天使と女神シリーズ34 ツーリング日和14

 ユリのはとこの亜美が福井から神戸に逃げてきた。まだ高校生なのに卒業と同時に結婚を迫られるピンチ。これを助けるためにユッキーとコトリに相談したのですが、あっさりと難問題を解決し、そこからこれ幸いとばかりに歴史三昧ツーリングに。

 亜美には結婚問題とは別に日本史の名物課題があり、これが信長の大苦戦として有名な金ヶ崎の退き口。参考資料にされそうだった司馬遼太郎の尻啖え孫市を肴に史跡巡り。歴女のコトリの趣味がひたすら炸裂します。

ツーリング日和14 あとがき

さすがにこのシリーズも完全に煮詰まりました。プロローグでも触れましたが、ツーリング先が枯渇しています。これも書きながらやっとわかった気もしますが、モトブロガーが行き詰るパターンと同じです。 モトブロガーも色んなパターンがありますが、良くある…

ツーリング日和14(第37話)エピローグ

コトリ、今回のツーリングだけど、「不満は受け付けん」 不満って程じゃないけど、ちょっと偏りがあった気がしてさ、「鯖寿司美味かったやんか」 そりゃそうだけど、「ソースカツ丼も良かったやろ」 ああいうのも旅の楽しみだけど、「鹿蕎麦とか鹿カレーはな…

ツーリング日和14(第36話)浅井問題

「あの時の続きか」 とりあえず朝倉義景は愚かすぎるよね。「英雄ではあらへんけど」 「愚かすぎるは言い過ぎよ」 だって義昭が金ヶ崎に来た時に担いで上洛していたら朝倉幕府になってたかもしれないじゃない。「あの判断は悪くないと思う」 「常識的にはそ…

ツーリング日和14(第35話)三十階の夜

コウもシドニーから帰ってきて、「ユッキーさんから呼ばれてるんだけど・・・」 ああ、あの話の続きだ。どこかのレストランかと思ったら、「三十階に来てくれって」 三十階って、まさかクレイエールビルの三十階じゃないでしょうね。「そこだよ。ユリは初めてだ…

ツーリング日和14(第34話)旅の終り

朝風呂と朝御飯を頂いて出発。大原から出町に出て、「ここが鯖街道の終点となってる」 ここに塩鯖市場があったとか、「そこまで調べてへんけど、行商人やからお得意さんのとこに行ったんちゃうか」 それとこれも推測でしかないとしてたけど、塩鯖を売り払っ…

ツーリング日和14(第33話)長秀と光秀

部屋に戻って恒例の酒盛りの続き、「おつまみにおばんざいとお味噌もらってきた」 お味噌を舐めながらお酒を飲むみたい。まあイイけどね、「そういうけど、もろきゅうってあるでしょ」 ちょっと違う気もするけど、もう一つ聞いておきたいことがある。今日の…

ツーリング日和14(第32話)あの歴史的エピソードは?

京地鶏は美山ですき焼き食べて以来だけど美味しいな。亜美さんもパクついてるものね。「足らんかったら、なんぼでも追加するから遠慮せんでエエからな」 「食べなきゃ、大きくならないよ」 あれだけ食べても大きくならない見本がユッキーさんだけどね。今日…

ツーリング日和14(第31話)味噌鍋

泊った宿はなんと温泉だ。「京都市内では珍しいよ」 「ラドン温泉やったらあるやろうけどな」 ラドン温泉もたまに見かけるけど、あれって普通の温泉とどこが違うんだ、「あれはお湯の中にラドンガスを送り込んだものよ。だから人工の温泉で、天然のものはラ…

ツーリング日和14(第30話)寂光院

朽木からはようやく普通の走るツーリングだ。名所旧跡巡りや歴史ムックも楽しいけど、ツーリングはやっぱり走ってこそだよ。そりゃ、寄り道もするし楽しいけど、今回みたいなのはやりすぎだ。 それでも若狭街道って歩いても歩きやすいのじゃないかな。寒風峠…

