このブログも長くなったもので、2005年の総選挙の結果を選挙の怖さとして書き、2009年の総選挙の結果を選挙の怖さ2として書いています。そして2012年の今回の選挙もまた「選挙の怖さ」としたいと思います。毎度毎度同じ感想なのは進歩が無いのか、ブレがないのかは御判断にお任せします。
まだ各党の得票率が出ていないようですが、圧勝した自民は小選挙区で237、比例で57となっているようです。2005年、2009年の選挙とちょっと比較してみると、
年 | 政党 | 小選挙区 | 比例代表 | 総議席数 | ||||
得票率 | 議席数 | 議席率 | 得票率 | 議席数 | 議席率 | |||
2005 | 自民 | 47.8 | 219 | 73.0 | 38.2 | 77 | 42.8 | 296 |
2009 | 民主 | 47.4 | 221 | 73.7 | 42.4 | 87 | 48.3 | 308 |
2012 | 自民 | ? | 237 | 79.0 | ? | 57 | 31.7 | 294 |
2005年の自民大勝の時とほぼ同じ議席を獲得していますが、興味深いのは比例区の獲得議席数です。今回は57ですが、惨敗した前回が55です。2009年の自民の比例区得票率が24.8%ですから、今回も似たようなものじゃないかと推測されます。この推測が正しければ有権者が求めたものがおぼろげながら浮かんできます。かなりの偏見は入りますが有権者はバランスを求めたんじゃなかろうかです。
2005年と2009年のオセロ劇の結果は有権者は肌身に沁みて感じていると思っています。ああいう一党圧勝劇による結果ではなく、もう少し与野党が均衡した政治状況を望んだです。しかしそれは選挙制度が許さなかったみたいな感じです。これが小選挙区制の特徴と言えばそれまでですが、今回もまた起こったオセロ劇の結果は複雑に思っています。それでも結果は結果ですから前回、前々回と同様に受け止めなければならないのでしょう。
民主は見るも無残な敗北です。敗北は選挙前から予想されていましたが、小選挙区の27はともかく比例の30は悲惨です。
年 | 比例代表 | ||
得票率 | 議席数 | 議席率 | |
2000 | 25.2 | 47 | 26.1 |
2003 | 37.4 | 72 | 36.9 |
2005 | 31.0 | 61 | 33.9 |
2009 | 42.4 | 87 | 48.3 |
2012 | ? | 30 | 16.7 |
どうなんでしょう比例の得票率は20%に届いていない気がします。今回の自民人気は個人的には2005年の小泉劇場、2009年の「とにかく政権交代」に較べるともっと曖昧なものだと思っています。言ったら悪いですが失敗歴のあるバツイチ総裁ですし、自民も3年前に落第点をもらった政権です。それでも民主は「自民の復活はチョット」の層を殆んど引きつけられなかったと見ます。言っちゃ悪いですが、自民は好きでないが民主はもっと嫌いみたいな感覚の結果に見えます。 維新は・・・橋下代表代行の表情がすべてを物語っているような気がします。国政選挙初参加で54議席獲得は立派過ぎる成果です。準備不足の中でこれだけの議席を獲得できた事は橋下氏とて評価はしているかもしれませんが、これだけでは実質のところ国会で存在感を示すには「まったく足りない」に強い失望感を抱いていると思います。自公が勝つのは仕方がないにしても、野党全部で半数にやや足りないぐらいの構図が欲しかったと思っています。大雑把には小さくなった民主と維新、みん党で200余りぐらいの感じです。それぐらいにならないと存在感を示すのが難しくなります。 次の一手は、そうですねぇ、衆議院の野党第一党の地位を取る工作でしょうか。とりあえず民主との差はたったの3議席です。今から好き好んで民主に合流する議員はいないでしょうから、どっかから4議席引っ張り込みたいと考えているような気はします。たった60議席程度でも野党第一党と第二党ではメディア露出が違いますから。みん党との合流が遠からず再浮上するぐらいかな? 醒めてみれば多くの人間が評価したように、今回の選挙の争点は「民主だけは嫌だ」が炸裂したで良いかと思っています。その受け皿競争だったのですが、小選挙区制の特性を最大限に享受したのが自民だったです。維新などの第三極と称された勢力は落ち穂を拾ったものの、民主も含めどこも小選挙区制の第二極になれなかったぐらいです。第二極が不在になる政治状況はどうなるのかはこれから体験させられる事になりそうです。 最後に誰もが気がついているでしょうが、過去2回のオセロ劇と同様に新政権が発足して1年もしないうちに参議院選挙があります。2005年の自民も、2009年の民主もここでつまづいて捻れ国会で自滅しています。安倍氏なんて直接の体験者です。少しでも冷静な目で今回の選挙結果を分析すれば、参議院での自民勝利はたやすくない事はわかるはずです。また最近の政権の人気の落ち方は来夏まででも長すぎます。安倍氏が前回の轍を踏むか踏まないかは注目されるところです。 前回より安倍氏が有利なのは、現時点では有力な対抗勢力が存在しないところでしょうか。民主が来夏までにどれだけ立ち直るかは疑問ですし、維新がローカル政党から全国区にどれだけ脱皮できるかも未知数です。まあ、これでも負けたら自民も安倍氏も「いつか来た道」になるかもしれません。 もう一度言っておきますが、結果は結果です。自民と安倍氏は再び政権を握ります。自民も安倍氏も考え方への批判は多々あるでしょうが、日本を悪くするために政権を担おうとは思っていないはずです。個人的にはそろそろ「それなり」の安定政権の誕生が日本に必要な時期になっていると思っています。さてさて、どうなる事やらです。