10/19に医療関係者の接種が始まるとはなっていましたが、当地でと言うか当院は無理でした。10/17付医師会新型インフルエンザ対策本部「新型インフルエンザワクチン」についてからですが、
兵庫県医師会から郡市医師会長宛に発せられました新型インフルエンザ対応について(第39報)の中に以下の文章がありましたので参考までに転送させて頂きます。
新型インフルエンザ接種対応については、受託医療機関のリスト及び委任状を郡市医師会にて第一次集約して頂いたところですが、10月14日現在で、4232機関の手上げに医療従事者136081名という結果になりました。
県内に届いているワクチン第1弾は23700本と限られており、当初配布できる量は限定的で、県側の判断にて各医療機関とも一定数以下となることをあらかじめご理解下さい。以後順次納入のワクチンについても、各機関で優先順位に即して重症者中心に適切に接種されますようにお願い致します。
希望者13万6081名に対し、県への配布量が2万3700本だそうです。単位が「本」なので、これの1mlバイアルと10mlバイアルの内訳は不明なのですが、4232医療機関の大部分が診療所と考えて良さそうで、どういう配布になるか現在のところ不明です。また新型接種にはすべて専用の各種用紙が定められているのですが、現在のところ手許には届いていません。もう少し言えば具体的な発注方法も未だに不明で、どうなっているかの続報も私のところにはありません。情報を御存知の方は教えて頂ければ幸いです。
10/15にあった医師会主催の説明会で、保健所の課長が
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「接種要領の『案』が10/14に正式承認されました」
どこが用紙を印刷するかは分からないのですが、まとまった部数が必要なため、随時契約であっても、
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契約提示 → 見積もり → 正式発注
- 優先接種対象者証明書
- 新型インフルエンザ予防接種予診票(医療従事者(救急隊員を含む)、妊婦、基礎疾患を有する者、1歳未満の小児の保護者、高校生の年齢に該当する者、高齢者(65歳以上)対象)
- 新型インフルエンザ予防接種予診票(1歳から就学前の小児・小学生)
- 新型インフルエンザ予防接種予診票(中学生対象)
- 新型インフルエンザ予防接種済証
- 受託医療機関以外の場でのインフルエンザの予防接種の実施について
- 新型インフルエンザ(H1N1)予防接種後副反応報告書
- 新型インフルエンザ接種者報告書(受託医療機関用)
- 新型インフルエンザ接種者報告書(市町村用)
- 新型インフルエンザ接種者報告書(市町村用)・・・別の様式
- 新型インフルエンザ接種者報告書(都道府県用)
- 医療従事者(救急隊員を含む)、妊婦、基礎疾患を有する者、1歳未満の小児の保護者、高校生の年齢に該当する者、高齢者(65歳以上)対象
- 1歳から就学前の小児・小学生
- 中学生対象
ここまで昨日書いていたのですが、今朝Faxがまた入っていまして、平成21年10月19日付神戸市医師会新型インフルエンザ対策会議「新型インフルエンザ情報(34報)」として、
2、配布方法
※10月19日の週よりまず2、の第1回目分が配布される予定です。
- 病院:1回接種分として10ml 3本を基本に配布
- 診療所:1回接種分として1ml、2本を基本に配布
マスコミ情報では事前に連絡も無く突然病院に搬入されたところもあるそうで、うちもそうなるのか注目しておきます。
それともう一つの不確定要素が漂っています。新型接種が1回か2回のお話です。上記した神戸市医師会のFaxにも、
13歳以上は1回接種でOKという通達が厚労省より正式に発表されれば、この倍の人数になります。今後の情報にご留意ください。
マスコミ情報では厚労省は13歳以上は1回接種の方向で考えているになっていますが、正式承認されたとする「案」では、
イ 接種の方法
(ア)新型インフルエンザの予防接種は、A型インフルエンザHAワクチン(H1N1株)を1回、又は7日以上の間隔をおいて2回注射するものとし、接種量は当該ワクチンの添付文書による
