今年も今日を含めて後3回ぐらいの予定で、さすがに大晦日まで書くのはチョットです。ラスト3と言うほど大袈裟なものではありませんが、今日は今年一番取り上げた回数が多いと思われる新型インフルエンザ関連です。もっとも今年の最後だからといって「まとめ」ではありません。あくまでも情報収集、情報提供です。
まずは輸入ワクチンがどうなっているかですが、これはマスコミ情報を参考にします。まずは12/15付読売新聞より、
政府の新型インフルエンザ対策本部(本部長=鳩山首相)は15日、これまで妊婦など優先接種対象者に限っていた新型インフルエンザワクチンを、健康な成人にも接種する方針を決めた。接種開始時期は未定。
当初、ワクチンは2回接種を原則としてきたが、妊婦や基礎疾患(持病)のある人などが1回接種となったため、ワクチン量に余裕が生じた。来年以降、輸入される海外製ワクチンが用いられる。
これは大雑把に解釈すると健康成人に新型接種を行うが、用いるワクチンは輸入ワクチンを使用する方針と読めます。輸入ワクチンについては色々と議論はありますが、とりあえず受験生にとっては朗報かなとは思います。そうなると問題は輸入ワクチンが現在どうなっているかですが、12/26付CBニュース(Yahoo !)より、
厚労省は28日から1月11日まで、メーカーからの申請資料概要や医薬品医療機器審査機構の審査状況などの資料を提示した上で、パブリックコメントを実施する。その後、1月中に開かれる薬食審薬事分科会で、第二部会の結論とパブコメの結果を踏まえて再度承認の可否について審議が行われる。
分科会で承認が了承され、厚労省が正式承認した場合、実際に医療現場で使用が可能となるのは2月上旬になる見通し。用法・用量に関しては、GSKのワクチンは小児から成人まで1回接種。ノバルティスの方は18歳未満と50歳以上が2回で、それ以外は1回となる予定。
輸入ワクチンの承認スケジュールですが、12/26時点で一応条件付で承認とはなっていますが、手続きが続くようで、
- 12/28〜1/11までパブコメ募集
- 1月中旬に最終審議
もう一つ気になったのは、
- GSKのワクチンは小児から成人まで1回接種。
- ノバルティスの方は18歳未満と50歳以上が2回で、それ以外は1回
国産ワクチンではメーカー指定もワクチンの規格指定も不可でしたが、輸入ワクチンはどうなるんでしょうか。CBの情報を読む限り、メーカーで用法がどうも異なるようです。1回接種の対象者もしくはGSKのワクチンなら問題ありませんが、ノバルティスのワクチンは少々扱いに困りそうです。接種希望者にとっても、2回接種対象者なら常識的に1回で済むGSKの方が医療機関に行く手間も、料金も安くなりますから、どうなるか注目しておきたいところです。
整合性を取るためには、ノバルティスのワクチンを18歳未満と50歳以上に使わないという運用が考えられますが、一方でGSKワクチンはちょっとしたトラブルを起しているので興味深いところです。それとこれも当然出る声と言うか懸念ですが、予想として季節性インフルエンザの流行が真っ盛りの2月に、どれほどの接種希望者がおられるかと言う問題もあります。
例の輸入ワクチンの主体がパーティボトルが主体であるとの情報も含めて来年に注目される点かと考えられます。
二つ目の話題ですが、余ったワクチンの有効利用と言うか廃棄問題です。本来は集団接種用のパーティボトルが医療機関が行なう個別接種にいかに使いにくいかは何度か書かせて頂きました。懸命に予約で人数を確保しても、当日のドタキャンとか体調不良等で穴が開き、残ってしまうワクチンが発生します。残ったワクチンに対し、
- 優先順位を外してでも有効利用すべきだ
- 優先順位が優先されるから廃棄すべし
しかしながら、今般、一部の受託医療機関において、接種開始時期となっていない者に対して接種を行う等、不適正な接種を行っているとの情報が寄せられております。
ついては、新型インフルエンザワクチンの接種事業の適正な実施を図るため、優先接種対象者等の範囲、優先接種の順位及び優先接種対象者等ごとの接種開始時期等の遵守について、別添のとおり、各医療関係団体を通じて医療機関あて周知を行い、併せて厚生労働省ホームページにおいても掲載し周知を図っておりますので、各都道府県におかれてもご了知いただくとともに、都道府県医師会などの関係団体や受託医療機関等に対する説明の機会等を利用して周知を図っていただけますよう、よろしくお願いいたします。
これはどう読んでも「有効利用 << 優先順位」と受けとれます。さらに、
不適正な接種が横行することは、スケジュールの順守など事業の円滑な実施に支障をきたすこととなることも踏まえ、不適正な接種事例が報告された場合、まずは各都道府県において、その事実の確認を行うとともに、必要に応じて是正を求める等の措置についてご協力いただけるようお願いいたします。そのうえで、接種した事実の隠蔽や再三の改善指導にもかかわらず不適正な接種を繰り返す等の受託医療機関については、事案の概要、経緯、受託医療機関名等を当事務局の担当までご連絡いただき、連絡いただいた案件については、直接、厚生労働省において改善のための対応を行うこととします。
これも「有効利用 << 優先順位」の補足と解釈します。これには別紙もつけられており「新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチンの接種について −受託医療機関の皆様へ−」として、
つきましては、新型インフルエンザワクチンの予防接種の目的を踏まえた適正な実施を確保するため、優先接種の順位や優先接種対象者ごとの接種開始時期に従い、優先接種対象者であることを確認のうえ、接種を行っていただくなど、適正な接種を行っていただくよう、よろしくお願いいたします。
そういう事みたいです。もっとも「有効利用 << 優先順位」と言っても、医療機関が求められるものは
-
優先順位を厳守しながら有効利用(完全利用)♪
なんと言っても、受託医療機関は接種要領を厳守するという契約になっており、接種要領は受託医療機関と協議なしで国がいつでも自由に変えられます。新しい情報を常に入手しておかないと、知らないうちに「契約違反」の大罪を犯す危険性がありますし、少しでも情報収集をサボると新しい事務連絡や、要領の改訂が湧いていますからくれぐれも御注意下さい。
これは番外ですが平成21年12月15日付事務連絡「平成21年度第2次補正予算案における新型インフルエンザ対策経費について」もついでに紹介しておきます。
項目 | 金額 |
新型インフルエンザワクチン接種助成費臨時補助金 | 207億2000万円 |
保健衛生施設等設備整備費補助金 | 16億400万円 |
新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備臨時特例交付金 | 950億円 |
計 | 1173億2400万円 |
こういう風にされたそうです。これもご参考までに。