平成24年度事業実績報告から表を作って見ます。
年生 | 保険収入 | 確定補償金 | 剰余金 | 剰余率 | 除事務経費 (利益率) |
利益 |
2009 | 315.3億円 | 56.1億円 | 259.2億円 | 82.2% | 68.3% | 215.3億円 |
2010 | 323.8億円 | 48.0億円 | 275.8億円 | 85.2% | 72.2% | 233.7億円 |
2011 | 318.0億円 | 27.3億円 | 290.7億円 | 91.4% | 79.6% | 253.2億円 |
2012 | 313.5億円 | 54.0億円 | 308.1億円 | 98.3% | 86.4% | 270.7億円 |
事務経費に関しては
保険料に占める事務経費の割合は、13.9%(平成21年)、13.0%(平成22年)、11.8%(平成23年)、11.9%(平成24年)である
これに従っています。それとこういう制度は初期の周知不足による影響を考慮しないといけません。制度発足時は、そういう制度の存在を知らずに利用できなかった人々が多く出る可能性です。ですから制度が続き周知が広まる事により尻上がりに利用者が増えていくはずです。手許に保管している平成21年度〜平成23年度の事業実績報告書からグラフを作ってみます。
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215億3300万円(利益率68.3%)
事務経費は現在の事務料でおおよそ12%前後であるぐらいと理解して宜しそうです。事務経費は事務量によって当然変わるでしょうが、現在の事務経費の日本医療機能評価機構(機構)の見解が平成24年度事業実績報告書にあります。
同様の仕組みでないものの、公的制度である自動車損害賠償責任保険(自賠責)では保険料に占める事務経費の割合は約25.5%となっている
自賠責以下と言うか、その半分ぐらいだから事務経費は適正と言うか効率的に使っているの主張ぐらいと理解すれば良いのでしょうか。なんとなく自賠責と比較するのはかなり無理がありそうな気がしてならないのですが、制度設計時の最大事務経費がどれぐらいであったかの試算は可能です。これは平成21年度事業実績報告書にあるのですが、
年間の補償対象者数は最大800人と推計している
読み替えれば年間800人までは補償原資の不足は起こらないと見れます。補償原資の不足は事務経費を含めてのものと考えるのが妥当なのでここから計算が可能になります。
年生 | 保険収入 | 800人補償金 | 剰余金 | 剰余率 (事務経費率) |
2009 | 315.3億円 | 240.0億円 | 75.3億円 | 23.9% |
2010 | 323.8億円 | 240.0億円 | 83.8億円 | 25.9% |
2011 | 318.0億円 | 240.0億円 | 78.0億円 | 24.5% |
2012 | 313.5億円 | 240.0億円 | 73.5億円 | 23.4% |
制度が目一杯仕事をした状態で「25.5%」も事務経費を取っていたら補償原資が不足します。もっとも確定に近い2009年生れの審査件数が現在のところ222件。このうち補償認定されたのが191件です。仮に同じ比率で800人補償した時の審査件数が930件になります。審査件数が約4倍になった時でも自賠責の事務経費率に及ばない制度設計であった事だけはわかります。
年生 | 保険収入 | 500人補償金 | 剰余金 | 剰余率 | 除事務経費 | 利益 |
2009 | 315.3億円 | 150.0億円 | 165.3億円 | 52.4% | 32.4% | 102.2億円 |
2010 | 323.8億円 | 150.0億円 | 173.8億円 | 53.7% | 33.7% | 109.1億円 |
2011 | 318.0億円 | 150.0億円 | 168.0億円 | 52.8% | 32.8% | 104.4億円 |
2012 | 313.5億円 | 150.0億円 | 163.5億円 | 52.1% | 32.1% | 100.8億円 |
保険と言うものの仕組みがこうなのかもしれませんが、300億円の集金に対してだいたい100億円の利益が生れる計算になります。もちろん予想に反して補償金支払額が増えるリスクに対する備えもあるのでしょうが、現状の運営結果は4年間で509件の審査、補償確定人数は461件です。
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補償対象は少なくとも年間500人以上、制度的に800人ぐらいが限界
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機構は産科無過失補償制度の委託先として不適切であった
当法人は、平成20年12月31日に施行された改正国家公務員法等の規定に関し、国家公務員であった者が法人の役員として再就職する場合に事前に政府に届出をおこなうことが必要な「国と特に密接な関係がある法人」に該当しませんので、その旨公表いたします。
なにが言いたいのか良くわからんところのある文章ですが、単純に解釈して「タダの公益法人」であると言いたいぐらいには解釈できます。それなら産科無過失補償制度の運用能力が欠けていれば、何の顧慮も無く委託解消は可能と存じます。国との「特別な関係」を配慮する必要がない団体と自ら公表宣言されておられます。