今さらのWBC雑考

 どんな競技であっても優勝、とくに世界一になるのは嬉しいものです。野球ファンとしてWBCでの優勝は嬉しかったのは間違いありません。ですが、やはり無理はあったと思ってしまいます。

 WBCだってオープン戦の国際親善試合程度のものなら調整の一部みたいなものですが、本気で戦うとなれば例年よりかなり早く戦える体に仕上げなければなりません。プロ野球選手も年間スケジュールに合わせてその調整をやってますが、早仕上げのための影響はやはり出たと見ています。

 全員ではありませんが不調やら思わぬ不振に落ち込んだ選手が目に付いてしまいます。阪神なら湯浅でしょうか。湯浅の故障の原因がすべてWBCの影響かどうかは何とも言えません。それより昨年にあれだけ投げた影響の方が大きかったかもしれません。

 それでもWBC疲れの言葉が出るぐらいWBCの影響が今年は言われてしまったぐらいはあります。そうなると次はどうなるの話が出てきます。かつて中日の監督だった落合氏がWBCへの協力を拒否してことがあったはずです。

 あれも一つの考え方で、プロ野球選手の評価は公式戦の成績がすべてです。オープン戦でいくら活躍しても査定には関係ありません。WBCでいくら活躍しようが、1円も年俸に反映されないということです。逆にWBCで怪我でもしてシーズンを棒に振ったりすれば大幅減額になってしまいます。

 監督の立場から見てもそうで、活躍を期待していた主力選手が使えなくなればチームの成績は低下し、チームの成績が低下すればクビに直結してしまいます。球団も成績低下からの観客動員数の低下は許したくないはずです。

 選手はどうかですが、本気のオールスターゲームに出るようなものですから参加することで価値を見つけられる可能性は十分にあります。アメリカでの試合もありますからMLBを考えている選手ならアピールのチャンスと考えていたっておかしくありません。

 ファンは・・・ひたすら贅沢です。WBCでも活躍も望みますが、だからと言ってシーズンに入ってからの不振を許すものではありません。どっちか一つと言われたら私はシーズンですね。WBCが不振でもシーズンで活躍すればWBCのことなど忘れてしまいます。

 最後はサッカーとの構造の違いになりそうです。野球はやっている国がまず少ないのはあります。WBC参加国でもサッカーのW杯よりもレベル差は大きい気がします。さらにサッカーではW杯を頂点とした仕組みが構築されています。

 もっともサッカーのW杯とて長年の歴史で積み重ねられて出来上がったシステムですから、これからWBCがそういう位置づけに成長していくのか、オープン戦の国際親善試合程度になってしまうかはこれからの話だと思っています。