原発事故の現場医療の参考資料

ある意味昨日の続きですが平成23年5月20日付東京電力「昨日の政府・東京電力統合対策室の共同記者会見に関する補足について(弊社の医療体制)」を参考に5/20時点の原発事故に関する医療体制を表にして見ます。

場所 医師 医療体制 看護師 医療施設
福島第1原発 1名(交代。東電本店の契約医が派遣されることもある) 日勤であるが、泊ることも多い 不在 免震重要棟(初期診療、健康相談)
福島第2原発 1名(専属。交代することもある) 24時間 4名の社員看護師 健康管理室
Jビレッジ 東電病院(交代) 24時間 交代で2名づつ メディカルセンター
救急救命医(交代) 日勤
自衛隊医師(交代) 24時間 人数不明


とりあえず福島第2の「専属」「1名」「24時間」がどんな体制か想像しにくいのですが、ごく素直に夜勤・休日はバイトが入るぐらいに理解しておきます。Jビレッジのメディカルセンターについては、こちらのホームページに紹介があり、スポーツ医学に特化したMRI付きの整形外科診療所みたいなもののようです。

位置関係は

地図下端の広野火力発電所に隣接してJビレッジがあります。距離関係は縮尺を示していますが、直線距離で各々約5km前後ぐらいの間隔ぐらいと見て良さそうです。これは5/20時点の発表ですが、福島第1のへの医師派遣は、厚労省5/27付報道資料に、産業医大から

5月15日(日)より、東京電力株式会社の要請に応じ派遣

こうなっています。5/27以降からは労災病院も加わるのですが、それは昨日書いたので置いときます。この5/15以前では東電資料にある

福島第一原子力発電所には、本店契約の産業医放射線専門の者が派遣されることもあります。

こうなっていたかどうかは確認できるソースが見つかりませんでした。辛うじてタブの5/20付記事がありますが、内容は東電資料の丸写し以上の内容はありません。Jビレッジの救命救急医については、日本救急医学会福島第一原発事故に係る医療支援に記載があり、

1.専門医師の派遣調整

1) 現地対策本部

複数被ばく者あるいは傷病者が発生した際に司令塔の役割を担いオペレーションの指導・助言等を行う医師として0-1名(必要に応じた配置)身分は、「現地対策本部医療班災害医療アドバイザー」

2) Jビレッジ

 Jビレッジにおける医療チームの統括等を行う医師として1名(定数配置)
身分は、「Jビレッジ総括医師」

救急医学会の肝煎りで派遣されているようです。福島第1の診察室と言うか医務室の様子も6/15付RBB TODAYで確認できます。動画からのキャプチャーのようなので質はやや落ちますが、撮影は6/2となっています。



これの動画版が

あくまでも見ただけの感想だけなんですが、福島第1の医務室の形状はL字型のようです。最初からこの部屋が医務室であったのか、元の部屋が手狭だったので移動したのか、はたまた拡張した結果でこうなったのかは、良くわかりません。それと見る限り窓は無さそうな感じです。ただ窓については医務室のある免震重要棟の外観が、

こういう風に非常に窓に乏しいものになっていますから、確認できないだけかもしれません。

それと誰でもすぐ判ると思うのですが、診察室の彩りは一言で言えば「ピンク」です。これも良く見ればわかりますが、壁にピンクの布が張り巡らされているようです。好みもあるでしょうが、ちょっと落ち着かない印象を与えています。「なんのために」の疑問が出てくるのですが、ここは津波被害だけではなく地震被害もあったはずなので、壁に亀裂でも入っているのを、撮影公開にあたり覆ったぐらいに考えます。なぜにピンクはよくわかりません。

それと急ごしらえであるのはやむを得ないとしても、これも不思議なのは診察室の椅子のビニール・カバーです。放射能対策とは関係ないと思われますから、単に新品であるだけと言えなくもありませんが、新品であっても設置すればビニールぐらいは外しそうなものです。まさかと思いますが、撮影に間に合わすために大急ぎで搬入し、撮影時に外すのを忘れていたとかはあるんでしょうか。

良く見れば他にもビニール・カバーがかかったものものが幾つか確認できます。何か意味でもあるのでしょうか。また急ごしらえで雑然としているのはやむを得ないとしても、見る限り棚の類はそれなりにあるようです。もうちょっと整理できそうな気がしないでもないのですが、細かい点までチェックできていないので、きっと棚には収納しきれないぐらいに理解しておきます。

もう一つなんですが、動画の方には福島第2原発の健康管理室の様子もあります。ここには東電資料にあるように看護師がいる事が確認できます。一方で、福島第一の方は、どうも医師のみの派遣のように見えます。医務室と言うか診察室のほぼ全景を写しているシーンもありますが、見た限りではいそうな気配はありません。もちろん見ただけの印象ですけどね。

それと福島第1の医師の服装が印象的です。緑色の「医師」と書いてあるゼッケンみたいなものにもちょっと驚きましたが、それより着ている白いダブダブの服です。よくは知らないのですが、放射能防護服の一種なんでしょうか。4/8付Responseに「福島第一原発の重要免震棟、緊急対策室を公開」としての画像があるのですが、

緊急対策室にいるスタッフ、とくに立っているスタッフの服装と似ている気がします。場所が場所だけに、今でも着用していても不思議ないのですが、診察のシーンで「あれ?」と感じました。背中しか見えませんが、作業員の服装は普通のジャケットと言うか制服の様に見えます。もちろん診察ですから、防護服の上からは無理があるので、診察にあたって脱いだと考えられない事もありませんが、「6月2日撮影」となっていますから、ジャケットの上にさらに防護服を着ているのは暑そうな気がします。

断片的なシーンしかありませんでしたが、なかなか興味深い映像でした