ツーリング日和7(第16話)二度目の経験

 二人の朝の二回目。感想はやっぱり痛かったけどだいぶマシ。初回との差はあれこれらるけど、一番の差は経験だな。ユリだって知識はあるし、知識に基づいてあれこれ妄想してた。とくにコウが恋人になってからは、コウを妄想しながらセルフで慰めてた。

 ヴァージンなのにって言いそうな人もいるかもしれないけど、こんなもの誰だってやること。男も女も関係ないし、妄想と書くから変に聞こえるけど、何事も本番前にシュミレーションを重ねるのは当たり前。練習無しで上手く行くはずないじゃない。

 だけど知識と実際の差はひたすら大きかったな。とくに初回の時はそうだった。知識と実際の差をひたすら体で学習させられたようなものだ。文字通りあれは体験。体で験す以外に知る方法はないものね。

 やるとなれば全部脱いで裸にならないといけないのは知識としてあるし、裸を見られるのはさぞ恥しいぐらいは想像のうちだ。でも、実際に裸になって見られる恥ずかしさは超弩級だった。

 だって全部見られるし、どこも隠しちゃいけないんだよ。むしろ見せなきゃいけないんだもの、そんなもの当たり前だと言うかもしれないけど、あんなもの実際に体験しないと絶対にわかるものじゃない。

 次は愛撫だ。男に愛撫される妄想はユリだってテンコモリしてるし、そうされるのを妄想しながらセルフで慰めてるわけだ。でも実際になると違和感がバリバリだった。なによりの違和感は愛撫する指がコウの指であること。

 これだってコウの指がユリの恥しいところを愛撫するのは余裕で想定のうちだ。愛撫となれば他にやることがないもの。これにコウの唇が加わるのもそうだ。愛撫ってそうされるものだし、そうされるのをユリだって覚悟してる。

 だけどセルフの時は自分の指なんだよね。これが恋人のコウであるとはいえ他人の指に変わるだけでこれだけ違うものなのは、これこそ体験してやっとわかる感覚としか言いようがない。

 これは自分の指と違ってどう次に動くかわからないのもあるけど、なにより触れられる感覚がまったく違う。コウの愛撫が上手いか下手かなんて判定できないけど、他人の指、これに唇が加わる感覚は体で覚える以外には出来ない事だ。

 そうそうこれも知識や妄想では絶対にわからないものに、男の肌の感覚がある。コウだって裸になってるし、ユリの体の上にいるのだから避けようもなく触れちゃうのよね。それもベタベタに引っ付いているようなもだし、コウだってユリの愛撫ために動くから肌が擦れ合うのよ。

 こんなのも当たり前だけどバリバリの初体験。コウは毛深い方じゃない、いやむしろ毛が無い方で男にしたら綺麗な肌だと思うけど、常に触れ合っている状態にどうしても違和感があった。

 さらにだよ、自分の指だけじゃ絶対に出来ない愛撫だってある。たとえばユリの一番恥しいところを唇で愛撫されること。これだって余裕の想定内だったし、絶対にされるのはわかっていてもだ。さすがに声が出たもの。

 そこまで進んだら次が挿入だ。これが知識や妄想と桁違いに落差があった。これだって何度妄想したかわからないものだったけど実際に始まると、

『ギャァァァ』

 これ以外に感想がないぐらい。痛いし、辛いし、どうしてこんな事をやらないといけないのかだったもの。でもあれだけは不思議だったけど、あんなに辛いのになんとか受け入れないといけないと必死になったね。

 試練でしかない挿入時間をそれこそ歯を食いしばって耐え抜いたのだけど、あの時にユリは壊れてしまうんじゃないかと真剣に思ったよ。生まれてから何本の指に入るかぐらいの衝撃で、感覚として串刺し状態にされたとしか思えなかった。

 それでだけど、それで終わりじゃないの知識はあった。つうか、それで終わるはずなどあり得ないのは当然知っていた。挿入ですら本番の序章だよ。だけどだけど、ユリにしたらこの状態からホントに始まるの状態だった。

 こんな事を考えていたのは一瞬だったはず。コウは休む間もなく次の動きに移ったんだよ。これはコウを恨んでいる訳じゃない。当然そうするものだからは知識だものね。でもコウに動かれたユリにしたら、

『ヒェェェ』

 そうならざるを得なかった。あんなもの誰がどうやったって妄想できるものか。挿入から続く衝撃体験で半分ぐらいユリの記憶が飛んだ。コウが満足するまで動く時間帯は正直なところ、早く終わってくれとしか思えなかったもの。やっと止まった時にホッとしたよ。


 初体験なんてそんなものだと言われそうだけど、妄想していたような甘い時間じゃなかったかな。処女膜を突き破られる感覚なんてわかったもんじゃなかった。破られたのだけは間違いけど、とにかく済んだと言うのが実感かな。

 それでも不思議なのは挿入の時もそうだったけど、あんなに辛いのに受け入れなければならいの気持ちの強さかな。辛くて痛いものなら、普通は二度とゴメンになりそうなものだけど、不思議とそんな気にならいのよね。

 この辺は個人差もあるらしくて、初体験の衝撃でアレが嫌いになる女も確実にいるらしい。でもユリはそうならなかった。初体験の次の夜だって、コウがどうしてもって望むなら死ぬ気で受け入れて耐え抜くって覚悟したぐらいだもの。どうしてそんな気持ちになるかは、それこそ経験してみないと説明出来るものじゃないと思う。あえて言えば愛しのコウを喜ばせてあげたいぐらいだけど、そんな薄っぺらいものじゃないね。