ツーリング日和14(第29話)鹿蕎麦

「腹減った」 「そやな」 コトリさんが向かったのが道の駅の前の蕎麦屋さん。なんとも言えない外観で、中も庶民的と言うか、なんと言うか、「ライダーが入るにはピッタリやろ」 「気楽が一番」 さて何を頼むかだけど、店の前にはデカデカと十割蕎麦と出てる…

ツーリング日和14(第28話)光秀の謎

朽木谷と言えば光秀が来たエピソードがあったはず。「国盗り物語やな」 「あれも道三編はおもしろかったけど」 やっぱりあれもフィクションとか、「あれは可能性を膨らませただけや」 「無いとは言い切れないよ」 光秀が朽木谷を訪れたのは義輝の時、「司馬…

ツーリング日和14(第27話)朽木

保坂から朽木までも十分足らずかな。保坂からすぐに谷間の道って感じだ。そういえば朽木って要害の地だよね。「それなりにはな。そやけど真ん中に若狭街道が突っ切っとうから、交通不便の地とは言い難いな」 「朽木に入れる道は三本だから、それを塞いだら守…

ツーリング日和14(第26話)保坂

朝食を頂いてから宿から駐車場に戻りながら、「熊川宿の最盛期は江戸時代の前半やろな」 「もっと短いよ、河村瑞賢の西回り航路が確立したのは家綱の時代だよ」 西回り航路の始まりは加賀藩が年貢米を瀬戸内海経由で大坂に運んだのが始まりだとか。この航路…

ツーリング日和14(第25話)若狭の情勢

亜美さんがたまりかねたのか、「佐柿は、いや若狭はどうなっていたのですか?」 「それやるんか。長くてつまらんで」 「でも亜美さんの質問だから仕方ないよ。コトリ、出来るだけ手短にね」 若狭は若狭武田氏が守護だそうだけど、「内紛いうか親子喧嘩が起こ…

ツーリング日和14(第24話)金ヶ崎からの撤退

部屋に戻ってもバカスカ飲んでるのだけど、高校生の亜美さんの教育に良くないよ。でも感心するのは、どれだけ飲んでも崩れる様子がまったくないこと。それどころか何とも言えない品があるって感じ。とにかくどれだけ飲めるのか想像もつかないよ。話は撤退戦…

ツーリング日和14(第23話)宿場町の歴史

これだけ大きな宿場町となると、「わからんかった」 「小浜は有名だけど」 そこまでは無いにしても、「調べた範囲で言うたら、一日に四百人ぐらい泊っとった記録はあるそうや」 それは多いはず。「それにここは水運と陸運の中継ポイントみたいなとこじゃない…

ツーリング日和14(第22話)観光

今日のツーリングはやっぱり異様だ。だってだよ、敦賀の丹後街道の始まりの石碑で一休み、関峠で大休止、椿峠の手前の坂尻でまたまた大休止、佐柿に至っては城跡登山と郷土史研究家との話で二時間も座り込み。 お昼の時も話し込み、九里半街道のところも大休…

ツーリング日和14(第21話)大軍の兵糧

ここで亜美さんから、「信長は三万の大軍ですよね」 そんな話だったはず。だけど今でさえそうだけど、昔の合戦の軍勢が実際にどれほどだったかは藪の中も良いとこみたい。ああいうものは多い方が優勢に見えるから、それこそ鯖を読みまくり状態だってさ。「そ…

ツーリング日和14(第20話)撤退ルートの謎

あそこみたいだな。バイクを置いて、そこから脇道に入って行くと、大きな置き行灯に熊川宿って書いてあるのがテンションを挙げてくれる感じ。カラー舗装なのがオシャレだ。「土道のイメージやろうけど、アイデアや。ここまでしてるんは初めてやないか」 熊川…

