ツイッターで拾った情報なので、当初は失礼ながら「釣り」の可能性も考えていました。ただ返信まであったので、発信者の近江園善一氏をサーチしてみるとバリバリの小児科医である事が確認できました。サーチの結果はあえて書きませんが、発信者は十分に信用できると判断した次第です。実名でここまでの「釣り」を行なう理由が無いです。ツイートを紹介しておくと、
某病院小児科医師。全身状態良好熱2日目の1歳児、WBC1万台前半、CRP<3、培養とらず、CTRXとMINO点滴後紹介と意図不明。この医師幼児にMINOを解っていて処方したり、風邪ひいたら飲んでと常備薬としてTFLX28日分処方したりも。これが小児科専門医のすることか?
医師、とくに小児科医には読んだだけですぐにわかるんですが、あえて注釈と言うか推察を加えておきます。エピソードは3つ挙げられております。まず1番目ですが、
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全身状態良好熱2日目の1歳児、WBC1万台前半、CRP<3、培養とらず、CTRXとMINO点滴後紹介と意図不明
でもって採血結果も手にしたようですが、「WBC1万台前半、CRP<3」のデータで紹介とは「???」です。データで紹介を決めるわけではありませんが、全身状態良好ならまだ内服抗生剤投与で経過を見るのが99.9%の小児科医と私は思います。2つ目の幼児にMINO投与は、投与日数によっては問題は生じないのエビデンスがあったはずですから、マイコプラズマ感染を疑ったのであれば「あえて」を考える余地はあります。しかし3つ目の、
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風邪ひいたら飲んでと常備薬としてTFLX28日分処方したり
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これが小児科専門医のすることか
こんなめちゃくちゃなことして土日にはこちらに丸投げの様な紹介をしてくるので、うんざりです。私より10年先輩なんですが、早く第一線から退いて戴きたいと願っています。
どうも全身状態良好の発熱2日目の1歳児も、週末であったのが紹介の理由かもしれません。3つ目のツイートです。
年齢に関わらずMINO処方、週末軽症の意図不明紹介が増加、培養取らずにやたら抗菌薬投与など、ここまではいつかお会いした時に改善をお願しようと思っていました。でもTFLXと鎮咳去痰剤等を28日分で風邪ひいたら飲んでね、にはぶったまげました。話して直る気がしない…
私も魂消ています。とくにTFLXの28日処方なんて病院勤務医でなければ不可能です。いや、病院勤務医だって院外処方なら薬局から確認は必ず入りますし、レセの審査で必ず問題になるはずです。保険が落ちれば病院から「注意」ぐらいは通常は入ると思うのですが、どうなってるんだろうかと思うばかりです。
遺憾ながらこの手のヤブは初めて聞きました。私が知っているヤブは暴走治療で捏ねくり回した挙句に、最後の最後のところで神業のような見切りで丸投げするタイプのヤブです。今回のヤブはあえて喩えれば落語の「手遅れ医者」みたいな感じでしょうか。落語の手遅れ医者はそれでも責任は自分で負いますが、このヤブは周囲に丸投げする点でさらに程度は落ちる気がします。
それでも見様によっては究極の防衛医療を行なっていると言えない事もありません。ほんの少しでも危険を感じれば即座に丸投げなら、思わぬ経過を取ってのトラブルはほぼ回避出来ます。このヤブの治療方針なら、たとえ思わぬ経過を取ろうとも、思わぬの前の状態は万人が見ても「予見不可能」でしょうからリスク管理としては強力そうです。ただしMINO頻用はリスキーと思いますから、単純な防衛医療を志している訳でもなさそうです。
とりあえず私の周囲にいなさそうなので、その点は良かったと思っています。そうそう近江園善一氏はかのヤブを「10年先輩」としておられますが、ざっと年齢の概算をすると60歳ぐらいのはずです。でもって今でも現役の勤務医の様です。つまり今まで一線の勤務医として働き続けてこれた訳です。世の中、本当に狭いようで広いと思っています。ヒョットしたら京都の小児科医様ぐらいなら、このヤブの正体を知ってられるのかなぁ?