ラーメン談義

私もラーメンは好きなんですが、面白いツイートを拾いました、

正麺のヒット以来、インスタントラーメンの広告はますます「まるで生麺」を強調するようになった。そんなに生麺が食いたいんだったら生麺を食うからさあ……。

もう一つ

そういう人って結構多いと思う。「ラーメンは国民食」とか言ったときにその「ラーメン」が何を指すかは、実は人によってラーメン屋のラーメンとインスタントラーメンとに分かれてる。それぞれの人にとっては自明なのでみんなわざわざ言挙げしないからそのまんま来てる。本書く人まで分けられてない。

なかなか面白い見方だったのでチョット補足してみます。


即席麺が私は先だった

かの有名なチキンラーメンは1958年に発売となっています。大雑把な話にしますが、なぜに即席麺が出来たかと言うと、ラーメンを手軽に食べたいからの理解で間違っていないと思います。当然お手本にしたのは生麺ラーメンのはずです。つうか生麺ラーメンのお手本がなければ即席麺は誕生しなかったで良いとも思っています。でもって即席麺が爆発的なヒットになって今に至るも説明は不要かと思います。

ただなんですが1960年代ぐらいでも、そうはお手軽に生麺ラーメンは食べられなかったと思っています。ましてや現在のようにラーメン専門店がウジャウジャあるような状況は1970年代ですら、いや1980年代もどうかとさえ思っています。もちろん地域柄もあり、北海道とか、福岡などは気軽に行けるラーメン専門店も多数あったかもしれませんが、現在とは状況がかなり違うと思っています(つうか根本的に知りません)。

とくに関西はラーメン勢力はあんまり強くなかったと思っています。古い時代の話ですし、私の記憶もかなり曖昧にはなっていますが、生麺ラーメンを食べようと思えば、中華料理屋のメニューの中の一品と言う趣きは相当あったと記憶しています。田舎じゃ屋台のラーメンなんてものも回って来ませんでしたし、そもそもそんな中華屋自体が私の故郷では非常に少なかった印象です。

これも子ども時代の話ですから、単に親がそういう店を好まなかっただけかもしれませんが、とにかく生麺ラーメンを食べたのは遅かったです。その代わり即席麺は早かった。なにしろ初めて作れるようになった料理が袋ラーメンです。なんの自慢にもならないですが、とにかく良く食べた記憶があります。つまりと言うほどではありませんが、私にとっては、

    ラーメン = 即席麺
こうなった訳です。一方で生麺ラーメンを食べた記憶はかなり後になります。なぜにラーメンだったのかは記憶の彼方ですが、とにかく食べたのは生麺ラーメンです。その時の感想を妙に覚えているのですが、
    これはラーメンじゃない!
即席麺に慣れ親しんだ舌には相当な違和感があり、それから長い間、店でラーメンの注文を避けた記憶があります。子ども心に生麺ラーメンが美味しいとは思わなかったと言うところでしょうか。生麺ラーメンと即席麺では麺もスープもそれぐらい違った印象です。ここも単にたまたま食べた店が不味かっただけかもしれませんが、今となっては確認しようもありません。


生麺こそが本物のラーメンか

あれから幾星霜、今では生麺ラーメンも大好きです。ラーメン勢力が弱いとした関西でも、ラーメン専門店なんて腐るほどあります。今でもしばしば食べます。ここで根本的な問題としてですが、生麺ラーメンをお手本にして即席麺が出来たのは歴史的経緯としてあっても、

    生麺 > 即席麺
こういう理解が正しいのだろうかです。言い換えれば即席麺は今後も技術改良を重ねて生麺ラーメンに近づく事が疑う事もない王道なんだろうかです。私はそれは少し違う気がしています。ルーツは生麺であっても即席麺は別の料理とする方がむしろ適切ではなかろうかです。つか人は即席麺を生麺ラーメンがお手軽に出来る料理と見なしているかです。そういう人もいるとは思いますが、そうでない人もまた多いような気がします。

ただなんですが、ここもまた世代の差は大きいと思っています。私は上述したように先に即席麺の味に完全に慣れ親しんでから生麺に進みました。しかし現在はどうでしょう。即席麺は今でも手軽に食べられますが、生麺ラーメンに早くから慣れ親しむ環境が整っています。そういう世代であれば即席麺と生麺を別の料理と考えるだろうかです。やはり即席麺を手軽に食べられる生麺、つまりは生麺の亜流と見ているかもしれないです。


ここの実感による判断が私には無理なんですが、参考になるのは海外とくに台湾や中国の即席麺ヒット定着をどう考えるかです。海外では即席麺と生麺を完全に別のジャンルの料理と見なしている気がしないでもありません。もっとも台湾とか中国となると日本式ラーメンじたいが別ジャンルの料理と見られている可能性もありますから、これだけでは微妙すぎるところです。

では日本で考えると、生麺専門店の普及はラーメン人口の厚みを広げたとは思いますが、生麺が手軽に食べられるようになったからと言って、即席麺の市場が縮小・衰退したわけでないと考えています(データを確認したわけでは無いので悪しからず)。これは即席麺と生麺が同じ「ラーメン」でも別ジャンルの料理とされている傍証ぐらいにはなるとは思いますが、どんなものでしょう。


とにもかくにも美味しいラーメン店をまた見つけたいものです。新規開店はうちの近所でも多いのですが、同じ分だけ潰れています。潰れる店は申し訳ないですが、また食べに行きたい魅力に欠けると思っています。逆に生き残っている店は、周期的に食べたくなる魅力が確かにあります。あくまでも個人的な感想ですが、一番美味しかったと思うのは熊本で食べたラーメン。

旧友の結婚式で熊本までノコノコ出かけたのですが、披露宴後に旧友の地元の友人に案内された店です。ここも一番案内したかったとされる店は売り切れだったか、休みだったかで「その次」ぐらいとか言ってましたが、私には十分美味しく感じたと言うところです。博多ラーメンとの違いの蘊蓄もその時に聞かされましたが、ハハハハ、忘れちゃいました。もっとも特殊なシチュエーションの上、一度しか食べていないので相当美化されている可能性は否定しません。

それでも心残りは一番とされた店を食べられなかった事。いつの日か食べる事が出来るのかなぁ? 誰か招待してください。熊本以外でももちろんOKです。そう言えばかの有名な札幌ラーメンも本場では食べてないですからねぇ、食べた事があるのはサッポロ一番(即席麺)だけです。函館の塩ラーメンも美味しいとは聞いています。最後はとりとめもないお話になりましたが、今日はこの辺で。