兵庫県労働局の裏金

厚生労働省兵庫労働局を舞台にした巨額の裏金捻出(ねんしゆつ)問題で、厚労省は八日、二〇〇四年度までの六年間に裏金づくりに関与した同局の職員七人を懲戒免職にするなど、本省職員らを含む計二百二十一人の処分を発表した。昨年八月に発覚した約三千万円と今回の調査結果を合わせると、裏金の総額は約五億七千万円に上り、うち局内に約二億二千万円をプールしていたことが判明。同省は今後、詐欺罪などで起訴された二職員や業者、調査で新たに私的流用が判明した四職員に着服分の弁済を求めるほか、残る処分対象者らにも負担を求める。

あらゆる部署に存在する役得を根絶せよみたいな理想論を言う気はありませんが、度が過ぎるというのはあります。ましてや我々の税金を食い物にしたのですから、これでも軽すぎる処分だと思います。

裏金つくりの目的が噴飯物で「中央の役人の接待」だそうです。いわゆる官官接待というやつで、これをしっかりしておかないと担当者や担当部局の人間は後でどんな報復が来るかわからないので、「業務(保身)に欠かせないもの」と位置づけられ正当化されてきたようです。

こういうものは私企業でもふんだんにある事で、本社役員の接待の善し悪しで出世に響くのは常識で、当たり前のように接待に励みます。そのときの費用の捻出を交際費に紛れ込ませて処理する事も「能力」と評されるかもしれません。

ただし私企業と公務員は違います。私企業が接待に使う金は自分たちが自分の努力で稼ぎ出した金であって、それを接待に使おうが、ニッポン放送買収に使おうが勝手ですし、度が過ぎて倒産してもそれこそ「自己責任」です。

公務員は自らの力では一銭たりとも稼ぎ出しているわけではなく、すべて国民からの預かり金です。納税は国民の義務ですが、決して無条件に何に使っても良いと全権委任しているのではありません。最低限とモラルとしてすべての税金は国民に還元されるという信頼が前提です。

国は破滅的な財政危機になって久しいものがあります。首相お抱えの御用学者や有識者は「これ以上の歳出削減は不可能」とごく簡単に結論付けています。「不可能」の中には裏金での接待費も「削減不可能」の範疇に入っているのでしょうか。まさか厚生労働省の公式見解である「兵庫と広島だけにおこった例外的事象」であって、他の都道府県には存在しないを鵜呑みにしているのでしょうか。

こんなものこそまさに「氷山の一角」であって、全国の都道府県に存在するのは常識でしょうし、労働局だけではなくあらゆる部局に存在するのも自明の理です。警察の捜査報奨金も裏金に回っている問題が広く指摘されていますが、捜査をする警察が「無い」と断言しているのでまったく解明されません。

医療関係者として、医療費や社会保障の削減は大きな関心があります。自己負担を増やして受診抑制させて、医療費や社会保障費が減れば「大成功」と言っています。医療費や社会保障は削減されても、裏金による官官接待はきっと神聖不可侵の聖域で何人も手がつけてはならないものとされているようです。

そんなに接待が好きなら自腹を切ってやればよろしい、それなら誰も文句は言いません。自腹で上司の歓心を買って出世する分には「努力」の範囲でしょうから。ただしそうなれば給料が足りなくなるので、人事院勧告で公務員のお手当が倍増するお手盛りぐらいはしかねませんが。

個人的には飲み食いは自腹でしないと美味しくありません。絶えず見返りがちらつく接待は好きではありません。もっともこんな零細な診療所を誰も接待してくれませんし、製薬会社からの賄賂も会社の宣伝入りのメモ帳やボールペン以上の物は持ってきません。

でも連日連夜接待攻めされたらやっぱり気が変わるのかな、どう考えてもあり得ないのが残念?無念??