インフルエンザ関連の小ネタ2題

備蓄用のタミフルとレレンザの画像

政府がタミフルリレンザを備蓄しているのは周知の事です。タミフルの方が有名で通称「赤タミフル」と呼ばれていますが、現物の写真を見ていただきます。

普通のタミフル タミフル(備蓄用)
タミフルは外箱が赤色を使っていて「備蓄用」の文字が記入されています。赤いのは外箱だけでなく、カプセル自体のシート包装も、
見た事がない人のために、普通のタミフルのシートは緑色です。ではリレンザはどうなっているかですが、平成21年9月30日付事務連絡「政府において備蓄した抗インフルエンザウイルス薬(タミフル及びリレンザ)の都道府県への放出手順について(再周知)」に画像があります。
市場流通用のものは画像にあるように1人分単位で販売されますが、政府備蓄用はなんとダンボール詰めである事がわかります。これが「個装箱」となっており事務連絡には、

なお、国が備蓄しているリレンザの包装単位については、77人分が1包装単位となっており、原則としてこの単位により医療機関に納品して頂くことを考えております。

国から放出されたときには77人分を一度に購入する必要があるようです。それにしても「77人分」の包装とは中途半端な単位ですが、何を基準に決められたのか味わい深いところです。それと備蓄用タミフルには「赤タミフル」と言う別称がありますが、備蓄用リレンザはなんと呼びましょうか、「無地リレンザ」「ダンボール・リレンザ」「白リレンザ」あたりが思い浮かびますが、我ながら定着しそうに思えません。



新型インフルエンザ関連情報(第32報)

これは神戸市医師会新型インフルエンザ対策会議からのFaxなんですが、

新型インフルエンザの診断と治療について厚労省新型インフルエンザ対策推進本部から神戸市保健所を通じて以下の通り、事務連絡が届いておりますのでご案内いたしまします。

つまり厚労省から保健所に届いた事務連絡という事になります。ではご紹介します。

事務連絡
平成21年9月10日
新型インフルエンザの診断と治療について
 
 新型インフルエンザの診断と治療については、8月28日付事務連絡(「新型インフルエンザ患者数増加に向けた医療体制の確保について」)の中でも、簡易迅速検査やPCR検査の実施は必要でなく、臨床所見や地域における感染の拡がり等の疫学的情報等から総合的に判断した上で行うことが可能である旨示しているところですが、管内医療機関に対し、再度下記について周知徹底をお願いします。

  1. 臨床所見や地域における感染の拡がり等の疫学的情報等から総合的に判断した上で、医師が抗インフルエンザ薬による治療の開始が必要と認める場合には、治療にあたって簡易迅速検査やPCR検査の実施は必須でないこと。


  2. 診療報酬上も、抗インフルエンザウイルス薬の投与にあたり簡易迅速検査の実施は必要でないこと。

8月28日付事務連絡(「新型インフルエンザ患者数増加に向けた医療体制の確保について」)がどうなっているか気になるところですが、該当部分はここだと考えられます。

2.診断

新型インフルエンザ感染症は、インフルエンザ様症状を示す疾患のひとつであり、38℃以上の発熱および上気道症状を呈する。診断にあたっては、患者との接触歴、地域での流行状況を勘案して、他の発熱疾患も念頭において診断する。インフルエンザ迅速抗原検出キットの使用は診断の参考となるが、通常のインフルエンザの場合より感度が低いと考えられることに注意する。新型インフルエンザの流行状況については、厚生労働省が発表するサーベイランス情報などを参考にする。なお、息切れ、呼吸困難、低血圧、意識障害などは、重症化の兆候と考えられるため、入院治療を考慮する。また、このような症状を認める場合には、できるだけ早期に医療機関を受診するよう、定期通院患者などには説明しておくこと。

これを読んで

    治療にあたって簡易迅速検査やPCR検査の実施は必須でないこと
ここまで読み取るのはチト骨が折れます。それと医師なら笑いどころですが、
    診療報酬上も、抗インフルエンザウイルス薬の投与にあたり簡易迅速検査の実施は必要でないこと。
診療報酬上、どこにも書かれておらず公表もされていない不文律で査定するのが基金のお仕事ですから、これはジョークと解するのが妥当かと思われます。厚労省の方針と基金の方針が乖離するなんて事は日常茶飯事ですし、たとえ司法で予見注意義務違反と認定され、何千万円の損害賠償を払わされるような事例であっても粛々と査定されます。

それと読めば推測できるように、この事務連絡は保健所に向けられたものです。おそらく、

こんな感じではないかと考えられます。発信者は厚労省新型インフルエンザ対策推進本部ですから、保険局ではありません。事務連絡を行なうのなら、発信者がせめて保険局であるか、基金に対しても事務連絡を行なっている事を確認したいところですが、まあ、無理でしょう。のぢぎく県もそれなりに厳しいですから、出してビックリなんてのは自己責任かと考えています。