日大光が丘病院問題・ラストクリスマス

せっかくのイブですから、せめて心温まる話でも書きたかったところですが、気力の消耗は如何ともしがたく、手垢のついた光が丘病院問題を性懲りもなく書かせて頂きます。これも記録として留めておくぐらいの価値はあると、無理やりでも信じ込んでおく事にします。

12/17付産経記事に地域医療振興協会(協会)が抗議したそうです。対象の産経記事はWeb上では読めないようなので、医療経済経営協会の【誰が守る 地域医療】練馬光が丘病院問題(2)振興協会に引用されているものから再引用させて頂きます。ちょっと長いですが、産経記事と協会の抗議個所を較べながら読んでみます。


その1

産経記事該当部分

 運営を引き継ぐ振興協会は、僻地(へきち)医療の充実を目的に自治医大の卒業生が昭和61年に設立した。全国で52の病院、診療所などを運営し、全国の自治体から誘致の要望が多いという。

 だが急速な拡大で人材を確保せず運営に踏み切る例が、医療関係者らから指摘されている。

協会反論

 医療関係者が示されず、私どもの反論が出来ない。

 協会が新たに運営を開始した医療機関の設置者である市町村からは、その運営に対し、評価をいただいている。こうした医療機関は、もともと医師の確保が出来ず、経営的にも大きな困難を抱えてきた。設置者である市町村と協議を行いながら、順調に経営を行なってきている。また、3月11日の東日本大震災に当たっては、宮城県女川町を中心に、職員等548名、延べ3201日にわたる人的支援を行い、女川町から感謝をされている。さらに、平成22年度には当協会が運営する医療機関以外の医療機関に対し、延べ5944日の短期派遣及び8つの医療機関に対し長期の診療支援を行っている。この事実を承知しながら、今回の記事は。一方的な見方のみを書くものであり、報道機関としての貴紙の態度には疑問がある。

冒頭の

    医療関係者が示されず、私どもの反論が出来ない。
ここは具体的に誰がそう話したかを明示していない事を指摘しているかと解釈します。わからないでもありませんが、一応匿名ですが私も医療関係者として指摘させて頂いたつもりです。当ブログのコメンテーターにも医療関係者がおられ指摘された方もおられます。それでもネット上の得体の知れない医療関係者ですから「反論ができない」とするのは一つの見識ですが、それならこの後の抗議反論自体も
    やめときゃ良いのに
と私は感じます。

ここで具体的な反論として挙げているのは、なぜか医療機関の運用の話ではなく東日本大震災の支援実績です。もちろん震災支援を行った事は称賛に値する行為ですが、それと医療機関の運用が連動するかと言われるとちょっとズレそうな気がします。支援活動の一端も紹介されています。本当に立派な活動だとは思います。またこういう活動を行なった事自体は褒められこそすれケチをつける気はまったくありません。

ただここで協会が抗議する内容は医療機関の運用拡大に関する人員不足への懸念払拭のはずです。こういう例を示すのなら、いかに豊富な人員を動員できたかが必要なはずです。抗議文には具体的な動員人数が書かれていますが、

    職員等548名、延べ3201日
1人平均で5.8日であり、ごく素直に少人数のグループを交代で送り込んでいたと考えるのが妥当です。具体的な規模も書かれてあり

11. 派遣チームの構成及び派遣期間

  • A.急性期(18,21,24日)は、医師3名、看護介護10名、薬剤師1名、事務4名(女川2名、黒川2名)で3日間
  • B.24日以降は医師3名、看護介護5名、薬剤師1名、事務4名(女川2名、黒川2名)で1週間

4/11時点のレポートで13次にのぼる救援派遣が記録されていますが、あちこちの協会系病院からの派遣であると考えるのが妥当です。こういう動員が出来た事、また実際に支援を行った事と、協会の人手不足への反論はちょっと筋が違うと言うか、反論になっていないと私は感じます。そりゃ、いきなり548名の職員を動員し、そのまま3ヶ月なり、半年の支援が行われたならともかく、

    一方的な見方のみを書くものであり、報道機関としての貴紙の態度には疑問がある
そこまで言えるのかすこぶる疑問です。たとえば日赤だって大きな支援を行っており、延べ日数も動員延べ人員も大きなものであると考えますが、それだけ動員出来たからといって、日赤に唸るほどの医師や看護師がいるとは誰も考えないのと同じです。


その2

産経記事該当部分

神奈川県横須賀市民病院は平成22年春の運営開始時、呼吸器内科、泌尿器科など4科の医師を確保できず病棟を閉鎖した。開設時にいた産科医3人もゼロとなり、出産は助産師のみで担当している。

