この法律は全部で59条もあり素人には読むのも大変なんですが、どんな法律であるかをYUNYUN様が簡潔に書いてくれています。リンクはしておきましたが、SNS内ですから引用します。


個人情報保護法はいわゆる<業法>であって、業務上、個人情報を一定数量(政令で定める、5000件)以上取り扱っている事業者を規制対象としています。事業用に個人情報を収集しているのでなければ、基本的に関係ないのです。
つまり事業のために集めた情報をきちんと管理しろと言う法律です。管理するのは事業者であって、情報が漏出した時に事業者が漏出の責任を問われる法律と言えます。ここで漏出した情報を第3者が利用する分には基本的に問題のない法律となります。

漏出した情報で民法上の不法行為を行なえばもちろん問題になりますが、そうでなければ漏出した情報を利用する事自体にはこの法律は関与しないと解釈できます。ですから私が漏出情報を利用してエントリーを書くことは個人情報保護令とは無関係な事になります。

次に個人情報保護条例の第50条には適用除外が明記されています。この法律が適用されない対象の事です。


第五十条 個人情報取扱事業者のうち次の各号に掲げる者については、その個人情報を取り扱う目的の全 部又は一部がそれぞれ当該各号に規定する目的であるときは、前章の規定は、適用しない。

一 放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道を業として行う個人を含む。) 報道の用に供する目的

二 著述を業として行う者 著述の用に供する目的

三 大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者 学術研究の用に供する目的

四 宗教団体 宗教活動(これに付随する活動を含む。)の用に供する目的

五 政治団体 政治活動(これに付随する活動を含む。)の用に供する目的

2 前項第一号に規定する「報道」とは、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること(これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。)をいう。

3 第一項各号に掲げる個人情報取扱事業者は、個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置、個人情報の取扱いに関する苦情の処理その他の個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な措置を自 ら講じ、かつ、当該措置の内容を公表するよう努めなければならない。

第一項第一号はマスコミの除外です。第二号は著述業とありますから、小説家とかジャーナリストかと考えます。第三号は学会でしょう。第四号と第五号は略します。

読んでお分かりかと思いますが、第二号は極めて曖昧で広い定義です。著述業となれば自称小説家や、自称ジャーナリスト、もちろんブロガーだって含まれると考える事は可能です。ブロガーも含まれるとなれば、ブロガーのエントリー経由で個人情報が流出しても管理責任は問われない事になります。もちろん管理責任を問われないと言っても、著述に必要な情報に限定されます。

この適用除外を踏まえて今回の告訴記事を考えてみたいと思います。今回の情報の流出ルートとして考えられているものを挙げて見ます。

  • マスコミルート
  • 家族ルート
  • 大淀病院ルート
個人情報保護令違反の観点から見るとマスコミルートは法律の適用除外に該当し、ここから漏出しても違反は問えません。家族ルートは当事者ですから関係ありません。問題になるとすれば大淀病院ルートのみとなります。

大淀病院関係者が密かにカルテのコピーを取って流出させたのであれば明らかに違反です。ここで相変わらずはっきりしないのですが、病院側が記者会見でカルテのコピーを配布したのであれば話は微妙になるかと思います。

コピーは報道陣に一律に配られたと考えるのが妥当ですから、かなりの枚数が準備されたはずです。そこに配り残しがあっても不思議ありません。報道陣の配り残しを入手する事は違反にあたるのでしょうか。公開情報として配布されたカルテのコピーを公開するのが違法に当たるか私には言い切れません。

もう一つ告訴記事には情報があります。家族が公開した看護記録以上の情報が流出しているとの情報です。これについては家族が配布を認めた看護記録のコピー原本が無い事には確認しようがありません。ネット流出情報ではわからない情報がどれだけあるか判断できないからです。

最後に有力情報を書いておきます。ただの通りすがり様からの物で、かなりの爆弾情報です。


実は私の実家は奈良県にあるのですが,先日父と電話でこの事が話題になり,話しているうちに爆弾が落ちました.

「そういえば奈良版に医師のカルテのコピーの写真があったぞ」
「なんで医師カルテって分かるん」
「英語が書いてあった.看護師は普通英語は書かんやろ.解説にも「子癇」を表す英語やって書いてあった」
「なんで半年も前のこと覚えてるん」
「こないだ廃品回収に出すときにな,たまたま一番上に乗っててん」
「何て英語やったか覚えてる?」
「はっきり覚えてないけど,eで始まっとったわ」
「その次は?」
「ええと,確かcやったかなあ」
「eclampsiaって言うんやけど」
「そうそう,そんなんやった.最後はハテナマークやったわ」

実家は読売を取っています.現物はもう廃品回収に出してしまったということで確かめようもありませんが,10月の新聞であることは間違いないようです.憶測で物を言うのは危険ですが,確かに看護師がeclampsia という英語を知っている確率は少ないと思うので,確かめてみる価値はあるとおもいます.今度一度実家に帰るので,近くの図書館に行って確かめようと思います

これについてはmosriteowner様がヨミダス文書館から2006.10.31付の記事情報を発掘してくれています。そこには有名になった看護記録の時間経過がかなり詳細に記載されており、さらには

写真=高崎実香さんのカルテ(家族提供)。上から5行目に「意識消失」、2枚目に「強直性ケイレン?」「eclampsia(子癇)?」と書かれている

ただのとおりすがり様の情報通りの記事である事が裏付けられます。問題はそれが医師2号であるか、看護記録であるかですが、これまで入手できているネットでの看護記録部分に、記事写真の「強直性ケイレン?」「eclampsia(子癇)?」の記載がなかったことから、看護記録以外のカルテ部分である可能性があります。

大阪朝刊とありますから、図書館で探せば見つかる可能性は大です。画像でも医師2号用紙であることが確認されれば、去年の10月段階で看護記録だけではなく、医師記録部分もマスコミには配布され、さらに画像として一般公開されていた事になります。お時間のある方は情報収集にご協力ください。