選挙のこぼれ話

目黒区議会議員選挙の結果を、こぼれ話としてちょっと分析してみます。とりあえず選挙結果ですが、

当選 落選
所属 得票数 所属 得票数 所属 得票数
無所属 3986 公明党 1761 民主党 1310
みんなの党 2944 共産党 1705 共産党 1261
諸派 2230 自民党 1667 自民党 1239
自民党 2215 自民党 1642 社民党 1050
自民党 2205 公明党 1637 民主党 1003
みんなの党 2180 自民党 1617 民主党 893
みんなの党 2155 自民党 1616 無所属 856
自民党 2121 自民党 1608 みんなの党 839
共産党 2084 民主党 1596 民主党 807
民主党 2061 自民党 1557 無所属 733
自民党 1978 無所属 1516 民主党 690
共産党 1945 自民党 1490 無所属 653
民主党 1934 自民党 1473 無所属 557
公明党 1888 共産党 1408 民主党 517
公明党 1857 民主党 1385 民主党 514
無所属 1845 民主党 1385 無所属 380
自民党 1779 自民党 1350 無所属 373
公明党 1766 無所属 353
公明党 1761 無所属 181

案分票は見難いのですべて切り上げています。 妙に感心したのはさすがは東京の区議会選挙で、定数36人に対し55人も立候補している事です。地方の市議会選挙では、定数が36人ぐらいあっても、せいぜい40人ぐらいが関の山みたいなところがありますから、さすがは東京です。それと政党所属候補者が非常に多いことです。あんまり地方と較べると申し訳ないのですが、地方では保守系無所属みたいな議員がほぼ全員を占めますからね。 選挙結果をまとめてみます。
所属 得票数 投票比率 立候補者 獲得議席 議席割合 投票率に対する
議席反映率
自民党 25557 31.3 15 14 38.9 1.24
民主党 14095 17.3 12 5 13.9 0.80
公明党 10670 13.1 6 6 16.7 1.27
共産党 8403 10.3 5 4 11.1 1.08
みんなの党 8118 10.0 4 3 8.3 0.84
社民党 1050 1.3 1 0 0.0 0.00
諸派 2230 2.7 1 1 2.8 1.02
無所属 11433 14.0 11 3 8.3 0.59

相変わらず公明党は選挙が上手で、6人立候補して全員当選しています。公明党の選挙の上手さは各議員の投票数を見ればさらに判りやすくて、公明党の最多得票獲得者が1887票で最小が1637票です。区議会議員選挙全体の最小得票者が1350票ですから、実に見事と言うしかありません。それでも「200票も」得票数に差が出ているのは、浮動層の影響に見えたりします。 全員当選ですから、死票は1票もなく、公明党の得票率に対する議席獲得数は1.27となり、非常に効率的な選挙を行っているのが確認できます。 自民党も健闘しています。ここは伝統的に票割りが下手くそで、党の選挙と言うより、個人が自民党を名乗っている集合体みたいな選挙を展開します。今回も最多得票獲得者2215票に対して、最小得票者1239票と言うバラツキの多さですが、それでも15人立候補して14人当選ですから大した物です。1人しか落選しなかったので、得票率に対する議席獲得数は1.24となり公明党並の効率である事が判ります。 みんなの党共産党は得票率において互角ですが、みんなの党はどうも4人目(落選)の候補者に何か問題でもあったように感じます。みんなの党の3人の当選者は、当選順位の2位、6位、7位といづれも上位当選を果たしていますが、4人目は他の3人の1/3程度しか得票を集められずに44位に沈んでいます。共産党の5人目が落選したとは言え全体の38位であるのとちょっと対照的です。 社民がたった1人の候補者さえ当選さす事が出来なかったのはもう良いかと思います。 さて民主ですが、民主党の今回の選挙結果を考える前に、前回選挙の結果をザ選挙にあるのでまとめてみます。
所属 得票数 投票比率 立候補者 獲得議席 議席割合 投票率に対する
議席反映率
自民 24969 31.3 16 15 42.9 1.37
民主 15283 19.2 8 7 20.0 1.04
公明 9672 12.1 3 3 8.6 0.71
共産 8597 10.8 5 5 14.3 1.32
社民 1526 1.9 1 1 2.9 1.49
国民新党 1021 1.3 1 0 0.0 0.00
諸派 1695 2.1 1 1 2.9 1.34
無所属 16968 21.3 13 4 11.4 0.54

