示談

 どうにも最後のところがわかりにくい話なのですが、示談とは民法での和解になり、

(和解)
第六百九十五条 和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。
(和解の効力)
第六百九十六条 当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする

 こうなっています。書いてあることそのままみたいなものですが、これが法律の実運用上において、具体的にどの範囲まで効力が及ぶのかわかりません。とにかく法律解釈って条文ではこうなっていても、判例とか、なんたらで実際はこうなんて話は多いですからね。

 法の素人が読めば示談(=和解)すればこの件での揉め事は消滅したぐらいに受け取ります。つうか、696条の和解の効力はそうとしか読めないのですが、どうにも色んな解釈が出ています。あくまでもSNSの意見ですが、

  1. 示談が成立する前に友人知人に話したことは示談の範囲に含まれない
  2. あれは民事訴訟で賠償請求を放棄しただけの物である
 a.は弁護士と名乗る方の意見で、当事者が話したものでなく、事件当時に示談前に相談を受けた親類縁者、知人友人の口を塞ぐことは出来ないぐらいの意見に解釈しました。これがどれだけの正当性をもつかの見識はありませんが、仮にそうであれば示談の時には、
    当事者及び、当事者が相談した者全員と示談を結ぶ必要がある
 こういう事なのでしょうか。そこの点で示談を担当した弁護士の手抜かりがあったぐらいかもしれません。法実務など知る由もありませんが、そんなものなのでしょうか。

 b.についてはかなり多くの方が出されてる気がしますが、これもよくよく考えると示談条件に問題があったのかもしれません。そういう点を含まない条件にしてしまったと言うか、その点の同意を得られなかったぐらいです。

 もっと複雑と言うか、わかりにくい意見もありまして、

  1. これが示談破りだから示談金の返還請求は出来る
  2. ただし示談金が返還されれば民事の和解も消滅する
  3. 民事の和解が消滅すれば刑事が再浮上する
 なんとなく理屈はわかるのですが、この意見で浮かんでくる疑問は、そんなに簡単に示談って破れるのかです。ぶっちゃけで言えば示談を破った者へのペナルティは示談金の返還だけなのかです。

 と言うのも示談に関する法律事務所のHPの解説を拾い読みする限りですが、一度結んだ示談は、示談後に不満とか不利の感情を抱いても、これを破棄できない旨を強調している気がしたからです。それぐらい示談をするというのは重いぐらいに読み取りましたが、この意見なら示談金さえ返還すれば、いつでも示談は白紙に出来ることになるからです。


 示談書の内容などわかるはずもありませんが、ここでそもそも論になるのですが示談とはなんぞや和解とはなんぞやです。と言うのもネットリンチになってしまえば、これがどれだけの悪影響をもたらすかは既に周知の事だからです。

 女性へのAED問題が話題になっていましたが、これに対して法的には負けるはずがないから気にするなの意見はありました。訴訟はどう想像しても憂鬱なもので、これに費やされる時間、費用、精神的ストレスは甚大かと考えています。

 負ければ論外ですし、勝っても良く見て現状維持、いや費やされた時間、費用の回収がどれだけ出来るかは・・・よく存じません。少なくとも時間は返ってこないでしょう。そう考えるだけで法的に負けることはないと言われても、響くものは多くない気がしています。

 それよりAED問題で一番懸念されていたのがネットリンチによる社会的制裁です。あれを喰らえば身の破滅になる懸念は高く、これを取り戻すのはかなりどころじゃないぐらい困難です。端的には花を持った集団によるリアルのデモまで押し寄せて来ますからね。

 これも実務知識が乏し過ぎてわからないのですが、仮に今回の示談条件に不備があったとしたら、これからの示談に求められるのは、

    今回のようなことが起こらないようにする示談
 これがクライアントから求められるはずです。でもって、そんな事が示談で出来るのかどうかは・・・わかりません。示談という法的解決の限界なのか、これまでピットフォールになっていたものが露呈されたのかは・・・どっちなんでしょうね。