震災が起こった時の個人対策

これを考える時にどれほどの被害であるかの前提が必要です。たとえば、

  1. いきなり家が倒壊
  2. 津波が押し寄せて水没
  3. 火事が起こる、もしくは延焼してきて全焼
  4. 近くの崖が地すべりを起して生き埋め状態
こうなってしまったらどうしようもありません。生き残れるかどうかさえ運次第です。幸運にも生き残れても、後は救助を待つだけになり、これまた運次第です。重傷でも負ってしまっても以下同文です。負傷の程度が軽くとも避難所以外に選択はありません。こんなものは個人の対策の範疇ではどうしようもありません。従って、もう少しマイルドの状況の想定がせいぜいになります。そうですねぇ、
  1. 家は損傷を受けたとは言え居住には差し支えない
  2. 家族は軽傷程度はあったとしても基本的に無事
こうででもないと個人では対策の考えようがありません。家で暮らせる程度の損傷であった時に考えるポイントは、地震によって飛んで来る重量物対策になります。それこそタンスが飛んで来るのが地震の怖ろしさです。すべて作り付けにしておくか、壁に金具で固定するぐらいです。ただこれも持ち家なら可能ですが、借家では困難になります。壁に安易に穴を空けるわけにはいかないからです。

それと固定すると言っても、壁が石膏ボードなら引きちぎられる危険性は十分あります。金具による固定もやらないより、やった方が良いぐらいでしょうか。部屋に何も置かないのも選択ですが、日常生活もありますから限界が有ります。最終的には飛んできて当たらないように運を天に任す部分は大です。ぐちゃぐちゃ書きましたが、震災にあってもとりあえず無事生き残り、自宅で籠城するぐらいの状態から考えます。かなり平穏ですが、それ以上の状態は個人では対策出来ないからです。


そういう状態では電気・ガス・水道は止まっています。電話もダウンして不通になっています。そういう状態で1週間ぐらい籠城する対策が個人で出来る限界ぐらいになります。考えるポイントは幾つもありますが、最大の難物は水になります。水も飲料水レベルで考えればまだしもなんですが、生活用水と考えると大変な代物になります。

生活用水と言っても別に風呂に入ったり、洗濯したり、掃除に使ったりは非常事態ですから無いのですが、一番困るのはトイレです。こればっかりは我慢ができません。庭付き一戸建てなら、庭に穴掘って仮設トイレなんて事も不可能ではないかもしれませんが、マンションなどの集合住宅ならそうとも行きません。そうなるとなんとか自宅の水洗便所を使わなければなりません。

水洗便所の使用水量はおおよそ大が15リットル、小が5リットルとされています。とくに大の時には流す水量をケチると排水管が詰まりますから、しっかり流す必要があります。ここも小の時には流さずに大の時にまとめて流すとして、家族4人で1人1回づつ大をするとして、計4回つまり60リットル必要になります。60リットルとは18リットル入りのポリタンで約3個分です。

これを水道が復活するまでどこかから調達しなければなりません。貯水場所はあります。それこそ風呂桶に貯めれば良いのですが、どこかから水をポリタンなりに入れ、それを運ばないと水は湧いてきません。ここもクルマが使える前提なら、水源から自宅前までは運べますが、問題はクルマから風呂桶までになります。ポリタン18リットルは18kgで、これが非常に重いからです。

これも一戸建てならまだしもなんですが、マンションとなると非常な労苦になります。エレベーターが使えなければ階段になりますが、目も眩むような重労働になってしまいます。最近はやたらと高層マンションが増えてますから、20階とか30階とかになると、それだけで登山状態になります。対策としては前夜の風呂の残り湯をしっかり残しておくぐらいでしょうか。とはいえ震災はどういうタイミングで起こるか不明です。朝なら良いですが、風呂の残り湯を洗濯などで使い切った後に起これば水はありません。


神戸でさえそうですから、他の地域の事は言えるようなものではありませんが、タワーマンションは震災に対しては弱点テンコモリと思っています。建築物自体の耐震構造はしっかりしている(・・・のはずですが、あれも実際に起こらないと、どうなるかは不明です)はずですが、高層階ほど揺れは激しくなります。それこそタンスやテレビが飛び交うミキサー状態の世界になります。

自家発電が備え付けられているところも多いかもしれませんが、それでもエレベーターは止まります。点検が済むまではまずは動きません。また自家発電自体も数時間程度からせいぜい1日ぐらいしか稼動しないと思っておいた方が良いでしょう。何日も動かすための燃料を貯蔵するのは様々なハードルがありますし、そういう状況ですから燃料を電話一本で運んでくれるわけにもいきません。

生き残れた後のサバイバル生活の基本は、自分で調達して、自分で運ぶが基本になります。調達は数日したらたいていはまだしも可能な時が多いと思っていますが、運搬は住居が高層階になるほど地獄と化します。阪神の時はたかだか10階でも大変でした。あれが20階とか30階になれば目も眩む感じです。確実に歳も取っていますから、飲料水用のポリタン1つ運ぶだけでも想像を絶する世界になります。


トドの詰りは定番の感想ですが、2度目は堪忍してくれです。あんな事は1度で十分で、次を予想してもどうにもならない感じとすれば良いでしょうか。だいたい次の時に自分や家族が無傷で済むなんて幸運さえ不明ですし・・・。