自民党総裁選

 なかなか興味深い選挙でした。この結果についての論評はヤマのようにあるでしょうけど、野次馬的な視点で書いてみます。

 記憶違いの部分があるのをご容赦頂きたいのですが、真っ先に名乗りを上げられた岸田氏の印象は申し訳ありませんが地味な方です。

 これに対して河野氏が名乗りを上げた時には、正直に白状します、これで決まりじゃないかと思ったほど華があると感じました。総裁選の構図が「岸田 vs 河野」なら河野氏が勝つしか考えられない程でした。そんな報道も乱舞していました。

 ですが内実は報道ほど楽観できる状態ではなかったと見るしかありません。その表れが河野氏の選んだ小石河連合でしょうか。たしかに石破氏も小泉氏も知名度の高い人物ではありますが、連合を組むのに相応しい人物かどうかは評価の難しいところです。

 さらにこれもおそらくですが河野氏の誤算と見ていますが、総裁選の構図が「岸田 vs 河野」ではなくなり、高市氏がそこに割り込んでくる三つ巴になっていったことです。

 マスコミは高市氏をかなり長い間、泡沫候補扱いにしていましたが、そうでなかったのは河野氏の方がわかっていたと思います。三つ巴構図になると出てくる二位三位連合の話に相当神経質になっていたからです。

 とにかく票数が限られていますから、各陣営の票読みはシビアに行われていたはずです。河野氏もある時点から第1回投票での過半数確保は難しいと判断に傾いた気がします。そうなれば、二位三位連合を起こさせない票数の獲得が次の戦略になったと考えます。

 これは簡単には過半数まで届かずとも二位にかなりの水を空けることです。これを強引に二位三位連合でひっくり返すのを世論の支持で抑え込みたいぐらいでしょうか。これは二位三位連合での逆転を目論む方も同じで、なんとか河野氏との票差を詰めたいとしていたはずです。

 後から見れば的な話ですが、最終盤で岸田高市連合が出来たのは河野氏との票差が殆どなくなったと判断したからだと考えます。接戦の二位なら決選投票での逆転はアリだからです。

 結果は河野氏にとって最悪だったと見ています。第1回投票で一票差とは言え二位になってしまったからです。これで一位の岸田氏に三位の高市氏が協力しても、河野氏としてはケチの付けようさえなくなってしまったぐらいでしょうか。


 見ている方はかなり楽しめました。ネット世論とマスコミ世論の差が本当にどれだけあるのかとか、ネット世論に議員票がどれだけ影響を受けるのかだとかです。かなり興味深い結果になったと個人的に思っています。

 そうですね、マスコミがどう言おうがネット世論を軽視できないと政治家の皆様はまた教訓にされたぐらいは考えています。議員は選挙で椅子が決まる職業ですから、その辺の判断は現実的かつシビアですからね。

 もっともネット世論も読み取り方は難しいところがあります。ネットの一つの特性として、自分が見たい物に視野が狭くなっていくのがあります。そのクラスタ内では自分の意見と合いますが、そこだけがネット世論ではありません。そういう多様性がネットの特性です。

 だから結果がどうなるかに注目していましたが、なかなかバランスの取れたものが出たとは思っています。