天使と女神シリーズ24 ツーリング日和3

 鈴鹿スカイラインで出会った和彦に魅かれるコトリとユッキー。ですが和彦は傷心旅行の真っ最中。和彦が振られた理由はともかく、和彦が振られる原因の一つとなった福井の料亭の話が気になります。

 これはマイの実家の料亭に関わるので報告だけはしておこうとなりますが、連絡を受けたマイは翌日には清次を連れて乗り込んで来ます。ツーリングの迷惑にしかならないとボヤくコトリでしたが、そこからマイの異能の真価を知る事になります。

ツーリング日和3 あとがき

原付ツーリングの設定の上に秘湯趣味の温泉小娘まで登場させているもので、ツーリング先にはまさに四苦八苦させられています。これも最初の目論見では但馬か丹波あたりに適当な温泉が転がっているだろうの目論見でしたが、これが見つからないのです。 大阪も…

ツーリング日和3(第34話)神戸の夜

小浜で時間食うてもたから、後は神戸に向かってひた走りや。最初の予定は舞鶴から綾部を走る予定やってんけど、時間と距離の短縮のために国道一六二号に変更や。「周山街道を走りたかっただけでしょ」 それはある。国道一六二号は初日も走ったけど別名周山街…

ツーリング日和3(第33話)審査発表

最後に出てきたのが海潮苑や。後が無くなったと判断したのか豪田は渾身の絶賛をしやがった。「・・・これこそ日本の宝です」 会場には白けたムードが流れとった。マイの順番が来たんやけど、「審査委員長、このままディスカッションにしてくれへん」 審査も公開…

ツーリング日和3(第32話)神の味覚

コンクールの会場はお台場公園の特設ステージや。マイは呼ばれて控室つうか控えテントに行ったわ。まず最初の難関は審査員の自己紹介やな。龍泉院なんか出したら大騒ぎになってまうからな。司会者が出てきて審査員の入場や。そこから審査員の紹介やけどマイ…

ツーリング日和3(第31話)若狭焼コンクール

ここがお台場公園やけど、駐車場は漁港の方か。そっちにバイクを回した時に、「フェスティバルの実行委員の田中と申します」 こんな声をかけられてん。話を聞くと若狭焼コンクールの審査員の依頼やった。そんなもんを行きずりの観光客がやってもエエんかと聞…

ツーリング日和3(第30話)三方五湖

八時半になったから出発や。マイたちともインカム調整して話せるようにしといた。虹岳島温泉からそのまま北側に走れたらレインボーラインは近いんやけど、残念ながら行き止まりやねん。 そやからまずは昨日来た道を引き返す。そやけど国道二十七号まで戻る必…

ツーリング日和3(第29話)ついてくるんかい

朝風呂入って朝食や。「コトリはんの今日の予定は」 まだ付いて来るんかいな。「レインボーライン走って、天空のテラスに寄る予定やが」 そんために水明湖畔の宿に泊まっとるんやろ。「そんだけ?」 あのな、コトリらの休みは今日までやねん。こっから神戸ま…

ツーリング日和3(第28話)板場の天使

清次さんは、「幸楽園の騒ぎの時に味の龍泉院を名乗れるのは三人だけって聞きましたやろ」 苗字のこっちゃろ・・・待て、待て、今のところ龍泉院の苗字を持っとるのは、マイと清次さん、爺さん、婆さん、それと離縁されて勘当されたとは言えマイのお袋さん。そ…

ツーリング日和3(第27話)マイの信条

食事が終わって部屋に戻ったらマイと清次さんが遊びに来よった。「コトリはんらはビールやろ。アテはもうてきた」 気が利くな。こういう面もあるのがマイの不思議なとこや。あんだけ人の話を聞かんのに、どっかで見て覚えとるもんな。そやから結婚も出来たん…

ツーリング日和3(第26話)虹岳島温泉

一乗谷から虹岳島温泉までのツーリングは平和やったことにしとく。清次さんが先行してくれたんやけど、やっぱバランスようないわ。だいたいやで、清次さんも二五〇CCのアメリカンやねん。 立派な中型バイクやねんけど、清次さんん後ろに続くマイのバイクは…

ツーリング日和3(第25話)なんでおるねん

さてやけど和彦さんとは福井駅で別れた。悪い人やなかったけど、コトリも、ユッキーも最後のところで食指が出んかった。ありゃ、公務員しとるのがお似合いや。「そこまで言ったら可哀想だけど、歯応えがなさすぎた」 人には向き不向きがある。公務員が合って…

ツーリング日和3(第24話)越前一乗谷

来たぁ、ついに来たで一乗谷。越前の地形の特徴はど真ん中に福井平野が広がってることや。九頭竜川、足羽川、日野川の沖積平野やけど、この中でとくに九頭竜川が暴れ川として有名やってんよな。「だから一乗谷だったとか」 水害回避もあったとは思うけど、こ…

ツーリング日和3(第23話)美味問答

メシを食べ始めた時に和彦さんが、「龍泉院さんでもサイゼリヤを食べられるのですか」 「井筒はん、龍泉院はやめてくれるか。うちも清次も龍泉院やからややこしいねん。マイって呼んでな。それとやけどサイゼリヤをバカにしたらあかんで」 そやった、マイは…

ツーリング日和3(第22話)英二

ビックリしたわ。もっと軽い水戸黄門ごっこで終わるかと思ってたのに、マイは泣き崩れるわ、清次さんが鬼のように怒りまくるわの修羅場になるとは思いもせんかった。とりあえず昼飯は先付から椀物で終わってもたから腹減った。おっ、サイゼリアがあるやん、…

