ベストナインの記者投票

 12/17付けのSLUGGER/THE DIGEST編集部の新井裕貴記者の記事より、

 プロ野球の賞で記者投票により決められるのはいくつかあります。具体的には、

MVP、新人王、ゴールデン・グラブ賞は、全国の新聞、通信、放送各社に所属し、プロ野球取材経験5年以上の記者による投票で決定される。

 現場を見ている人の意見という点ではわかるのですが、外野手部門の投票を引用すると、

・佐野恵太(DeNA):260
・丸佳浩(巨人):186
・鈴木誠也(広島):161
・梶谷隆幸(DeNA):128
・大島洋平(中日):92
・青木宣親(ヤクルト):67
・近本光司(阪神):39
・大山悠輔(阪神):3
・モタ(巨人):1
・松原聖弥(巨人):1
・オースティン(DeNA):1

 阪神ファンからするともっと近本に票が入っても良い気がしますが、そこは置いときます。驚かされるのは大山に3票ってなんなんだです。

 大山は今季は外野も守ったことはありますが、たったの4試合しかありません。それなのにセ・リーグを代表する外野手と信じて投票した記者がいるのが不思議過ぎます。パ・リーグでも外野出場がわずか2試合の明石健志選手に1票入っています。

 さらにモタ。外野で出場した試合数は大山の3倍の9試合ありますが、モタの今季の出場試合数も9試合なのです。守備成績も刺殺も、補殺も、併殺も、失策もゼロ。打撃も9打数、2安打、打点4、2割2分2厘です。モタはオープン戦で活躍して育成から支配下登録されたものの、wikipediaより、

11月20日に、球団より戦力外通告された。

 巨人のレギュラーにも程遠い選手であり、戦力外通告されたモタがセ・リーグを代表する外野手と信じて疑わない記者がいるようです。


 そりゃ、誰に投票しようが投票権を持つ記者の勝手ですが、さすがに目に余ると感じます。記事を書いた新井記者は記名投票を提案していますが同意です。そりゃ、記者だって贔屓選手や贔屓チームがあるでしょうし、記者と言えども全試合の全プレーを見ているわけではないでしょうから、どうしたって偏りは出てきます。

 それでもせめてレギュラークラスに投票すべきでしょう。ベストナインとは、各チームのレギュラー・クラスのナンバー・ワンを選ぶ賞のはずです。投票した記者はそのチームで誰がレギュラーかも知らず、さらに調べもせずに適当に投票したのじゃないかと疑われるレベルです。まさかたまたま目にした試合で覚えていた選手に投票したとか。

 これがオールスターのファン投票なら問題ありません。モタの熱狂的なファンがいて投票したって構わないからです。でもそういう投票じゃないはずです。投票権を制限しているのは、野球への深い見識があるとしているはずだからです。

 投票者に求められるのは今の野球の知識です。最低限、今季の成績ぐらいは調べ上げる事が要求されているはずです。それだってネットにゴマンと散らばっています。リアルタイムで見ていないから「知らない」で済む問題じゃないと思います。

 とにかくレギュラーどころか、そんなところを守っていたかとか、一軍にいたっけとか、実力不足で戦力外通告を受ける選手に投票する記者は、投票権を剥奪しても良い気さえします。