協会反論

 記事は、事実とは異なる。

 病棟を閉鎖したのは2科のみである。出産は助産師による院内助産であり、これ自体は、日本で2番目の快挙である。

神奈川県本部/横須賀市職員労働組合・書記長 森田洋郎氏が書かれた市町村が開設する病院の役割は指定管理者制度は地域医療に何をもたらすのか と言うレポートがあります。立場上の考え方はともかく、内部情報を詳しく聞ける立場にあり、医師の人数の変動部分は正しいと判断します。このレポートに基づいての協会移管後の医師数の変動の表を再掲します。

診療科 指定管理前 増減 指定管理後
呼吸器内科 3 -3 0
消化器内科 4 -1 3
循環器内科 4 +1 5
神経内科 2 -2 0
血液内科 1 +1 2
脳神経外科 3 -2 1
形成外科 1 +1 2
リウマチ科 0 +1 1
小児科 5 ±5 5
泌尿器科 1 -1 0
耳鼻咽喉科 2 +1 3
麻酔科 3 -1 2
産婦人科 3 -3 0
32 -8 24


このうちで小児科の医師数の変動の内容についてはかなり調査していますが、合っています。そうなると
    病棟を閉鎖したのは2科
常勤医数がゼロになった診療科のうち、なんと2科は常勤医ゼロで入院治療を行なっていた事になります。もっとも「病棟を閉鎖する」と「入院数がゼロでも病棟は維持している」は事実と異なるとの主張の可能性なら成立します。病棟と言えば広い面積と言うか、多数の病床を有する病院の一角をイメージしてしまいますが、言葉の定義からすると名目上の1床があっても病棟とは言えます。

さらに名目上の1床(病棟)が使われていなくとも、他の診療科の入院に常に使われていても外形的には「病棟を維持している」と主張する事は可能です。そういう趣旨で事実誤認と言うのなら、なんとか理解可能です。それでも協会の反論は一つ言い落としている事があります。横須賀市民の平成23年4月付の院長あいさつに、

4月1日以降、市民病院の許可病床数は482床ですが、現在は診療報酬上の制約等により、稼働病床は262床で運営しています。

平成22年4月に運営を引き継いで1年後でも482床中220床が「病棟閉鎖中」です。これも事実を正確にしておかないと協会に悪いですから2010.1.27付読売新聞から引用しておきます。

新年度から公設民営化される横須賀市立市民病院の4月以降の診療体制が26日、明らかになった。呼吸器内科と脳神経外科泌尿器科神経内科の4科で入院を停止し、稼働病床数を377床から約250床に縮小する。

協会が引き継ぐ前から482床は稼動しておらず377床であった事が確認できます。協会引継ぎ後に「病棟閉鎖」されたのは115床とするべきのようです。マスコミ記事ですから注意は必要ですが、平成22年4月時点では4つの診療科の入院は「停止」であったのが、現在は2つが「停止」、もう2つは「病棟閉鎖」であるのが正しい理解と考えます。

常勤医がゼロになった呼吸器内科、神経内科泌尿器科産婦人科は現在の横須賀市民HPを確認しても常勤医はいません。たぶん「入院停止」の2科はなんとか復活させたいと努力中で、「病棟閉鎖」の2科はあきらめたと言うところでしょうか。ひょっとしたら1人か2人の、動かせない、やむを得ない長期入院患者がいるから病棟閉鎖になっていない可能性も残りますが、実態としては稼動していないと見ても間違いないと考えられます。これを事実誤認と抗議するほどのものかどうかは評価が微妙です。


それでも病棟閉鎖に対する事実誤認は頑張れば理解可能ですが、

    出産は助産師による院内助産であり、これ自体は、日本で2番目の快挙である
ここまで来ると感覚の相違は怖ろしいほどで、産婦人科常勤医ゼロの状態で助産師のみの院内助産所を開設した事、それも首都圏の横須賀市で開設した事が「快挙」だそうです。個人的には「怪挙」に見えます。ま、横須賀市民のNICUは生き残ったみたいですから、母体から出さえすれば日本一安全な助産所かもしれません。

ここも協会の主張が非常に難解なのですが、問題の焦点は協会が医師・看護師を集められるかのお話です。横須賀市民で産婦人科の常勤医がいなくなったのが問題の焦点であり、別に横須賀市民で、どんな形であれ分娩が可能かどうかを問題にしているとは思えません。協会の反論をごく素直に解釈すると、光が丘病院で常勤産婦人科医がゼロとなっても、助産師だけによる院内助産所が開設できれば、

