追伸

もう1回(間抜け弁護士)様のコメントを再掲させて頂きます。

今日もうちの弁護士からこんなことになっていると教えられたので,もう1回だけ。
冒頭の「仲間」はもちろん責任を追及され,命がけで戦っている医師たち,誤った判決,過酷な判決を受けた医師たちのこと。胸の痛む経験は多いが,彼らの絶望を理解し,支えてほしい。医道審処分や保険医資格処分も同じ。
ひどい法医の鑑定のせいで民事裁判と刑事告訴を受けた医師が,「医事紛争と医療裁判」をネットで入手して刑事裁判の項を読んで怖さがわかったと弁護依頼にきたことがある。時間の余裕がなく,アドバイスはするが,病院と彼の民事裁判で反証の材料を作るからと言って断った。法医教授は証人尋問でめちゃくちゃになって民事も順調で,刑事は不起訴。2人の救急専門医が挿管に難渋し,3人目で気道確保できた例であったが,反証には,SIRSやARDSなど感染症の基本問題のほか,DA気道困難症症に加え,CRPガイドライン06なども提出している。
依頼者にも徹底的に勉強してもらうが,AHA・GL05などにも目を通すし,BMJなど欧米文献にも目を通し,鑑定人や協力医に根拠文献を出してもらって誤解を指摘するような裁判をいているので,自分の裁判にはそれほど援助は要らない。わたしのいう援助はなによりも「医事紛争」p248以下のような誤った判決に対する本格的な批判的検討。
中身も知らないで判決を鵜呑みにする連中は法律側にもいるが,専門の医学的な部分については医療専門家が適任だし,法律家に誤りに気づかせることが必要。無視できないエビデンスがあれば必ず効果はある。効果が出るまで批判を続ける。
大淀病院事件の皆さんの批判も心強いが,無礼な日刊スポーツ記者に頭を下げさせた大きな成果のあることも教えられた。この事件の相談も受けており,詳細はいえないが,その後の推移に皆さんの論議も利いているのは確か。しかし,それだけでなく,脳卒中GLや高血圧GLも援用している。そんな多面的な援助がさらに役に立つ。
法律家は実務家だけでなく研究者も不勉強。医学知識だけでなく,文献もろくに読んでおらず,法学知識も怪しいものが少なくない。信頼できる弁護士を探すのも大変だが,言われることを軽々しく鵜呑みにしないこと。
これが裁判だと言われれば弱いと思うが,これは医療だといわれても信じてもらえないのが現在。しかし,長いサイクルで見れば医学医療と同様に裁判も大きく動く。医学の変動ほど激しくないが,マスコミの目線で動く裁判に屈服しないで粘り強く批判することが必要。実例は多いが,裁判も不動ではなく180度転換した例もある。今の医療裁判は出だしの冬の時代をようやく抜け出したばかりの90年代後半からの暗転期だけど,不可能なものを強要する権利は法律家にもないので,いつまでも続くはずはない。
欧米の医師たちの裁判批判や立法闘争も参考にして,うち側から医療全体も動かしてほしい。そんな運動を待っている誤判は数多い。他人事でないと言うのはそんな意味。

前回のコメントで「仲間」の意味を取り違えた事を謝罪させて頂きます。どう読ませていただいても、医療訴訟のそれも医療側に立って尽力して頂いている弁護士のお言葉と私は信じます。それも最前線の現場の声としか私には思えません。訴訟の制度は一朝一夕には変わりようがありませんが、現状で出来ることについての示唆に富んだ提案だと思います。内容は私が半端な解説をするよりそのまま読んでいただければ、十分理解できると考えます。どれほどの議論が展開するかは予想もつきませんが、建設的なものになる事を願っています。

なおモトケン様のところでも同様の議論は既にされているのは存じていますが、このコメントを受けてもう一度やってみるのは決して無駄な手間ではないと考えます。先日この手の議論を避けようと発言しながら前言を翻すのは心苦しいですが、こんな貴重なコメントを頂いて無駄にするのはもったいなさすぎると思います。この点についても謝罪させて頂きます。