まず公明党が今回の選挙で伸びたのは、前回の投票数で余裕で3人当選(最多3597票、最小2972票)だったので、これを6等分した結果の様に考えられます。それにしても見事な組織票です。自民党は前回と同じ投票率ですが、横這いになっています。みんなの党も見ようによっては面白くて、他の政党の投票率はさほど大きく変化が無い中で、前回の無所属候補の投票数を取り込んだと見て良さそうです。 問題の民主ですが、投票率はビックリするほどには減っていません。前回並みに候補者を絞っていれば、前回並みか1議席減ぐらいで済んだかもしれません。民主の落選候補の票を合計すると5734票もありますから、結果として選挙戦術が拙かったと言う事になるのでしょうか。ここも言ったら悪いですが、政権与党の公認候補が1000票どころか500票程度しか獲得できないのは問題でしょう。 おそらく一挙に二桁議席の獲得を狙ったのでしょうが、候補者の粗製濫造のツケが出ている様に思います。粗製濫造と言っても、実は目黒区議会選挙の民主党落選者の中には、有名人もおられまして、1人は荒木しげる氏です。荒木氏はwikipediaより、

高校時代に渋谷でスカウトされ、男性ファッション誌などでモデルを務める。玉川大学在学中の1968年にカレッジフォークグループ「フォー・セインツ」のドラムスとしてデビュー。「小さな日記」「希望」「冬物語」などのヒット曲を生み出す。

1973年の解散後は、CMモデルを経て俳優に転向。当初は本名で活動していたが、1975年、『仮面ライダーストロンガー』に「城茂」役で主演したことから荒木 茂に改名した。のちに荒木しげるに改名(1983年 - 1988年までは、再度「茂」を名乗る)。

その後、『超神ビビューン』『特捜最前線』『暴れん坊将軍』等にレギュラー出演。2000年にはシングル「失恋日記 / 雨情話」をリリースし、音楽活動を再開している。

2008年にはフォー・セインツの再結成に参加。新曲「この街で」をリリースし、各地でライブを開催する。

いわゆる芸能人候補ですが、獲得投票数514票と惨敗しています。う〜ん、仮面ライダーストロンガーではなく、1号だったら間違い無く当選だったと思います。もう1人はあえて紹介を省略しますが、

893票で見事落選されております。写真の比率を夫婦で逆にすれば当選したかもしれません。もっとも投票2日前の土壇場でこのポスターを繰り出したようですから、選挙情勢の分析が甘すぎた様にも感じます。

ほいじゃ、この893票の落選候補はどうすれば良かったかですが、参考になる選挙結果があります。深谷市議選では目黒区議選を上回る「色物候補」が出馬し見事当選されています。私もこの情報を聞いて信じられなかったのですが、当選者名がなんと、なんとですが、

    ミルクおやじ
ここまで飛んだ話ですからしっかりとしたソースが必要なんですが、平成23年4月24日執行 深谷市議会議員一般選挙に明記されています。
ではこのミルクおやじ氏がどんな人物かと言うと、御本人のブログ(きぐるみ日記)の自己紹介には、

元酪農家の、シンガーソングライターみたいなおじさん。 まるで、パジャマのような牛の着ぐるみを着て、あやしいパフォーマンスを全国展開する計画を立てている。

どんな格好での選挙風景も当然気になるところですが、これも紹介されており、

選挙にはいろんな名言・格言がありますが、個人的に心に残っているのは大野伴睦
    猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙に落ちればただの人だ
893票の落選候補に次があるとすれば、本名とかポスターの一部ではなく候補者名として「○○の夫」と戦われる事をお勧めします。新人候補にとって短期決戦の選挙戦では強烈なインパクトは喉から手が出るほど欲しい武器です。折角の武器ですから、これを出し惜しみして負けて「ただの人」に甘んじるより、当選すれば官軍の世界で最初から全面的に売り出すべきであったと思います。

私も知らなかったのですが「ミルクおやじ」がOKなら「○○の夫」でも立候補は可能のはずです。そういう点では惜しい事をしたもんだと思っています。以上、こぼれ話でした。