ツーリング日和14(第19話)九里半街道

歴史ムックツーリングとなってるけど、ホントにノンビリしたツーリングだ。でも助かる。やっぱりタンデムのツーリングは気を遣うし、本音を言うと疲れるのよね。神戸から敦賀に走った時からヤバイと思ってたもの。 やっぱり250ccじゃ無理があるし、タン…

ツーリング日和14(第18話)北国街道

そうそう北国街道だけど、あれも不思議なのよね。あれって木之本から今庄に行く道なんだけど、「あそこはややこしいねん。コトリも勘違いしとったぐらいや」 敦賀があるから古代から官道もあったそうだけど、京都から西近江路、つまり湖西を北上して海津から…

ツーリング日和14(第17話)司馬遼太郎のウソ

待つことしばしで郷土史研究家の人のクルマが来てくれて、「亜美さんはクルマに乗せてもらったらイイよ」 タンデムのケツは辛いはずだもの。そして家に着いたら、リビングと言うより応接間だなこれ。ユリたちも上がらせてもらって、「国吉城籠城記の話ですよ…

ツーリング日和14(第16話)国吉城

椿トンネルを抜けると、なんだこれ高架道路が絡み合うようにあるじゃない。バイパスがこの辺に集まって来てるみたい。そんな高架下の道が終わる頃に、「次の信号を左に曲がるで」 国吉城址って看板がある方だな。さらにすぐに左に曲がると古い家が建ち並ぶ街…

ツーリング日和14(第15話)丹後街道

朝食を頂いて、「今回は距離走るツーリングやのうて、歴史フィールドワークツーリングや」 亜美さんとタンデムでまず向かったのが敦賀市街。ここは小学校の前だけど、「校門の左側に石碑があるやろ」 なになに丹後街道の起点がここだとなってるけど。「丹保…

ツーリング日和14(第14話)歴史小説と時代小説

鯖の話で盛り上がってから部屋で酒盛り、もとい話の続き。「ユリはこれを読んどいて」 尻啖え孫市だ。「亜美さんはこれを頑張って一緒に読んでみよか」 なんだその漢字の行列みたいな文章は。それって漢文とか、「漢文ちゃうで。ひらがなも入っとる日本語文…

ウーリング日和14(第13話)鯖街道

「宿行こか」 金ヶ崎から気比の松原に方に向かってるみたいだけど、「これもついでやし」 「時間もあるものね」 これが有名な気比の松原なのか。須磨の松原よりずっとずっと立派だ。「日本三大松原の一つやからな」 松原まで三大なんたらがあるのか、「三保…

ツーリング日和14(第12話)金ヶ崎城

ソースカツ丼屋からまず向かったのが金ヶ崎城。この辺には旧敦賀港駅舎だとか、敦賀赤レンガ倉庫だとかもあって、綺麗に整備されてる感じもするのだけど、コトリさんたちが入って行ったのは住宅街の道、「コトリ、どこかで間違えたのじゃない」 「さっき確認…

ツーリング日和14(第11話)本当の目的

それにしてもよく敦賀まで来てくれたものだ。「そりゃ、コウとユリの頼みじゃないの。これぐらいお安い御用よ」 ありがとうユッキーさん。涙が滲んで来そうになったのだけど、「ウソ吐け、鯖寿司に魅かれてきたんやろうが」 「コトリだって、久しぶりに本格…

ツーリング日和14(第10話)勝負の付け方

亜美さんの心配もよくわかる。茅ヶ崎竜王は強い強いって評判は知ってるけど、プロ同士の将棋だから絶対はないはず。それにしても茅ヶ崎竜王の指し手は早いな。相手が指した瞬間にもう指してる感じじゃない。 あれって研究ってやつかな。戦術を予め決めておい…

ツーリング日和14(第9話)敦賀決戦

決戦の地は敦賀だけどユリも行かないとならないのよ。亜美さんの介添人として行くこと自体は文句はないけど、決戦に引き続いて、コトリさんたちとのツーリングに誘われてるから、バイクで行かないとならなくなってる。 敦賀はコウと東北ツーリングに行った時…