    これ自体は、日本で○番目の快挙である
これも何番目かは正確には存じませんが、それでも「文句あっか」が成立しそうな気がします。ここで地元産婦人科医療関係者筋の情報を付け加えておきます。個人的には非常に信頼がおける情報と判断しています。情報によれば横須賀市民には現在2名の産婦人科常勤医が存在します。

1人は横須賀市民の前産婦人科部長だそうで、近所に開業して非常勤医として出務されているそうです。もう1人は優秀な産婦人科医だったそうですが若くして体を壊され、幾つかの病院の非常勤医をされておられるそうです。お二人とも「分娩は行わない」の約束で非常勤医を勤められているとの事です。そいでもって、協会が「快挙」と自賛する分娩数は月に1〜2件となっています。


その3

産経記事該当部分

 浦安市市川市病院組合(千葉県)から経営を引き継いだ東京ベイ・浦安市川医療センター(344床)も看護師を確保できず、来春200床減らし、144床で開院する。

協会反論

 記事は、事実とは異なる。

 現在、病床は50床で運営している。これは平成21年4月の運営開始と同時に新病院の建設にかかり、場所が確保できなかったことから、やむなく50床で運営している。来春、新病院がオープンする。新病院は344床の病院であるが、浦安市及び市川市と協議し、医療安全等を考慮してオープン時は144床でまず運営を開始するものである。医療安全上、どの病院でも行われているものである。

これもツッコミどころが多い反論で、

    医療安全等を考慮してオープン時は144床でまず運営を開始するものである。医療安全上、どの病院でも行われているものである。
医療安全は大学病院を引き継いだ光が丘病院でも同等もしくはそれ以上に求められるのが妥当で、来春4月時に50床の話が現実味を帯びる事になります。それと東京ベイ・浦安市川医療センターは現在50床が、来春には、
    医療安全等を考慮してオープン時は144床
簡単には約100床増えて3倍に拡大する事になります。さらに目標の344床は来々春ぐらいが目標になると考えるのが妥当です。つまり、
  1. 来春には96床分の医師・看護師が浦安に必要
  2. 来々春には200床の医師・看護師が浦安には必要
協会が横須賀市民をどうするのか存じませんが、横須賀市民も
  1. 平成22年の引継ぎ時の377床にするために115床分の医師・看護師が必要
  2. 許可病床の482床にするためには220床分の医師・看護師が必要
これを抱えながら光が丘病院342床分の医師・看護師も集めるわけです。光が丘病院の目標数練馬区の議会答弁によると医師だけで80人程度となっていますから、外野から冷静に見て「できるんかいな?」と不安視されても不思議なさそうに感じます。


その4

産経記事該当部分

 選定委員会と区議会は、北区で協会運営の東京北社会保険病院(280床)を視察。区議から「患者の笑顔をみて安心した」との意見も出た。

 だが同病院は、品川区にあった社会保険都南総合病院が、16年に医師を含め丸ごと移転した。日大側の医療スタッフが全員引き揚げ、ゼロから作る光が丘病院と比較できない。

協会反論

「16年に医師を含め丸ごと移転した。」は誤りである。事実は1名も引き継がれていない。医師を含め、すべての職員は一から募集を始めたものである。
 当時、東京北社会保険病院を支援できる病院は現在ほど多くなかった。現在は運営する病院も増え、多くの病院が練馬光が丘病院を支援できるようになっている。

北社保病院と言われても私にはサッパリわからないのですが、医師・看護師ごと「丸ごと移転した」は当ブログに医療関係者から情報が寄せられていました。しかしそれは事実誤認だとしています。

    医師を含め、すべての職員は一から募集を始めたものである
北社保病院(220床)も光が丘病院と同様に医師・看護師がいなくなった状態から、すべて協会がゼロから集めたと主張されているのが確認できます。ここで私がよくわからないのは、北社保病院も引継ぎ時点では50床ぐらいからステップしたのでしょうか。半分の100床ぐらいでも構いませんが、引継ぎ時に許可病床がフル稼働した可能性は低いはずです。

理由は協会が自ら上げている浦安の例にあります。医療安全上の指導で344床のうち177床でオープンしたとなっています。もっとも管轄が浦安は千葉であり、北社保は東京です。千葉では指導があり、東京ではなかった可能性は無いとは言えません。ここの解釈として、

