせをお願い。ポテトサラダもね」 「サラミとカルパスも」 「それとフライドチキンとフィッシュ・アンド・チップスとシーザーズサラダ、ビーフステーキとペンネグ…
とにもかくにも四十五万ドルが手に入ったので、その夜はヨット・クラブを貸切にしての大祝勝会が行われました。ヨット・クラブはデッキ10にあるダンスも出来るにナイト・クラブです。これもコトリ副社長曰く、 「勝ち方の一つよ。これぐらいは還元しておか…
部屋には当たり前のようにマリーがいるのにも笑いそうでしたが、とにかく勝ったのでシャンペンを取り寄せて、 「カンパ~イ」 三時間ほどしてから船長が部屋に現れました。 「調査の結果ですが、ルーレットにも卓にも何の不正も御座いませんでした。またベッ…
社長と副社長はトムを呼び出して説教してました。もちろんミサキも加わってです。トムはかなり渋ったのですがユッキー社長は奥の手を使っています。まあ、あれをやられて抵抗できる人間はまずいないのですが、トムもしゅんとなってます。 「で、いくら負けた…
あれからマリーの態度はすっかり変わってくれたのですが、今度はベッタリ引っ付かれるようになりました。 「香坂常務」 「だからここではそれはやめて」 「では香坂さん」 「ミサキでイイよ」 歳もバレちゃいましたから、やたらと丁重です。 「マリー、お父…
寄港地観光の手配は案外時間がかかるのですが、昼下がりはデッキ9のウインター・ガーデンでお茶にしようっと。 「ミサキ、ミサキ、こっちだよ」 「おじゃまします」 船で知り合いになったベス。ベスにはミサキの事を社長と副社長の付き人ぐらいに思われてい…
今日はデッキ2のザ・ベランダでランチ。プリンセス・オブ・セブン・シーズは客室のランクによって食事できるところが変わりますが、そういう客室ランクに関係ないレストランもあり、その一つがザ・ベランダです。ここもなかなか豪華なスペシャリティ・レス…
船内は高級ホテルそのものの感じで、昼間はカジュアルな服装で構わないのですが、十八時以降は日によってインフォーマルとフォーマルのドレスコードが定められ、夜の催しに沿ったものが求められます。 テーマナイトがあり、ブラック・アンド・ホワイト・ボー…
ユッキー社長もコトリ副社長も休暇のために忙しく働いておられました。留守を任せるシノブ専務に信頼を置いていますが、少しでも負担を減らしておこうぐらいです。ミサキも同様です。申し送りも済ませるとシノブ専務は、 「行ってらっしゃいませ、安心して留…
エレギオンHDの経営は順調なのですが、お二人はどうにもコソコソと相談されている気配があります。こうやってミサキを外してお二人で相談を重ねる時にはロクな事がないので要注意です。 だいぶ前に大騒ぎになったのがバーベキュー。もちろんお二人がバーベ…