ツーリング日和23

 新婚の美玖と剛紀。夫婦でツーリング楽しんでいましたが、そこに現れた3台目のモンキー。持ち主は同じ社内の流花ですが、その流花にトンデモない見合いがされているのを知った二人は・・・

ツーリング日和23(第35話)激熱ラブ

昨夜の美玖は凄かった。これは旅行先の宿であるのもあるだろうし、あんな話をしたのもあるかもしれない。あれはまさしく初体験の反応としか思えなかった。覚悟を決めて男に身を委ね、恥じらいながら男の愛の行為を受け止め耐えているとしか見えなかったもの…

ツーリング日和23(第34話)愛情温度

夕食を終えて部屋の戻ると布団が敷いてあった。さすがにすぐ寝るには早いから縁側のテーブルのところに座って、さっきの話の続きをする事にした。まずだけどボクが惚れた女を溺れ込む様に愛する事は否定しない。「そんな剛紀に選んでもらえたから美玖はこん…

ツーリング日和23(第33話)夕食の夫婦の会話

浴衣に着替えてまず風呂だ。なんだかんだと言っても、温泉に来たからにはまず風呂だ。旅館と言えば大浴場なんだけど、ちょっと変化球で貸切風呂にしてみた。なんのためにってか。そんなもの美玖と二人で入るためだ。 だってだぞ一緒に風呂に入れば、脱衣場で…

ツーリング日和23(第32話)国領温泉

ティータイム休憩を終えて走って行くと国道一七六号に入ってくれる。おニューのルートでのチャレンジだったけど、ここまでは順調だ。「篠山市街の北側ぐらいです」 ここから鐘が坂トンネルを越えて柏原に向かうルートがポピュラーだし、「柏原では御馳走にな…

ツーリング日和23(第31話)モンキー乗りのつぶやき

最後の峠越えはちょっと厳しかったけど、今日のツーリングの最大の難所を越えた気分かな。このルートはこれからも使えるのじゃないかな。「途中でバイクに抜かされました」 赤いバイクだろ。大型のスポーツバイクだった。こっちだってチンタラってほど遅くは…

ツーリング日和23(第30話)大峠越え

ツーリングの楽しみ方はバイク乗りによって様々なんだ。あえて基本と言うなら、目的地を決めて、目的地へのルートも調べてから走るツーリングかな。これは長距離ツーリングになるほどしっかり調べるはず。 理由は道に迷って時間を喰い過ぎると目的にたどり着…

ツーリング日和23(第29話)北へ

神戸から北を目指すツーリングに使うルートだけど、今回の目的地なら六甲山トンネルから六甲北有料道路で三田を目指すのを良くつかう。通行料も三田まで走って四十円だし、六甲山トンネルを越えるのもモンキーでは手強いところもあるけど、時間を稼ぐには有…

ツーリング日和23(第28話)美玖の夢

社長夫人になった流花の接待旅行からしばらくしてから、「温泉旅行に行きましょう」 ボクもそうしたい。なんか新婚の流花にあてられたものな。「美玖だって新婚です」 新婚がいつまでかの決まった定義はないらしい。短いのなら新婚旅行が終わるまでなんての…

ツーリング日和23(第27話)赤穂浪士

赤穂にまでツーリングに行ったのだから赤穂浪士の遺跡巡りと言うか、赤穂浪士の話もしたかったけど、「流花は興味がありませんでした」 歴史に興味があるかないかは純粋の趣味の問題だものな。ボクだってアイドルの話とか、最近のマンガとかアニメの話になる…

ツーリング日和23(第26話)龍野

ツーリングの朝は早い。朝風呂に入り朝食だ。ここは湯豆腐もあるのか。朝から湯豆腐なんて旅館じゃなければ食べられないよ。「出汁巻き卵もなかなか」 「鯵の一夜干しも美味しい♪」 朝食が終わると出発なんだけど、バイクに乗る前に歩いて二分の伊和都比売神…

ツーリング日和23(第25話)夜話

部屋に戻ると流花は、「どうしてもお聞きしたいことがありまして・・・」 なんだろ、「どんなご夫婦やっておられるのですか?」 はぁ、見ての通り普通の夫婦だよ。「たしかに夫婦らしく名前呼びをされていますが、部長の話され方が・・・」 ああ、あれか。あれは美…

ツーリング日和23(第24話)座興みたいなトラブル

赤穂城から引き返して赤穂御崎に。今日はあれこれ回ってくたびれた。今日の宿は、「ここです」 これは立派な温泉旅館だ。さて部屋は・・・ちょっと待った、ちょっと待った同じ部屋はいくらなんでも拙いだろうが。流花を誰だと思ってるんだ。「社長夫人の御意向…

ツーリング日和23(第23話)坂越から赤穂に

ありゃりゃ、センターラインが無くなったな。トンネルを潜って、橋を渡って、またトンネルを潜って、裏道って言葉がピッタリ来るような道だよな。そのせいか交通量も少ないな。それでも向こうに海が見えてきた。海岸線に下りてきて、この辺が坂越みたいだ。…

ツーリング日和23(第22話)はりまシーサイドロード

ワインディングロードではあるけど、ヘアピンもどきみたいな急カーブは無さそうだし、アップダウンもそれほどじゃない。道の駅みつまでの市街地走行のストレスが少しは解消されそう。「ここを下りれば室津となっています」 あの辺が室津か。そうなると道の駅…

ツーリング日和23(第21話)道の駅みつ

ひたすら市街地走行と格闘しながら市川を越え、夢前川を越え、ついに揖保川だ。揖保川を越えるとすぐに中川を越えるのだけど、中川は揖保川の河口部の支流のようなもので、かつては三角州だった気がする。でもって中川を越えるとついに龍野だ。「はりまシー…

