こんなブログでも引用していただけるのは光栄なんですが、
出来れば引用元は間違って欲しくなかったところですが、その点は誰でも勘違いはあるので良いとしましょう。引用され言及されたのは20〜30歳代の女性の感染者数ですが、引用されたからには佐藤先生の意見に賛同しているの誤解を招いて欲しくないので補足とさせて頂きます。佐藤先生は接種率と有効抗体価保有率の相関に言及されていたのでまず示しておきます。年度 | 感染者数 |
2000 | 3120 |
2001 | 2590 |
2002 | 2984 |
2003 | 2794 |
2004 | 4247 |
2005 | 889 |
2000-2005年のアウトブレイク時の患者数でもIASRグラフではあの程度ですから、自然感染が多い時代には、千単位でも万単位でもなく10万単位ぐらいの患者はラクに発生していたと言えます。多い年には100万人以上であっても多すぎると思えません。1982年生れで現在32歳です。1982年はIASRのグラフで一番以前の年齢ですし、さらにそれ以前の32〜39歳の人はこれだけの自然感染に毎年の様にさらされても有効抗体価保有率は上記した通りであり、なおかつ今年のアウトブレイクでも多数の感染者を出しています。
21世紀にもなって未だに風疹のアウトブレイクが起こる事自体は正直なところ国際的にも恥しい状況なのですが、ワクチン接種は決して無駄ではなくアウトブレイクの規模を「それでも」この程度に押さえ込んでいるぐらいの評価は可能です。多くの医療関係者は厚労省の風疹対策の不備を指摘はしますが、不備でありながらもこれぐらいは成果はあげていると言う事です。決して佐藤先生のように無駄だから自然感染でOKとは、私も含めて決して考えていません。
佐藤先生は20〜30歳代に比べ小児より感染数が多いとされていますが、現在の小児に関しては接種率は1期だけなら95%程度に向上しています。2期だって92%ぐらいはあります。2007-2008年の麻疹のアウトブレイクも2000-2005年の風疹のアウトブレイクも成人の流行が中心です。成人の流行だから社会問題になった点を御考慮されていない様に感じます。小児が少ないのは一因としてワクチン接種率が高いためと私は考えています。それ以上は公衆衛生学的な考察になりますが、これは前にやったので今日は省略します。
なにより風疹は先進国を名乗るであれば国内発生はゼロが原則であり、他の先進国と呼ばれる国々ではワクチン接種をもってこれを達成しています。これは別に秘話とか、知る人ぞ知るレベルではなく医学常識です。日本より人口は倍近く多く、国土も日本に較べれば桁外れに大きく、また様々な意見が渦巻き、すぐに訴訟で争われるアメリカだって達成しています。
もう一度念を押しておきますが、私はグラフを佐藤先生に引用されたからと言って
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佐藤壮太郎先生の主張にはまったく賛同していません