1回接種を原則にするなら、ここの文章の改訂も必要かと考えるのですが、事務連絡とか通達で済ませるのか、正式の接種要領の改訂まで行なうかで手続きが変わります。
それとなんですが、接種要領の変更の正式承認はいつどこで行なわれるかも興味があります。接種要領の「案」は10/1にインフルエンザ対策会議が行なわれ、そこで10/19に医療関係者から接種を開始することを承認された(と考えられる)後に、都道府県の担当者に配布されています。つまりは10/1時点では正式承認されていない状態です。
噂では早期に正式承認するという情報もありましたが、結局承認されたのは10/14です。接種回数の件も「早期に決定する」とかのマスコミ情報が流れてはいますが、「案」の正式承認までの日数を考えると、言い切れませんが厚労省単独では承認できない可能性があります。事務連絡や通達程度で済む問題なら早いでしょうが、接種要領の改訂となると日数がかかる可能性です。
あくまでもこれは私の推測ですが、どうも新型ワクチンの接種計画は、すべからくインフルエンザ対策本部の承認が必要な気配があります。接種要領の正式承認が10/14になったのも、そこまで対策会議が開かれなかったためでないかと考えられるからです。現在の政府は御存知の通り、補正予算及び来年度予算の大幅改正の作業を秋の臨時国会までに間に合わせるのに忙殺されています。
ここら辺までも昨日書いた部分ですが、新たな情報が出ています。10/19付読売新聞より、
厚生労働省の足立信也政務官は19日夜、新型インフルエンザ用ワクチンの接種回数について、原則1回にするとした方針は拙速だったとして、専門家との意見交換会で再検討した。
その結果、優先接種対象者のうち1回接種とするのは当面、医療従事者に限るとする案で合意した。20日に政務三役で正式決定するとしている。
またぞろ迷走しそうな気配があるのですが、「拙速」としながら医療従事者は1回接種にすると「決定」する「予定」だそうです。慎重に判断するのは悪い事ではありませんが、
「小規模でも妊婦や基礎疾患のある人を対象にした臨床試験も実施すべきだ」とする意見も大勢を占めた
治験となると、考えられるスケジュールは、
- 治験計画の立案承認
- 治験対象者にワクチン接種を行い、少なくとも2週間以上空けて検体採取
- データの収集分析
- これを専門家会議とやらに報告検討
- 専門家会議からの報告に対する厚労省の判断
- 厚労省の判断の政治承認
とりあえずですが、中途半端な情報だけ報道で流すのは堪忍して欲しいところです。「そういう方針」「決定される予定」の情報が不要とは言いませんが、ここまで切羽詰った状態で未確定情報だけ流されるのは医療機関にとって迷惑です。「そういう方針」「決定される予定」のマスコミ情報は読む人の少なからずの方々が「決まったもの」と解釈してしまいます。
とはいえマスコミ情報は断片的なので、「私はどうなる?」の確認を医療機関に行ないます。医療機関も報道情報以上は何も知りませんから「わからない」しか返答しようが無く、この問合せに対する対応で混乱に拍車がかかります。ただでもインフルエンザ患者の急増と、季節性インフルエンザ接種の対応で精一杯のところに、返答しようがない未確定情報の問合せの負担は大きすぎると言う事です。
1回接種の問題も10/19夜に疑問点が浮上して10/20に新方針が打ち出されるのなら、10/19時点で観測情報など嬉しそうに発表せずに、10/20に正式に方針が決定されてから発表して欲しいところです。医療機関が接種希望者に説明できるのは正式情報として発表されたものに限られ、まさかマスコミ程度に書かれている事を接種希望者に伝えるわけにはいかないからです。信用問題になりますからね。
時間をかけて議論をする時間があれば良いのですが、スケジュールがこれだけ押せ押せになっていますから、現時点の情報で誰かが責任を持って判断する必要があると考えます。新型問題はある種の非常事態ですから、確実にすべてを検証してからユックリ行動できることではなく、不確定の結果責任を抱えながらも、それこそ政治主導で責任判断を行なわなければならない事態と考えます。
ここで頼みますから、
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1回接種と2回接種のメリット、デメリットを十分に説明した上で、接種希望者の同意を得ること