ツーリング日和3(第21話)思わぬ修羅場

英二が土下座状態になったところで部屋にもう一人入って来よった。昼時の忙しい時間帯に板前が呼び出されたのをようやく知ったようや。遅いで、こんなもん即座に報告するもんやろが。「支配人の平井でございます。なにかお気に召さないことでもありましたか・…

ツーリング日和3(第20話)幸楽園

ほう、これが幸楽園か。表にまぁ、恥ずかしげもなく堂々と書いてあるわ。庭は広いけど、なんちゅうか仕上がりが良うない気がするわ。もうちょっと、なんとかならんもんか。あそこの池の太鼓橋も取って付けた感があるもんな。石も庭に馴染んどる気がせえへん…

ツーリング日和3(第19話)思い出のバイク

そこから今日の打ち合わせや。「任せといておくれやす。うちと清次であんじょうやります」 「やり過ぎんようにな」 アホ言うな。うちが来たからにはタダでは済ません。コトリはんが予約取ってくれてはるから幸楽園にマスツーや。懐かしゅうて涙が出て来るわ…

ツーリング日和3(第18話)呼ばれたで

うちが帳場におる時やった。電話があってんけど、「コトリ様ですね。ご予約でしょうか」 ひったくるように受話器を奪い取ったわ。そしたらやっぱりコトリはんやった。要件はすぐにわかったから、爺さんのとこにすぐに行ったで。「明日も明後日もうちも清次も…

ツーリング日和3(第17話)気がかりが一つ

和彦さんと柚香さんの恋は、どこにでもある失恋話と結論してエエわ。平井と和彦さんの中高からの因縁こそあるものの、全部引っぺがしたら、柚香さんが和彦さんを見切って、平井に走っただけの話に過ぎん。「それ以上の内容はないね」 和彦さんと柚香さんの復…

ツーリング日和3(第16話)食の祭典・福井

話を聞いていた和彦さんは、「柚香を愛してますが、手遅れなのです」 そやから傷心旅行やっとってんやろ。ここも柚香さんとツーリングの時は湯の山温泉の一泊二日やったそうや。ひょっとして、「同じルートで帰っています」 そやから、あんだけ道を知ってた…

ツーリング日和3(第15話)釣り合い談義

和彦さんがツーリングに来ていたんは、柚香さんとの思い出のツーリング・コースやってんて。そう初めてのお泊りデート・ツーリング。「泊まったのもあの旅館か」 「ええ、そうです」 あそこで初めて結ばれたってことか。それやったら、あれぐらい奮発するや…

ツーリング日和3(第14話)思わぬ関り

和彦さんは市役所の同僚の柚香さんに恋をしたんよ。「ツーリング仲間からでした」 二人は自然に付き合いだして結婚も意識するところまで行っとったらしい。ここまでは、どこにでもあるような恋愛話やねんけど、「平井が福井に帰って来たのです」 柚香さんと…

ツーリング日和3(第13話)鳩ヶ湯温泉

今庄宿から越前市、これもコトリにした武生と呼びたいけど、ここで和彦さんは国道三六五号から国道八号、通称福井バイパスに乗り換えた。そのまま行ったら鯖江の市街に入るんやけど、その手前で県道一九四号に入り、さらに県道一〇五号から二十五号にしよっ…

ツーリング日和3(第12話)北国街道

北国街道ってコトリは言うてるけど、これも実は他にも北国街道はあるねん。中山道の追分から善光寺経由で直江津に行く道があるねんけど、これを善光寺道とも呼ぶけど、北国脇往還とも呼ぶねんけど、この善光寺道を明治以降は北国街道と呼ぶことが多いねん。 …

ツーリング日和3(第11話)小谷

関が原で適当に昼飯食べて次は小谷城や。途中で姉川渡ったけど、あの橋の左右ぐらいが姉川の古戦場跡やねん。川を渡って浅井朝倉軍が襲い掛かった地や。さてまずは小谷城戦国歴史史料館や。こういうのん好きやねん。「これは大きな城だったのね」 「そやから…

ツーリング日和3(第10話)信長と家康

「三成はそんなに人望が無かったの」 「そんなことあるはずないやろ」 関が原時点でも家康の権勢は随一やった。信長、秀吉と回り持ちされた天下は次は家康で衆目は一致していたで良いはずや。そんな家康に盾ついて、あそこまでの大軍を関が原にかき集めた三…

ツーリング日和3(第9話)関が原

朝風呂入って、朝飯食べて、今朝はノンビリ出発や。なんせロープーウェイが動くのが九時からやし、宿からロープーウェイの駅まで近いしな。「観光地料金ね」 しゃ~ないと思うけど、駐車場でも料金取られたわ。普通車千円も結構なもんやけど、バイクでも五百…

ツーリング日和3(第8話)明日のプラン

「どうしようコトリ」 これは断じて夜這いの相談やない。会ったその夜に女から夜這いをかけるなんて下品の極みや。まず今日で魅かれだして、明日のツーリングやってるうちに想いが高まり、これが愛しいに変わるもんや。「こっちは二人だから向こうからもない…

ツーリング日和3(第7話)湯の山温泉

そろそろ今日の泊りの湯の山温泉に近いはずやねん。このパーキングは御在所岳ロープーウェイの手前ぐらいやねんけど、今日の宿は鈴鹿スカイラインのもう一本南側の県道沿いにあるねん。 この県道やけど、入るには、ここから三キロぐらいさらに下って入り込む…

ツーリング日和3(第6話)鈴鹿スカイライン

また駐車場にバイクが入って来たんやけど。「近江八幡で見た気がする」 「安土城でもおったんちゃうかな」 目に付いたんはKTMのデュークやったからやねん。外車やってのもあるけど、やっぱり、見慣れんバイク見たらバイク好きならどうしてもな。「390…