プロ野球のトレンド

 岡田阪神の38年ぶりの日本シリーズ制覇で終わった昨シーズンですが、外野の野球ファンとしての感想と言うか雑感みたいなものです。

 野球には9つのポジションがあります。9つと言っても投手と捕手は専門性が高すぎると言うか、別格的なポジションですから除くとして、それ以外に7つのポジションがあります。

 残りの7つだってプロともなれば専門性は高いのですが、どうやらそう考えない流儀が現代野球の流れの一つしてあるような気がしました。わかりやすかったのは矢野前監督。矢野監督も功罪がある人でしたが、指揮を執ってから言われ続けたのが、

    守備をなんとかしろ!
 失策数だけなら今年も褒められたものじゃないですが、矢野前監督時代は数字に表れない失策と言うか、とにかく守備が不安定としか見えなかったのは素直な感想です。矢野前監督は2019年から2022年まで4年間指揮を執っていますが、ファンからすると、
    捕手出身の監督だから年とともに改善するはず
 捕手出身だからとレッテルを貼るのも良くないかもしれませんが、捕手と言えば守りの要ですから、発想として守りをまず固めようと考えるのじゃないかぐらいです。ですが結果はご存じの通り矢野シャッフルとまで呼ばれた守備変更をひたすら推し進めました。

 この守備シャッフルですが、なんとなく矢野前監督の独創と言うより、現代のプロ野球トレンドにあるのじゃないかと感じた次第です。発想の根底は、

    プロなら内外野のどこでも守れる
 野手の守備位置の縛りがなくなればどうなるかです。選手起用は打撃のみに着目して編成できます。つまりは攻撃力に特化した野球が展開できるぐらいでしょうか。


 どこからそういう考えが出てきたかは不明ですが、ひょっとしてサッカーじゃないかと思うことがあります。サッカー戦術も古くはポジション固定がありました。今だって基本的にはありますが、大昔は攻撃する人と守る人が分けられ、分けられた役割を忠実に果たすのがチーム戦術として重要と考えられていました。

 サッカーはあまり詳しいとは言えないのですが、これに革命を起こしたとされるのがオランダ代表のトータルフットボールで、これ以来、流動的な戦術があれこれ編み出され今に至るぐらいに考えています。

 サッカーは野球と違ってフィールドを流動的に使う球技なので、そういう戦術が主流になったのは理解できますが、シャッフル野球はこの流れを汲んでいるような気がどこかにしています。

 どんな戦術で戦いに臨むかは監督の判断であり、結果責任を負うのも監督になるのがプロ野球ですが、シャッフル野球は今年の結果から言うと評価はしにくいところがあります。

 これだってプロ野球は結果だけで評価される世界ですから、来年以降にシャッフル野球で誰かが覇を唱えたら変わる可能性があるのが怖いところですが、それもまたプロ野球の楽しみです。

 セ・リーグで言えば岡田阪神の基本は変わらないでしょうから、他の五球団の監督がどう動くかぐらいです。というのもシャッフル野球は指揮する監督にしたらどうにも魅力的に映っている面がありそうだからです。

 たとえば残した成績だけなら大監督の一人になるはずの原前監督もその傾向が出ていました。セカンド松田でしたっけ。あれってもしかしてセカンド佐藤輝を見て取り入れたとか。わからないですけどね。わたしは勝てば官軍で今は岡田監督の流儀を支持していますけどね。