謎のレポート あとがき

 大スランプ状態でした。ここまでひどいのは久しぶりです。趣味でやってるから良いようなものですが、小説家が本業だったら絶望に打ちひしがれてたんじゃないかと思うほどです。

 古典的には原稿用紙を破っては捨て、破っては捨てみたいな感じです。PCですから、それはありませんが、何度も書き出しては消したかわからないぐらいです。

 基本方針として天使と女神シリーズから離れようがありましたから、なんとかオリジナルを書きたかったのですが、外伝ですらないモロの天使と女神シリーズになってしまいました。

 オリジナルにしようとした名残が前半を占める熊倉の話です。あれもネタに詰まった挙句、SM小説で気晴らししてたのが本当のところです。通常はそのままボツになるですが、性転換を持ち出したところで、不思議の国のマドカの続編みたいな位置づけにしようとヒラメキました。

 ですから濡れ場描写は抑え気味にして、マゾ小説みたいなスタイルにし、後半は前からやってみたかったアームチェア・ディテクティブ風にしてみました。

 通常の探偵小説は、主人公でもある探偵が現場を見に行き、情報を集め、それを分析して推理を働かせ、そこから導き出される仮説に沿ってさらに調査を行い・・・こういう積み重ねで犯人が巧妙に仕組んだトリックを崩してゆき、真犯人を見つけ出すぐらいになります。

 これに対しアームチェア・ディテクティブは、提示された情報を基に隠されていた真実を読み解いていくぐらいになります。探偵は部屋から出ず、アームチェアすなわち安楽椅子で推理を重ねるのでこういうネーミングになっています。

 ですから出されるのは推測になります、推測に推測を重ねた末に、論理的に破綻の無い結末に話を導いて行くことになります。あくまでも読み物ですから、最後に導き出された答えに意外性が高い程秀作として良いでしょう。

 前半のトンデモ展開こそありましたが、後半部はそれなりに本格的になったと自負しています。