医療での慣用用語でベッドとは、
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入院患者を診察・治療できる、その病院のその時点の医療戦力
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拒否・・・病院の怠慢問題
不能・・・医療供給のシステム問題
年度 | 総数 | 病院 | 診療所 | ||
国公立 | 私立 | 合計 | |||
1998年度 | 5148 | 1243 | 3040 | 4283 | 865 |
2007年度 | 4370 | 1272 | 2692 | 3964 | 406 |
2011年度 | 4281 | 1254 | 2660 | 3914 | 367 |
ちなみに2011年度時点で埼玉の救急病院数は174ヶ所、千葉が135ヶ所、神奈川が162箇所で東京が319ヶ所です。これじゃ比較し難いでしょうから大阪で268ヶ所、兵庫で183ヶ所です。全体の数のうちの病院は1998年度から369ヶ所減少しています。病院の減少のうち私立病院は369ヶ所減少しています。医療は医療政策による露骨な誘導政策があり、救急病院を増やしたいのなら増えます。つまり儲かるように公的料金を設定すれば増えます。救急病院数の減少を集約化による充実と見れないかの問題も有りますが、充実すれば救急問題は減少するはずです。
怠慢であれば鞭も有用としましたが、かつてMed_Law様がNHKに「たらい回し」表現への抗議を行った事があります。私がエントリーで取り上げたのが2008.2.25になっていますから、もう5年も前のお話です。NHKの言い分を再掲しておくと、
たらい回しは、医療システムに対する非難である。救急病院の指定を受けながら受け入れないことで被害者を出していることに対する非難である。システムの責任については、病院が責任を負わなければならない。
NHKの言い分はともかく、2008年当時に「たらい回し」が初出したわけではなく、少なくとも2006年の奈良大淀病院事件の時には「たらい回し」と言う表現が医療者では問題視されています。もう8年ぐらい経っていますが、鞭で叩き続けても成果が上っているとは思いにくいところがあります。これは8年間の叩き方が甘すぎたせいでしょうか。そう考えてられる方も少なくないようですが、8年も叩かれれば医師でも少しは変わるかと存じます。マスコミの鞭は経営に深刻に影響するからです。
そうなると病院の怠慢問題でなくシステム問題と考える方が自然かと考えます。これを怠慢問題として扱う事は問題の先送りに過ぎない行為に見えます。「拒否」として現場の病院の怠慢として叩くのはラクですしカネもかかりませんが、それでは解決からかえって遠ざかるとも見れます。もう少し付け加えておきますとちょっと古いのですが、平成13年当時に21世紀の医療提供の姿として急性期病床(一般病床)の将来数を試算しています。試算は5つのシミュレーションに基づいて行なわれています。達成想定年度は2010〜2015年度頃で、つまり現在と言う事になります。
試算法 | 試算の考え方 | 想定病床数 |
試算A | 現状の入院受療率を基礎とした受療率見込み及び将来人口により試算 | 100万床 |
試算B | 先進諸国における全病床数に占める急性期病床数の割合により試算 | 60万床 |
試算C | 先進諸国における人口当たりの病床数により試算 | 50−60万床 |
試算D | 現状の入院回数を基礎とし、平均在院日数を15日として試算 | 63万床 |
試算E | 現状の入院回数を基礎とし、平均在院日数を10日として試算数 | 42万床 |
様々な試算がありますが厚労省の基本方針は、
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可能な限りの病床削減
そういう状況で取られるのは、
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計画入院・計画退院
病院は原則として100%以上の患者を入院させる事が出来ません。やれば罰則が確実に下ります。それでも100%に近い運用を行なっている優良病院は様々な帳簿上の処理で対応しています。そういう病院が優良病院であり、なおかつ高度の医療を提供できる病院でもあります。こういう状況は救急問題に対して改善方向に作用するでしょうか。どう考えても逆にしか作用しません。
緊急入院は優良病院に取ってまさにアクシデントになります。無闇に受け入れると計画入院の患者に影響します。前夜に緊急入院の患者のために満床になり、入院仕度で受診した患者への対応に困ります。年に数度の事ならばともかく日常化しては計画入院自体が破綻します。これが現在の病院の入院事情の一つであり、そういう病院が勝ち組として優良病院となっているからです。
まあ、システム問題に飛び火すると今度は医療費増大問題に連動しますから、当面は救急問題が出るたびに、その場しのぎのスケープゴートとして病院の怠慢問題として叩いて一時のガス抜きをするしかないのかもしれません。もっとも当面もかなり長くなっていますから、どこまで続くかは判りません。判るのはNHKが国策に非常に忠実であると言う事ぐらいです。