改めて読売捏造新聞を弾劾する

奈良事件裁判の傍聴記が早くも出始めています。さすがに一晩で全部と言うわけには行かない様ですが、もの凄い勢いなので今週中には全てそろうかもしれません。現時点でも興味津々なのですが、もうちょっと我慢して、全体像が見渡せるようになってから解説したいと思います。ここで個人的に問題なのは今週末に院内旅行があるため、休載するだけでなく構想を練る時間も無い事です。こればっかりはどうしようもないですね。

そういう訳でもないですが、去年にやった問題の奈良事件のカルテ不正流出問題を改めて振り返りたいと思います。まず誰もが忘れてはならない鉄の大前提です。2007.4.30付け日刊スポーツ記事の一部から引用しますが、

遺族側は「報道陣に公開したのは、出産のために入院した昨年8月7〜8日の『看護記録』だけ。カルテなど公開してない。さらされた情報には、遺族も知らない通院中のカルテの内容が含まれ、病院関係者しか知り得ない情報だ」としている。

これに対する裏付けは2007.4.28に行なわれた公開シンポジウムでの原告側弁護士の発言です。

患者さんたちが入手したカルテはほんの一部なんです。全部を入手したのはごくごく最近、なんですよね。

マスコミだけなら「誤報」の可能性も残りますが、原告側弁護士が裏付け発言していますから、これを疑う事は何人たりとも許される事ではありません。疑う事は遺族に対する冒涜になります。この二つの証拠から

  1. 遺族は報道陣に『看護記録』のみを公開した
  2. 医師記録は公開もしていないし、そもそも所持していなかった
これは疑いようの無い事実です。ここで事件のあった大淀病院のカルテは医師記録と看護記録は完全に別建て(記録として綴じる時はもちろん一冊になります)になっています。つまり遺族は『看護記録』だけを入手する事は当然可能であり、さらに遺族の中にベテランどころでない看護師がおられ、医師記録と看護記録の区別を間違える事は絶対にありません。そうなると「不正流出」の犯人ないし、犯人からカルテを手に入れた不逞の輩は医師記録を持つ者となります。

ここでm3通報者の開業医はマスコミ関係者からカルテを入手したと言っています。これはある程度の信憑性が置けるものだと考えます。m3通報者の開業医が病院からカルテを盗み出した当人なら窃盗罪まで加わるわけですから、その疑いも含めて立件されなかったと考えるのが自然です。

昨年から現時点までで確実に医師記録を所持している証拠があるのは、

  1. 読売新聞
  2. 毎日放送
  3. TBS
この3社があげられます。これは憶測でも推測でもなく、カルテの医師記録を含む画像を堂々と新聞掲載ないし放送しているからです。もちろんこの3社が直接入手したのか、他の「不正流出」の実行犯から入手したのかは不明です。しかし確実に所持しているのは明白な画像証拠で既に立証されています。毎日放送、TBSについてはどういう解説でカルテ映像が放映されたかは手元の情報では不明ですが、読売新聞記事は2006.10.31付で鮮明な画像として残されています。

画像自体は去年発掘されたものですが、ここのキャプションに注目してください。

    高崎美香さんのカルテ(家族提供)。上から5行目に「意識消失」、2枚目に「強直性ケイレン?」「eclampsia?(子癇)」と書かれている
私はここに改めて読売新聞の鬼畜行為を弾劾したいと思います。

読売新聞は報道陣に配布された『看護記録』しか正式には入手していません。当然ですが、この医師記録部分は遺族以外のルートから入手した事になります。カルテ情報は医療記録として個人情報保護法以前から厳重に守られています。それなのに入手できた事を不正行為と思わず漫然と報道しているのです。入手した時点でこれは「不正流用」だと気づき、情報提供者を告発すべきではないかとまず考えます。ただ情報源の秘匿問題があり、安易に情報提供者を告発するのも問題とも取れますから、その点はこの程度の指摘に止めます。

「不正流出」した情報の入手問題はまださておきぐらいですが、報道記事に明白な虚偽が含まれています。言うまでもなく、

    家族提供
家族(遺族)は2006.10.31時点では『看護記録』しか所持していませんし、その後も残りのカルテを公開しておりません。所持していないものを「家族提供」などできるわけがなく、真っ赤な嘘であることは疑いようも無い事実です。誰がどう見ても「虚偽」であり「捏造記事」である事は明白な証拠とともに残されています。

もし仮に家族提供であるならば、カルテは2006.10.31時点で家族が所持している事になり、さらに報道機関に公開されている事になります。もちろんそんな莫迦げた事は絶対に金輪際ありません。そうであれば遺族の言葉である「所持もしていないし、公開もしていない」が嘘になってします。遺族の言葉が嘘で無い傍証として、遺族はカルテ流出に心を痛め、警察に告訴まで行なっているのです。遺族が嘘で固めた告訴をする人間であるとは、日本中の誰一人として考えていないと断言させて頂きます。

この読売新聞は記者会見で家族が公開していない部分と知りながら医師記録部分を密かに入手し、さらに「家族提供」と偽って全国に発信するという大罪を犯したことになります。「家族提供」部分は誤報ですらありません、明らか過ぎるほどの捏造です。それも非常に悪質な捏造であると言えます。これほど悪質な捏造記事は珍しいと言って良いのではないでしょうか。

遺族は

    「納得いかない。現行法の解釈で無理なら、法改正すべきだ」
捏造記事は刑法においてどういう扱いになるか存じませんが、報道機関の倫理規定に強く抵触するのは朝日新聞珊瑚事件の前例があります。Wikipediaからですが朝日は珊瑚事件の処分として、

珊瑚に傷をつけた東京本社写真部員・本田嘉郎は退社(懲戒解雇)処分、東京本社編集局長・同写真部長は更迭、同行していた西部本社写真部員は停職三カ月、一柳東一郎社長(当時)が責任をとって辞任という結果となった。

朝日新聞珊瑚事件と較べて、今回の読売記事の「捏造」の悪質さはどうでしょうか。今でも奈良事件に関する注目度は低くありませんが、読売記事が配信された当時の注目度はさらに高いものがありました。大袈裟に言えば全国が注目するニュースであったにもかかわらず、白昼堂々と虚偽の記述を報道しています。この記事が配信されて1年9ヶ月、発掘されてから1年以上が経ちますが、私の知る限りこれが訂正されたとは聞いた事がありません。

去年の段階では読売新聞に釈明を求めましたが、もう釈明は不要です。どう責任を取るかを表明して頂きたいと存じます。おそらく遺族はタマタマ読売新聞を読んでいなかったか、心の動揺で読み落としたので抗議や告訴に至らなかったのかもしれませんが、だからと言って看過して良い問題とは思えません。改めて読売捏造記事問題として弾劾します。

そうそう昨日の証人尋問では死亡した産婦の夫及び義父が証人として立たれたそうです。現時点では風聞情報ですが、とくに初期報道における報道内容と事実についての質問も行われたと聞きます。この法廷での証言内容を確認すれば、遺族がいかに嘘などつくような人間でない事が、鮮やかな証拠として出てくると期待しています。その時には読売新聞捏造記事について当ブログでもより強く追及したいと考えています。