  1. 浦安同様に医療安全上の指導があるのが当然なら、光が丘病院は来春に半分程度(もしくはそれ以下)の稼動病床での縮小運営になるのが当然となる
  2. 北社保が引き継ぎ時からフル稼働であれば、なぜに浦安が制限されたのか不可解となる
  3. 横須賀の病棟閉鎖は医療安全上の指導なのか、人員不足なのかの理由を知りたい
これぐらいの疑問は誰でも湧く事になります。


余計な事は言わなければ良いのに

サラッと読んだだけで協会の反論は何が言いたいのか理解に苦しむ点が多々あります。私が読む限り、急拡大による人員不足の懸念を払拭できるような具体的な反論は何ひとつ行なわれていません。強いて言えば産経記事の個々の事実に対し、非常に狭い解釈論争で「事実誤認」と指摘しているのが各パーツにおいてディベート的には辛うじて成立するぐらいかどうかです。

しかし最も大きな主題は、協会が多数の医師や看護師を来春までの短期間で集められるかどうかです。これに対しては何ひとつ答えていないのに等しいとして良いかと存じます。この程度の内容の乏しい抗議で産経が記事を引っ込めるほどの政治力があるのはわかりますが、わざわざ公開して誇示するほどの代物とはどうしても思えません。

私の感想としては

    キジも鳴かずば撃たれまい
幾ら言葉を飾ったところで、ここ数年の間に途轍もない数の医師と看護師を集める必要があるのは算数的事実です。現在の医療情勢でそれがいかに困難かは、医療関係者でなくともある程度はわかります。記事が事実誤認と言うのなら、もう少し別の内容の丁寧な抗議を行うか、目に見える事実を示した方が効果的と考えます。

問題点として指摘された浦安、横須賀、さらに光が丘に実際に医師や看護師を実際に集め運用する事が最大の反論になると思います。論より証拠の世界で、有無を言わせぬ実績を明示すれば外野の雑音は速やかに封じられます。この抗議の様に相手の揚げ足を取る事ばかりに終始した反論を行なったところで、根幹の「集められるのか」の不安や疑問は一向に解消しないだけではなく、今日書いたぐらいの素直な疑問がかえって出てくるだけだ言う事です。


事態がここまで進めば「無理なものはムリ」と言った方がむしろ誠実な気がします。協会の自負はともかく、協会だからといって医師や看護師を無尽蔵に集められるとは医療関係者の誰も考えていません。医療関係者でなくとも信じている者は少ないでしょう。いや、協会自身からもポロポロと本音が零れています。

裏事情は知る由もありませんが、外形的には協会はホワイト・ナイト的な位置に本来あるはずです。練馬区が50億円問題で日大と縁を切る決断をやらかしてしまい、このまま潰したのでは区民への説明が出来ないと言う体面の救済者であると言う事です。継承に当たっては日大の協力と言う前提条件が、これも形式的にはあったはずで、これが練馬区の事情で仰げなくなれば継承内容が変わるのは当たり前と言う事です。

継承条件であった日大の協力が無理と判断できた時点で「長期はともかく、来春時点での運営規模はこの程度である」と早々に逃げてしまうべきであると私は考えます。光が丘病院問題で日大と喧嘩したのは練馬区であり、別に協会が日大と直接喧嘩している訳ではありません。日大の継承への協力の交渉者も協会が主役とは言えず、喧嘩の当事者である練馬区であるのは自明だからです。

ムリと言い切ってしまえば、それはそれで混乱を大きくするかもしれませんが、混乱に対する批判や責任問題は協会より練馬区に強く向けられる観測が私は強いと見ます。むしろ練馬区の尻馬に乗っている限り、同類とか一味とみなされて、不本意な批判やアラさがしで痛くもない腹を探られ続けるのは協会としても不本意の様に思います。

協会の本音など知りようもありませんが、経緯的に見て光が丘病院は最終的に欲しいのだと考えています。なんとか「日大と同じ内容」のカセさえ外せば、立地的にも、規模的にも、賃貸条件的にも魅力的な物件であると見えるからです。最後の最後のところで、少々の泥を被っても光が丘病院が欲しいがあり、そのために練馬区の意向に反したくない、機嫌を損ねたくないがあるように感じています。


練馬区の本音

ほいじゃ練馬区の本音はどこなんだになります。最高責任者である区長は光が丘病院にさしたる興味はなさそうに見えます。これが見せているだけなのか、本音からそうなのかは判断は不明ですが、公式にはそう表明しています。日大光が丘病院の存続を求める区民の会 公式ホームページに12/6練馬区長との面談してあります。ちょっと編集して掲載します。










