アレレレ、辞めちゃった

珍しく「ボッ〜」とテレビを見ていたら突然の「臨時ニュース」。サンテレビ以外はぶち抜きの首相辞意表明でした。どうせ日本中のブログが取り上げているとは思いますが、今日は他の話題を書いても話がそこにしか回らないでしょうから、ベタですがあげます。

安倍前首相は健康問題もありましたが、参議院選挙の歴史的大敗、衆参ねじれ国会対策への重圧で突然の辞任をしています。参議院選挙で大敗しても政権を続ける意志を見せていましたが、国会開幕が現実になると自信が無くなり投げ出したような格好です。安倍前首相が政権を放り投げた時の構図は福田首相の時にも全く変ってません。そういう意味では苦難の船出になろう事は誰の目にも明らかだったと言う事です。

安倍前首相も福田首相もねじれ国会のための秘策は「大連立」だったかと思います。安倍前首相はどうやら思いつきで突然、福田首相はもう少し綿密に工作しましたが、結果は同じで挫折しています。挫折の結果は安倍前首相が国会開幕後、代表質問のドタキャンからの辞任表明となり、福田首相衆議院2/3再可決を連発しながらの国会運営を強いられる事になります。

福田首相はキャラのためか、それとも首相と言う重職の宿命か、参議院を支配した民主党の抵抗による国会運営の停滞の責任を負うことになります。ほとんど福田同情論は起こらなかったかと思います。大連立失敗後の首相に注がれる視線は、「いつ解散総選挙か」「そもそもいつまで首相を続けるつもりか」と言う扱いになります。

通常ならば大連立が失敗した時点ぐらいで、解散総選挙の切り札を首相の座にいるものの特権として切るはずなのですが、ねじれ国会の重圧がこれを封じ込めます。ねじれ国会がそれでも機能しているのは衆議院で2/3という与党議席があるからで、総選挙を行なえば過半数は確保できても2/3確保は至難どころか不可能なのは誰の目にも明らかです。つまり選挙をすれば郵政選挙並みの歴史的勝利を飾らない限り、情勢はさらに悪くなるというのが首相の縛りになります。

おそらく首相の心を決定的に挫いたのが連立与党である公明党の動向とされます。衆議院2/3再可決のためには公明党の協力が必要です。ところが公明党は2/3再可決も反対であり、さらに去年揉めたインド洋給油法案も反対の意向をかなりはっきり示したとされます。手も足も縛られた首相が最後に自由になるものは口だけで、昨晩の辞任表明に至ったとされます。

大雑把にはこんな感じでしょうか。これから裏話がいっぱい漏れてくるとは思いますが、外野から見ているとこんな風に見えます。まあ、理由はともあれ辞めちゃいました。辞めたら次の話題は「誰に?」に移ります。

本命は麻生氏である事は間違いありません。ただ麻生氏で一枚岩かと言えば微妙です。麻生氏はなんとなく人気のある政治家ですが、私が見るに麻生待望論みたいな流れにはなっていません。人気があるから麻生氏を担いで総選挙を戦えば「まだマシ」ではないかぐらいと位置付けです。ここで視点を「総選挙のために人気のある政治家」にすると、麻生氏以外の選択の可能性が浮上します。

民主党は小沢氏が無投票で三選しましたが、自民党総裁選は無投票になる可能性は非常に低い選挙です。勝てなくとも次期後継者の地位を確保するためだけにも必ず誰かが出馬します。今回は誰が総理総裁をやっても、総選挙後にひと揉めあるのは確実であり、この総裁選挙で一定の支持を獲得しておけば、総選挙後の次の首相の座が狙える計算も出てきます。

そうやって出馬してきた候補者の中に、麻生氏よりも「総選挙のために人気のある政治家」であるとの認識が拡がれば、選挙の帰趨は分からなくなります。現在出馬が取り沙汰されている小池氏なんかがその典型で、麻生氏を担ぐより小池氏を担いだ方が総選挙のためには有利と言う計算が党内に流れとして出てくる可能性があります。本人は次のための布石のつもりであっても、出てみたら総理総裁みたいな感じです。

それとこれも総裁選挙がもつれれば動向が微妙なのが小泉チルドレンです。彼らは総選挙対策で、現役議員であるにも関らず冷遇されています。この情勢で小泉チルドレンの再選は殆んどないだろうの観測からです。ただ彼らにも総裁選挙の投票権があります。選挙対策を取引材料に工作すれば票数としてかなりのものが出てくる可能性があります。接戦になれば小泉チルドレンの20〜30票がどう動くで結果を左右することも出てきます。

今頃、麻生氏はもちろんの事、出馬検討候補も工作に飛び回っているはずです。さ〜て、本命がすんなり後継になるのか、それとあっと驚く対抗馬が勝ってしまうのかに注目されます。もちろん新首相がいつ解散総選挙に打って出るのかも、後継首相決定後の重要課題です。臨時国会冒頭で断行するのか、補正予算成立後に行なうのか、それとも・・・。

一つ言えるのは事故調法案はこれで秋の臨時国会で成立する可能性が低くなった様な気がします。そこまで手が回らないと思われるからです。ドサクサで成立させて総選挙のアピール材料にするという考え方もありますが、選挙対策にしては地味ですから、先送りリストに入る様な気がしています。いずれにしてもドタバタの政治ショーをしばらく見物する事になりそうです。