国会風景

週末は時間も余裕もないと言いながら、参議院予算委員会の、

これの文字起こしを途中までやって気力を消耗してしまったのですが、TPPとは関係ない議会風景の感想です。これについては何度かやったはずなので焼き直しですが、ネタに困っているのでご容赦の上、お付き合い下さい。


とりあえず騒々しいが第一印象です。別に静粛の極みみたいな状態で行わなければならないとまで言いませんが、質疑にしろ応答にしろ野次の中で声を張り上げないといけない状態なのは「どうか」といつも思います。議会勢力の関係でしょうか、衆議院国会中継を見ると与党議員の野次が多く、参議院になると野党議員が増えます。

しばしば委員会質疑で質問者が後ろを振り返って「静かにしろ」とか「黙りなさい」の言葉を発するのは、マイクにこそ拾っていませんが、よほど強烈な野次が飛ばされていると想像します。あくまでも個人的な感想ですが、野次も歌舞伎の大向こうの掛け声みたいにビシッと決まるものなら芸でしょうが、ああも間断なく飛ばされていると、どう聞いても単なるノイズです。文字を起こす時にも野次で聞き取り難い時があって難儀させられます。

参議院規則と言うのがありまして、衆議院も似たようなものだとは思いますが、指名された発言者を邪魔しないと言うのはあります。国会審議は会議の一種ですから、正式の発言者の発言を遮らないのは書くまでもない常識かと思うのですが、どうも国会議員と言う方々は、絶え間ない野次のBGMがないと国会審議でないと言う確固たる信念があると思うほかはありません。そのために何時間にも及ぶ審議中に、野次の嵐が国会議員の責務として続けられていると感じています。


それと文字を起こした佐藤委員の質問中には4回の中断があります。質疑が中断するのはさして珍しいものではないのですが、中断にいたるメカニズムと言うか手続きが興味深いものがあります。角を立てて言えば、会議を中断するには中断動議(ある種の休憩動議かな?)を誰かが提出し、これを可決しないと行われないはずです。ただ見ていると、そういう正式の手続きを経ているものとは到底思えません。

問題発言と思われるものが出た時点で、ワラワラと委員(だと思います)が委員長席に駆け寄ります。国会ですから与野党の色分けがあるでしょうから、どちらかのサイドが委員長席に詰め寄れば、対抗上反対勢力の委員も駆け寄る事になるのでしょうが、自然中断みたいな形式になります。

見ているだけなので細かい事はよくわかりませんが、私が想像するにワラワラと駆け寄っているのはタダの委員ではなく理事ではないかと考えています。委員会の理事の役割もよく存じ上げないのですが、委員会の運営の責任者でしょうから、ワラワラと理事が駆け寄った時点で臨時の理事会が成立しているとの解釈かもしれません。

理事が駆け寄って臨時の理事会が開催されているので、理事会の決定で中断があったと解釈され、扱いとしては正式の中断時間と同等と見なすみたいな国会慣行があるのかもしれません。そうでも解釈しないと質問時間の扱いが複雑になります。だって質問者の発言中にもし中断があれば、正式に審議を中断しないと時計の針が進んでしまいます。質問時間の制限はウルサイみたいですし。

まあ、他の事象で無理やりたとえれば、大相撲の物言いとか、アメラグイエローフラッグみたいなもので、そういう審議を止める権限を理事はもっているぐらいに考える他はないように見ます。中断風景もよくよくみて見ると、かならずしもワラワラ状態ではなく、1人とか2人でも平気で審議は中断されるようですから、これも慣行としてとにかく理事(だと思う)が委員長席に詰め寄れば自然中断とも思えます。


それとこれはYouTubeの17分当たりにあるのですが、

元画像が不鮮明なので申し訳ありませんが、委員長席の前で右腕を伸ばして指差ししている人物がいるのを確認できるかと思います。この人物は中断騒ぎのたびに委員長席に駆け寄ってくるのですが、この時は総理に向かってかなり強い言葉を発しております。はっきり言って口調だけで言えば、日常でも聞くに堪えないものなんですが、この人物はいかなる権限で総理にあれほどの言葉を発しているのでしょうか。

委員長に指名されての発言でないのは間違いないかと思います。そうなれば不規則発言になり、委員長席の前で大声で総理に向かって、かなり汚い野次を投げかける行為になるかと思います。どうなっているんだろうと不思議に思うばかりです。


行政府である内閣と立法府である国会は国権として対等のはずですから、相手が総理や大臣であるからといって、国会議員が這い蹲る必要は無いと思いますが、別に国会の方が明らかに上位でもないので、それなりの礼は必要ではないかと思います。人と人が集まって議論を戦わせていますが、戦わせるの言論であって、人同士としては敬意をもって接するのがマナーではないでしょうか。

自由闊達な論議は阻害してはなりませんが、親しき仲にも礼儀ありが人間関係の基本ですから、たとえ野次を飛ばすにしてもTPOを心得て行うべきものの様に思っています。静まるべきところは静まり、問題部分になれば、これに的確に反応するです。


これも毎度、毎度同じような結論になるのですが、国会がテレビ中継される様になってから何年になるのでしょうか。ネット時代になりテレビ中継だけの時代より、より広く見られる様になってから何年経つのでしょうか。

人に見られると言うのは、そこで恥しくない振る舞いを行うモチベーションにつながると私は素朴に信じていました。部外者には見られる事がない内輪の会合ならともかく、全国に公開される国会の議論の風景として、これが最も理想的と国会議員の皆様は固く信じ込まれているのでしょうか。国会議員にも子供がおられる方もいるはずですが、胸を張って「これがお父さん(お母さん)の仕事場の風景だよ」と言えるのでしょうか。

国会議員であるなら胸を張って「そうである」と言いそうな気もしますが、私の感想としては18禁にして子供には見せたくない代物に思えて仕方がありません。ここも誤解を招いたらいけないので断っておきますが、その気にさえなればもっと違う姿を見せられる訳です。もう見慣れ切ってしまっていますが、あれでも国権の最高レベルの論議の一つですから、もう少しぐらいは上品にならないかと感じざるを得ません。

国民の常識と永田町の常識は違うとよく言われますが、「なるほど」と思うほど違うのは、いつもの事ながらよく判ります。子供をダシにするのは良くないかもしれませんが、もし子供が真似しても国会議員なら「素晴らしい!」と褒めるんでしょうかねぇ。会議や議論のあり方としてのモデルとしてどう考えても適切と言い難いものですから、「しょせん、あれはあんなもの」と判断できる年齢まで視聴を控えさせるべきじゃないかと思うぐらいです。