新型インフルエンザワクチンがやってきた

医師会からの連絡通り、1mlバイアルで2本「突然」やってきました、昨日の事です。

写真の質が悪いのは私の腕のせいですから御容赦下さい。

だからどうしたなのですが、考えれば考えるほど不思議な経緯になります。2本であるのは医師会からの連絡通りではあるのですが、こちらからは発注していないのです。もちろん「届出表」なるものに接種予定人数を記載しましたが、あれが注文代わりなんでしょうか。あの届出書の人数も疑問があるのですが、うちの診療所ではFaxが届いた翌日に「要返事」です。

零細診療所では人数の把握も意思確認も即座に出来ますが、病院では一体どうだったのでしょうか。もし同じ条件で返事を要求されたら、職員全員の接種の意思確認など不可能のはずです。できるのは職員数を報告するだけになります。「オレはしたくない」とか「私はアレルギーの関係でできない」なんて職員も含まれているはずです。

それでも報告分の人数のワクチンが粛々と送られるのでしょうか。ちょっと不思議なところです。それでもワクチンは今の時期なら余っても他に幾らでも転用は可能ですから、この問題はこれぐらいにします。


次の疑問は本当にワクチンだけ唐突に届られた事です。委託医療機関の認定契約は、希望すれば落選する事はまずないとは思いますが、それでも通常は承認の連絡と言うか、承認に従ってワクチン接種に必要な書類一式ぐらいは一緒に送られてきそうなものです。一緒にと言うか本来は、あらかじめ送られていて当然のものですし、少なくともワクチン到着時には必要なものかと考えます。

考えられるものとして、

  1. 委託医療機関認定証
  2. 正式承認されたワクチン接種要領
  3. 新型インフルエンザワクチン接種に当たって」という接種希望者に対する説明書
  4. 優先接種対象者証明書
  5. 新型インフルエンザ予防接種予診票(医療従事者(救急隊員を含む)、妊婦、基礎疾患を有する者、1歳未満の小児の保護者、高校生の年齢に該当する者、高齢者(65歳以上)対象)
  6. 新型インフルエンザ予防接種済証
  7. 新型インフルエンザ(H1N1)予防接種後副反応報告書
  8. 新型インフルエンザ接種者報告書(受託医療機関用)
とりあえずこれだけの書類が、診療所でも新型ワクチン接種を行なうには必要なはずです。接種希望者には医師や看護師などの医療職のほかに受付事務員などもおり、医療関係者ですからある程度説明を簡略にするにしても欠かせない書類かと考えます。とくに予診票も無しに接種するのはかなりの違和感を覚えます。当たり前ですが、医療関係者であってもワクチンにより重大な副反応を起す可能性はあり、書類手続きが何も無しで接種した時の補償手続きがどうなるかを心配せざるを得ません。

マスコミ報道では医療関係者に接種開始の写真入の記事がありましたが、そういうところでは書類は間に合っていたのでしょうか。それとも書類は一切記入せずに、とりあえずワクチンが来たから接種を先行させたのでしょうか、非常に気になるところです。予診票については季節性の予診票を流用するというのは考えられますが、手続きとしてそれで良いのかどうかは私には判断がつきません。


新型インフルエンザ対策ではワクチン問題だけではなく、「エェ」という事が多々起こっています。ですからこの程度の事で驚いてはいけないのかも知れませんが、5月や6月の大混乱期はともかく、比較的準備、とくに事務手続きに関しては時間的な余裕があったはずのワクチンでさえ「エェ」は次から次に起こると考えざるを得ないようです。

臨機応変、現場の裁量といわれても、新型インフルエンザ対策は箸の上げ下ろしまで厚労省は中央統制で口を挟みます。とくにワクチンについては、新型ワクチンでなくとも、厚労省は非常に神経質になるもので、後で接種要領に従っていない部分があった時に、何を言われるかわかったものではありません。医療機関だってそれを踏まえて気を使っているというのに、かなり杜撰な印象を禁じ得ません。

私もワクチン接種の当事者でなければネタとして大いに笑えるところですが、ゴチゴチの当事者ですから笑うに笑えず困惑している次第です。とにかく数日様子を見ることにしようと考えています。後からどんな事務連絡が来るかわかったものじゃありませんから。



・・・とここまでは昨日書いていたのですが、まず素人の浅知恵様から、

#申請用紙の印刷

調達が間に合うはずもない施行スケジュール&調達経費の削減の関係で、<案>に添付されていた様式の”案”の字を消して、申請受付窓口となる出先の事務所が自前の輪転機or複写機orPCのプリンタで、調達するのが常例という行政機関なら耳にしたことがあります。当該行政分野では、制度開始日の前日に様式<案>が窓口となる出先事務所に到達するという事態が生じても、今更驚かないとか。(噂です。)

上には上の事情があるとは言え、スケジュール遅れの帳尻は、

    <案>に添付されていた様式の”案”の字を消して、申請受付窓口となる出先の事務所が自前の輪転機or複写機orPCのプリンタで、調達するのが常例
下も回されたツケを払うのは大変なようです。今ごろ大車輪で、せめて11月には間に合うように作業を進められているんじゃないかと思います。そこまでやらないといけないかと嘆息していたら、今度は一産科医様から、

現時点で接種されている医療機関の多くはそうしているんでしょうね、うちもとりあえず職員の分だけでもDLして印刷しておく事にします。ここまで来ると「上に政策あれば、下に対策あり」なんてレベルじゃないような気もします。少しだけ気になったのは、厚労省の「新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種事業」に、

予診票等は、都道府県もしくは市町村により様式の変更が行われていることがあります。その場合は、変更後の様式を使用するようにしてください

まあ、この程度でいちいち驚いていたら、新型インフルエンザ対策には付き合えないとは言えますが・・・。