ツーリング日和23(第20話)明姫幹線

社長のマンションにお出迎えだ。社長夫人が待ってるとは恐縮だけど社長は、「会社の研究室に行っております」 そ、そうなるか。それでも驚くほど変わってるのだよな。だって毎日家に帰るようになったんだもの。ところで社長夫人・・・・「それはやめて下さい。会…

ツーリング日和23(第19話)社長命令

美玖、なにを悩んでるんだ。「非公式の社長命令です」 あの社長が美玖に命令? それも非公式って密命みたいなものか。たとえば誰かを暗殺するとか。「星雷社は暗殺組織ではありませんし、美玖もアサシンではありません」 だったら愛人になれとか、「辞表を提…

ツーリング日和23(第18話)裏話

美玖は顧問弁護士の高木先生とタッグを組んであの結婚問題にあたっていたんだ。ただし顧問弁護士とは言え、会社の事に関係してないと言うか、関係しているけどプライベートと言うか、会社の顧問料の範疇かと言われると微妙なところがあったから美玖個人の依…

ツーリング日和23(第17話)鴨鍋ツーリング

今日も美玖とツーリング。もう十二月に入ろうとしていて寒くなって来てるのだけど、寒さ対策のカスタマイズをしてみた。バイクは外気温に左右される乗り物だけど真冬でもツーリングをする猛者だっている。 そこまでは頑張る気はないけど、やっぱり走りたいの…

ツーリング日和23(第16話)ヴァージンロードの決戦

ついに迎えた結婚式。身寄りのない山名君のために営業部上げてサポートする事にした。「会社を上げてです」 そうなった。政略結婚らしく盛大な式になり、両社の取引先も来賓にゴッソリ招いているからな。出席者の最終的なバランスも必要だ。チャペル式か。ボ…

ツーリング日和23(第15話)社長

家に帰ってから山名君の話だ。星雷社発展の原動力は社長の力だ。星雷社の経営とはごくシンプルには社長が開発した製品を如何に売り込むかがすべてみたいなものなんだよ。社長にはトンデモ発想力と、それを力づくでも実用化してしまう変態技術力がある。「そ…

ツーリング日和23(第14話)下黒家

ツーリングから帰って来てから、「下黒産業は幾つかの問題を抱えています」 ああそうだ。老舗ではあるが業績が不振なんだよな。このままでは正直なところ危ないはずだ。いわゆるテコ入れが必要なのだけど、社内体制もまたぐらついているらしいのだよな。あそ…

ツーリング日和23(第13話)立杭焼の里

蕎麦屋を出て西に向かい、四斗谷川を渡り北上。「ここを右に行きます」 程なく立杭焼の里だ。立杭焼は丹波焼とも呼ばれて六古窯の一つとなっている。古窯とは中世ぐらいから続く伝統的な焼き物産地を指すのだけど、ここに近世になり大陸なり半島からの技術を…

ツーリング日和23(第12話)山名君

山名君なのだけど星雷社の地位は少々特殊だ。この辺は長い話になる。山名君はそれなりに裕福な家庭の一人娘として生まれている。一人娘であった理由は他にもあるとは思うけど、「母が病弱でして・・・」 二人目を産むには無理があったとか、なかったとかの話だ…

ツーリング日和23(第11話)マスツー

待ち合わせのコンビニ駐車場に行くと待ってるな。「専務も御一緒とは・・・」 そこからインカム調整して出発だ。まず新神戸トンネルを抜け岩谷峠を越え、そのまま直進して吉川ICを目指す。「専務と部長の夫婦生活ってどんな様子なのですか?」 ごくごく普通だ…

ツーリング日和23(第10話)三台目のモンキー

三台目のモンキー「剛紀、見ましたか?」 見たよ。星雷社の駐輪場の前にモンキーが停まってた。「それもニューカラーの黄色です」 美玖、情報がリニューアルされていないぞ。今はもう・・・「そうでしたね。今はもう四代目です」 モンキーは五〇CCとして誕生…

ツーリング日和23(第9話)備前往来

朝食を頂いてまずは板井原集落に向かう。智頭の北側ぐらいにある伝統的建築物保存地区で美玖のリクエストだ。と言いながら、智頭まで来てるからボクも見てみたい。国道五十三号を鳥取方面に走り、智頭の町はずれぐらいで、「あそこのファミマの角に入ります…

ツーリング日和23(第8話)将軍家の夜

食事が終わり寝床に入ったけど今日は寝る。さすがに疲れた。言っとくが倦怠期じゃないぞ。そんなものは美玖がいるのに来るものか。単に体力の問題だ。さすがにアラフォーだってこと。「江戸時代の将軍は大奥で寝てたのですか」 大奥って日本版のハーレムみた…

ツーリング日和23(第7話)二つの峠

「お風呂を頂いて来ます」 これまた懐かしすぎるお風呂に入ってから夕食。そこから今日の因幡街道のまとめと言うか、感想みたいな話になった。まずだけど佐用経由の因幡街道も、山崎経由の因幡街道もおおよそで言うと走りやすかった。「難所さえ越えれば後は…

ツーリング日和23(第6話)散策

ここが因幡街道のはずだけど、こりゃ狭いわ。バイクでも走れるけど、こういうところは歩かないと。これはなかなかの街並みじゃないか。ずっと田舎道を走って来たから感じると思うのだけど、こういうところに入ると人の息吹を感じる気がする。「昔の旅人もそ…