仕事中毒(しごとちゅうどく)とは、生活の糧である筈の職業に、私生活の多くを犠牲にして打ち込んでいる状態を指す言葉である。英語ではワーカホリック(英:Workaholic)とも呼ばれる。
COBS ONLINEに仕事中毒度診断が掲載されています。これで情熱大陸の医師を見てみます。
質問 | 記事引用(引用部分は青字) |
過去1カ月の間に、1度以上休日出勤をしたことがある。 |
この1年で休暇はたったの1日だけ |
終電間際まで残業してしまうことがときどきある。 | 病院に寝泊り |
風邪などで少し熱があっても、仕事の進み具合が気になって会社に出てきてしまう方だ。 | それ以前のお話 |
忙しくて有給休暇をなかなか消化できないでいる。 | それ以前のお話 |
自宅に仕事を持ち帰ってしまうことがよくある。 | それ以前のお話 |
昼飯抜きで仕事してしまうことがときどきある。 | 毎日カップ麺とサンドイッチ |
会議が長引いたときなどは、やりかけの仕事が気になって、ついイライラしてしまうことがある。 | ここは不明 |
他人に仕事を振るのが苦手で、つい自分で何もかも抱え込んでしまう。 | そのほぼ全てのフライトに同乗 |
仕事の都合でデートや飲み会の約束を断ったことがある。 | それ以前のお話 |
忙しくて恋人や友だちからのメールの返信を忘れてしまうことがある。 | それ以前のお話 |
たったこの程度の項目を満たす程度で、「重度の仕事中毒状態」と診断されアドバイスとして、
常に仕事が最優先のあなたは、かなり重度の仕事中毒状態にあると言えるでしょう。自分から進んでサービス残業したり、休日出勤したりすることも多いのでは? 仕事熱心なのは結構ですが、たまには息抜きしてメリハリをつけることも重要です。毎日は無理でも週に1度は必ずノー残業デーをつくる、有休消化を考慮して長期スケジュールを組んでおくなど、あらかじめ「休む」ことを前提に予定を立てておくとプライベートの時間をつくりやすくなります。また、昼食後、カフェなどでお茶をして休み時間ギリギリまでボーッと過ごすのもGood! 疲れているときは、10分でも仮眠をとるようにすると、午後の仕事の効率がアップしますよ。
そうなると情熱大陸の医師は「重度」どころではないのがわかります。1項目不明の個所がありますが、他の項目の満たし方の桁が違います。これは「末期的」な仕事中毒としても軽すぎるかもしれません。記事の仕事振りを引用しておくと、
日本にドクターヘリが配備されて約10年。現在各地に26機が配置され、迅速な救命医療の様子はTVドラマなどの影響で一気に国民の知る存在となった。そんな中、去年4月に運航を開始するや否や初年度のフライト件数847件、ぶっちぎりの「出動日本一」を記録したのが兵庫県の公立豊岡病院・但馬救命救急センターのドクターヘリだ。
そのほぼ全てのフライトに同乗するのがセンター長であり救急医の小林だ。この一年間で休みはたったの1日だけ。今年度のフライト件数は1000件にも迫る勢いだ。
2006年の話になりますが、5500万円の尾鷲の産婦人科医が話題になった事がありますが、あの時でも年間休日2日です。院内に生活スペースを作られ、常勤ならぬ「常駐契約」でも年間休日2日です。wikipesiaの概要も引用します。
仕事中毒とは、仕事に打ち込むあまり、家庭や自身の健康などを犠牲とするような状態を指す。その結果として、過労死や熟年離婚といった事態を招くこともある。
ここも記事を引用しておくと、
だが今回、彼のプライベートな場面の取材をすることが極めて困難なことにディレクターが気づいた。何故って、小林には「全くオフが無い」からだ。連日病院で寝泊まりする姿に、ついにある日カメラマンが尋ねた。
「小林先生、自宅に帰ってますか?」
「夜はちゃんと帰ってますよ〜。着替えに」
それは帰っているとは言わないのでは……!?
「だって病院の方が居心地が良いんだもん」
ここもwikipediaを引用しておくと、
仕事中毒だけに限らず、過労によるうつや精神疾患、自殺など、私生活の多くを犠牲にする仕事・労働は悲劇に繋がりやすい。こうしたことから、2007年末頃より日本政府などがワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の取り組みを始めた。
情熱大陸の医師は公立豊岡病院但馬救命救急センター長だそうですから、名ばかりでなく本当の管理職になるかと思います。また管理職と言っても、センター長室なりに籠って全体のマネージメントに専念されているわけでなく、文字通り現場のリーダーとして先頭に立っておられます。スタッフは全部で9人のようですが、こんな狭い職場でトップが24時間365日をやられればたまった物ではありません。
率先垂範は現場のリーダーのあり方の一つです。現場ではリーダーの働き方を手本として見習うものですし、医療現場もまたそうです。ある意味文句のつけようがない率先垂範ですが、こんなお手本を示されれば、部下もこの水準を目指さざるを得なくなります。情熱大陸の医師自身は「どうやら」この程度の労働環境をモノともしない猛者であるのはわかりますが、そういう猛者であるのが平均的医師像でないのは言うまでもありません。これはたとえ救急医療であってもです。
おそらくリーダーとしての人望・人格・統率力に優れているので、部下も一種のトランス状態になって、リーダーのお手本に近づく状態で勤務に従事されているんじゃないかと想像しますが、そういう事は永続的に続けられるものではありませんし、正直なところ発展性のある状態とはとても言えません。最悪、燃え尽きて様々な精神的な疾患を発症させかねません。そんな例は山ほどあります。
救急医療現場に限らず、激務であればあるほど休養は重要です。激務の間を縫ってでも休養を如何に取らせるかがリーダーの務めだと考えています。ここでリーダーが猛烈に働く事によって、部下に休養を取らせている可能性もありますが、それであってもやり過ぎですし、部下にとっても一般的に居心地の悪いものです。これが人望・人格・統率力に優れた人物であれば、なおさらに居心地が悪くなります。
リーダーが休んでこそ、負い目なく部下が休養が取れると言うものです。本人は仕事中毒と言うより、救急医療が究極の趣味みたいな感じの天職的な要素が強いとも思わないでもありませんが、一兵卒ならともかく管理職として、こんな猛者が必要とされるシステムを作ってしまうのは宜しくないと思います。
それと情熱大陸の医師は43歳となっています。本人は「平気、平気」としているようですが、本当に大丈夫でしょうか。どんな猛者でも年齢には勝てません。この辺は個人差の大きいところですが、いつまでもこんな状態を人間は続けられません。必ずどこかでツケが回ります。能力的に優れた人材ではあるようですから、こんな無茶使いをすれば「どうなるか」を配慮できる人間が但馬にいないのでしょうか。
但馬の医療情勢が厳しいのも説明は不要ですが、ここまで有能な人材はもっと大切にすべきです。本人が「平気、平気」としても、あえて休ませる事が、但馬の医療に取って重要ではないかと私は感じてなりません。もしテレビに紹介された事に有頂天になって、この状態を放置するようでは見識を疑います。
金の卵を産むガチョウを殺してしまうような展開にならない事をひたすら祈るばかりです