 衝撃の初体験から、昨夜は二度目になったけどだいぶ違った。やられることは初回と同じようなものだけど、すべて経験済みなのは全然違う。これが来るぞって予想していたものが来るからね。

 その分だけ心に余裕が出来たと思う。そりゃ二回目だって恥しいけど、初回の違和感がだいぶなくなって、そうだな与えられる感覚をストレートに受け止められる感じだ。あくまでも初回と比べてだけどね。

 愛撫は前戯とも言うけど、あれって本来の目的はお互いの体のスタンバイ時間なんだ。そりゃ、合意して裸になった時点でスタンバイになってるようなものだけど、前戯で体をスタンバイに持って行く時間ぐらいだよ。

 だって男なら立たないと出来ないし、女だって潤わないとひたすら痛い。初回があれだけ痛かったのは、ガチガチの緊張でユリの体がスタンバイになっていなかったのも確実にあったはずなんだ。

 まだ二回目だからえらそうなことは言えないけど、アレって慣れは絶対に必要と思う。アレって日常では恥しくて口にも出来ない事をやる時間じゃない。アレをするための興奮だって、日常じゃ起こるだけで軽蔑されるようなものだもの。

 つまり日常では禁断とされる興奮に励む時間がアレになる。そこに出来るだけスムーズに入れるようにならないといけないってこと。前戯で女が興奮して濡らされるのだって、日常ではあってはならないものじゃない。

 そういう日常ではブレーキをかけられるものを、アレの時間帯では速やかに解き放つ必要があるぐらいだよ。前戯でも自分が興奮して濡れてスタンバイ状態になれるのが嬉しいと思う行為と体で学習する事かな。

 おかげで初回より前戯時間のユリの反応は良くなったと思う。それがあったから初回より挿入のインパクトは随分マシだった。挿入のインパクトがマシになった分だけ、コウが動く時間も初回より余裕をもって経験できた気がする。


 これで三回目以降により自信が出来たのだけど、次は感じるだよね。これは初回の時もかすかにあった気はする。あくまでもかすかだったけど、二回目の時は確実にわかった。とはいえ、それが女の感じるで、これがドンドン大きくなってイクにつながるかと言われると自信が無い。

 ユリだってイクは知ってる。もちろんセルフだけどね。イク時の感覚って、そうだね、刺激でドンドン感じるが強くなって、それが何かを突き破るぐらいと言えば良いのかな。熱気が高まって爆発するに近いと思ってる。

 イクまでの熱量はかなり必要なのよね。あれって、感じるが高まりに高まり抜くものなのよ。だからイク前には猛烈に刺激を高めて突破させるぐらいなのよね。まあイキそうになったら恥もヘッタクレもないぐらい熱中するもの。

 でもまだ感じてるものは弱すぎる。あれがイクまで高まるにはあまりにも遠すぎるとしか言いようがない。果たしてそこまで高まるかも疑問すぎるところはある。でもだけど、あの感度って経験を重ねると高まるらしい。

 らしいというのがお母ちゃんの小説の知識なのがコンチクショウだけど、ユリの友だちもそう言ってたのがいるもの。だってさ、今はコウを満足させるだけで嬉しいけど、やるからには、やっぱり感じたいし、イキたいじゃない。

 それにユリがイクのは同時にコウを喜ばせることにもなるんだよ。男って女をイカせたらすっごく嬉しいらしい。とくに処女からなら格別らしいのよね。ユリがイクのはユリも気持ちよいけど、同時にコウを喜ばせる事にもなるんだ。

 でもコウにイカせられるのもユリの試練になりそう。これは彼氏とイッた友だちの話だけど、やっぱり彼氏の前でイクのは猛烈に恥しいんだって。それはユリにもわかる。だってイク時の姿ってすっごく生々しいもの。

 あれを見られるのは誰だって恥しいよ。友だちもイキそうになって、耐えに耐えたらしいのよ。でも最後はどうしようもなくなってだそう。考えて見れば女はどうしたって受け身だから自分でコントロールできないところがあるものね。

 それとイキそうになってるのは男もわかるそう。まあ、あれだけ密着していたら、それこそ肌から伝わりそうだものね。そうなると男は意地でも女をイカそうとするんだってさ。あれだろうな、コウがフィニッシュ前に激しくなるみたいなのが起こるのだろう。

 イクのを見せるのはユリも恥しいし、もしその時が来たら必死になって耐えるのだろうけど、それでもイカされる日がいつか来るのかもしれない。いや、来て欲しい。それもまた経験じゃない。それを体験しないと次に行けないもの。

 というのもイクようになった見本が、ユリの家でエロ小説を書いてる。あのクラスになるとイキ放しのはずだけど、そうなるってことはイクのを見せるのが平気になってるはずなんだよ。

 まだ二回目だから先のことはわからないけど、コウと結ばれて良かったと心の底から思ってる。コウだから捧げられたヴァージンだし、コウが相手ならユリのすべての姿を見せられると思う。二回目を経験しても最高の相手をゲットしたとますます確信してる。なにがあっても手放すものか。コウはユリの男だ。誰にも渡さない。