新総理雑感

とりあえずうちの子どもの感想です。

    また覚えなあかんやん!
私の頃は現代史が軽視されていましたから、最近の総理の名前をさほど覚えておく必要はなかったように思いますが、最近はテストに出る事もあるらしく嘆いていました。私だって小泉氏ぐらいまでは思い出せますが、その前となると「え〜と、え〜と」になります。せめて平成になってからの総理ぐらいは子どもの手前、覚えておこうと思いましたが、鳩山氏まででなんと15人もおられます。

20年で15人も多いのですが、このうち小泉氏が5年半ほど務めていますから、残りの総理は平均で1年ほどしか務めていない計算になります。こりゃ覚えるのも大変です。ちなみに平成になった時の総理は竹下氏です。竹下内閣が退陣した原因は他にもあるでしょうが、平成元年4月に今に続く消費税を導入し、内閣支持率が5%まで低下し退陣を余儀なくされています。

平成になってからの初代となると宇野氏です。宇野氏の在任期間はなんと69日です。竹下内閣から引きずっていた消費税導入、リクルート問題に加え、神楽坂の芸妓とのスキャンダル問題が燃え盛り、参議院選挙で歴史的惨敗を喫し退陣しています。平成元年は結局のところ

    竹下 → 宇野 → 海部
この3人の総理が引き継ぐ波乱の年であった事がわかります。昭和から引き継いだ竹下氏は除くとして宇野氏から鳩山氏までの在任日数をちょっとまとめてみます。

名前 在任日数
宇野宗佑 69
海部俊樹 818
宮沢喜一 644
細川護熙 263
羽田孜 64
村山富一 561
橋本竜太郎 932
小渕恵三 616
森善朗 387
小泉純一郎 1980
安倍晋三 366
福田康夫 365
麻生太郎 358
鳩山由紀夫 267


皆様どれぐらい覚えておられましたか?小泉氏がダントツに長かったのは間違いありませんが、平成スケールから言うと、橋本氏や海部氏も案外長かったのが確認できます。小泉氏はもう解説の必要も無いでしょうが、次に長かった橋本氏と海部氏を思い出してみたいと思います。

これも小泉氏を例外として最近の内閣の支持率は発足直後が最高で、後は急落していくのに見慣れてしまっていますが、橋本氏も海部氏も人気が高かった総理です。橋本氏が総理に就任したのは1996年1月ですが、4月には60%に持ち上げ10月に投票が行なわれた総選挙では勝っています。本来なら就任後の実績を評価されて支持率が上昇するのは何の不思議もないのですが、小泉氏だけしか出来なかったマジックじゃなかったと再確認しました。

橋本氏もその後に消費税率アップとそれに伴う消費不況により支持率を低下させ、参議院選挙に惨敗して退陣を余儀なくされていますが、鳩山退陣の大きな理由になった普天間返還交渉をまとめたのも橋本氏ですから、実績としてはもっと評価しても良い総理かもしれません。

もう一人の海部氏は今からすれば化物のような支持率を残しています。これはwikipediaからですが、

在任中の内閣支持率は高い時で64%、退任直前でさえも50%を超えており

これだけの支持率があればさらなる長期政権を担当しても不思議ないのですが、当時は派閥支配が今より強力で、海部氏も竹下氏のコントロール下に置かれていました。どんな状態であったかと言えば、これもwikipediaからですが、

自民党幹事長を務めていた小沢一郎は「担ぐ神輿は軽くてパーな奴が一番いい。」

内政問題は党内抗争のために悪戦苦闘であったようですが、比較的活動しやすかったと考えられる外交では成果を残したようで、これもまたwikipediaからですが、

湾岸戦争における経済的な協力や掃海艇派遣では驚異的なねばり腰で法案を成立させた。このことに限らず、外交面では当時のサッチャー英首相やブッシュ米大統領から絶大な信頼を得ていた。天安門事件後、世界から孤立しかかった中国に西側先進国首脳として真っ先に訪問し、円借款を再開させたことには現在でも中国から感謝され「井戸を掘った人」として尊敬されている。

なぜに海部退陣に追い込まれたかはwikipediaからも読み取るのが難しいところがありますが、海部氏の個人的な人気でそれなりの安定があり、安定があった故に党内基盤の弱い海部氏の後釜抗争が激化し、これに対処しきれなかったぐらいと考えています。そう言えば、いつも水玉のネクタイをしていたのがトレードマークだったように記憶しています。


さて新総理(予定)ですが、選挙の洗礼を浴びていない内閣としての批判はあるようです。これは民主が野党時代に主張しすぎたためのブーメランもありますが、歴代総理が就任後すぐに解散総選挙を慣例の様に行なっていたわけではありません。それに嫌でも、もうすぐ参議院選挙です。首相の座はすべての政治家が究極の目標として奪い合う椅子ですから、自力で参議院選挙を勝ち、秋の民主党代表選に勝てば雑音は封じ込めます。

また新総理(予定)が鳩山内閣の一翼を担っていたからの共犯論もあるようですが、これも同上で対応すれば良いだけです。国民はぶっちゃけた話、どういう経緯で総理の椅子に座ったかでなく、椅子に座ってから何をしたかの方を遥かに重視します。党内抗争の妥協の産物みたいな瓢箪から駒内閣であっても成果を見せれば評価しますし、総選挙の洗礼を浴びた正統派であっても成果が見えなければ評価は急落します。


それにしてもどうなるのかなぁ。私は自民でも民主でも本当のところはどっちでも良く、総理に相応しい力量を持つ人物が総理に相応しい仕事をして欲しいだけなのです。もっとも「だけ」と言いましたが、「だけ」を満たす総理はそう簡単には現れないと痛感しています。まあ、なんつうか、総理の力量を持つ事と、総理の椅子に座れる力量が比例関係に必ずしもない事が原因じゃないかと思っています。

まだ新総理(予定)ですから、すべては総理(正式)になってからを注目したいと思っています。