住民質問 区長回答
「説明会に出て不安になった。本当に大丈夫なのか」の問いに対して
  • 日大にかかったことも、協会にかかったこともない。自分の体験・経験としては、何ともいいようがない。
  • 医者も看護師も技術者だ。その技術の高い低いは、私には言えない。
  • 日大が20年やってきた重みと、協会の重みとについてもよくわからない。
  • 地域医療振興協会が経営している都内の病院を見学してきた。患者が安心しきった顔をしていた。医療の技術の高い低いについては言えないが、患者さんの顔をみてなら、判断できる。そんなことしか自分には申し上げられない。
  • 大丈夫かときかれると、私もちょっと困る。それは、患者さんが判断すること。
  • 私は、最善でなければ困ると思っている。私が納得できる体制で引継ぎができれば、万全だと考えざるをえない。そういうことだと思う。
  • 今は、引継ぎの交渉や実際の引継ぎを行っている最中であり、現時点をもって断ずることは、むつかしい。
  • 私どもは、練馬区の医療や区民の安心安全を求めて仕事をしているわけだから、私たちが最善をつくすということで理解してほしい。
引継ぎ関連の各種問いに対して
  • カルテは、マイナスの個人情報の集積だ。
「今現在病院長の名前も、各診療科ごとの責任者やお医者さんも不明。新病院の体制がまったく明示されていないということについての報告を受けているか」という問いに対して  
  • 私は、そういう細かいところまで読んでいない。
  • 今は、体制をととのえようという最中。ingなんだ。名前が確定しているとか、いないとか、そういうのは今の時点ではまだ早い。
  • 協会が、責任をもって対応し、体制を考えていると思わなければ、任せることなどできない。公募・吟味の結果、協会ということにきまった以上、協会を信ずる以外はない。
「報告は一つずつきかずに、信じるというかたちなんですね」という問いに対して
  • そうだ(力強く)。


存続を求める会の編集なので、区長に好意的でない部分を差し引いても、区長の姿勢が垣間見れるような気がします。私なりに解釈すると、
    病院の事はようわからん。とにかく協会に任せてあるし、協会はちゃんとやってくれる約束になっている。
それ以上の事は何も話していないように見れます。政治的な意味で信用すると言う事は、責任も被せてあるのと同じ意味で、来春の協会継承後に問題や不満が噴出しても、「協会を信用していたのに」とか「想定外の事が起こり」とか「住民のニーズと違う結果になりましたが」とかの釈明と責任転嫁の布石を行っている様に読めます。

これもよくわからないところですが、区長の決断の大きな根拠は日大への50億円をチャラにする(出来るかどうか別にしてです)で良さそうです。区民のために50億円を節約したと言えなくはありませんが、節約した50億円以上の出費を招いたらなんにもなりません。出費は会計上の出費だけではなく、練馬区の財産としての損失も含みます。区長の決断がどういう損得勘定になるかの結果は時間が見せてくれます。

短期的には、今さら日大と復縁などやれば50億円問題は支払わざるを得なくなり、その上で協会への違約金支払い問題が浮上します。つまり今から日大復縁をやれば、区長が妄動したがために協会への違約金支払いだけが増えたになります。これは政治的に巨大な失点になり、区長的には”point of no return”を過ぎたと判断しているとして良さそうです。

それでも来春の懸念が現実化したら、これはこれで政治的失点になりそうなものですが、区長の政治的判断として問題の大きさは、

    継承による混乱 << 日大復縁
こうなっているような気がします。今は来春の混乱を少しでも小さくなる様に、協会と連携し、情報を小出しにしながらショックを和らげる工作に邁進していると見えます。こういうものは地方政治では良く見る構図ですが、東京23区でもあんまり変わらないのが興味深いところです。


それでもメリークリスマス

クリスマス・イブだと言うのに「また、つまらぬものを書いてしまった」とつぶやいておきます。せめてお口直しにクリスマス・ソングでも聞いてください。

この歌は個人的に好きなんですが、冒頭部の歌詞と日本語訳を紹介しておきます。

Last Christmas I gave you my heart
But the very next day you gave it away
This year, to save me from tears
I'll give it to someone special

去年のクリスマス 君に僕の心をあげた
でもその翌日には もういらないって
今年は 涙を流さないために
僕の心をあげるのは誰か特別の人に

悔しいですがクリスマスと言っても、若い頃のようなワクワク感がなくなって久しくなります。それでもクリスマスと言う語感は、年末の慌しさの中で、少しだけホッとさせるものだけは残っています。楽しめる方はイブの夜を存分にお楽しみ下さい。そうでない方にもせめてメリー・クリスマスととさせて頂きます。