消えたロハス記事の追加情報

経緯

消えたロハス記事とは、「妊婦さんの笑顔を見たい」―大野事件・加藤医師が公開シンポで講演の記事は現在5ページ構成ですが、これに6ページ目が存在していた事件です。私が保存したキャッシュは一部で文字化けする様ですから、必要部分についてはこちらで確認して頂いても良いと思います。この消えた6ページ目については、ふぃっしゅ様から、

昨日朝9時頃には、まだ6ページ目は存在していました。内容を書き写してから、琴子ちゃんのお母さんのエントリーにコメントを書き終えたのが10時50分頃だったと記憶しています。そしてそのあと、もう一度見にいったら丸ごと消えていました。9時から11時頃になくなっていたのでしょう。

こういう情報もありますから、


date time 経緯
10/13 14:51 ロハス記事アップ
10/14 9:00〜11:00 ロハス記事6ページ目削除


おおよそですが20時間程度は存在したあとに削除編集されたとして良さそうです。この記事が注目されたのは、福島大野事件の加藤医師が出席し公開の場で発言すると言う点であったのは事実です。だからこそロハスが取材し記事にしたとして良さそうです。ロハスの記事は加藤医師の発言だけではなく、シンポジウム全体の様子を伝えようとしていたと推測されます。

そのため10/8のシンポジウムも記事にしていますが、内容の詳細を記事にしたのは10/13です。残っている部分の記事を読めばわかるとおり、記事の構成はシンポジストの主要な発言を可能な限り網羅しようとしており、取材から記事にするまで5日もかかったのは、ロハスの規模からして記者が文字起こしに要した時間が大きかったとも考えられます。

削除された6ページ目は加藤医師が退席後に行なわれた発言です。もちろん加藤医師が退席してもシンポジウムは終わったわけではなく、正式に公開で継続しています。つまりは公開発言であると言う事です。内容については、全体の構成から「不要」の意見も少なくありませんでしたが、現場で起こっていたことを、可能な限り情報の素材として提供するの観点から私は評価します。


削除編集理由については、取材記者(熊田梨恵氏)のコメントが10/16の8:49に出ています。

今回、私の方で13日に記事の一部を14日に削除いたしました。
この経緯について、ご説明申し上げます。

14日に主催者側から記事の削除を求める連絡がありました。
しかしこのシンポジウムは公開であり、筆者は取材許可も得ていました。
削除を求められても応じる理由は見当たらないものです。

しかし、主催者側はパネリストの勝谷氏から削除・修正の要望があったということで筆者に相談をしてこられました。

筆者自身がこのシンポジウムのブレーンとして参加しており主催者側との信頼関係があったこと、主催者を支援しようと毎年参加している勝谷氏に対して主催者側が最大限配慮したいという思いがあったこと、など様々なことを考え、一度記事の一部を削除いたしました。

削除の理由については早々に公開すべきでしたが、私の方でしばらくどう書くか悩んでいたために遅くなってしまいました。
皆様にご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。

この時点のコメントでウソを交える必要性が乏しいと判断できますから、記者コメントの要点をピックアップしておきます。

  1. 記者は公開シンポジウムの取材許可を得ていた
  2. 記事に対し勝谷氏から主催者を経由しての削除・訂正要望があった
  3. 削除理由を記者が書くのに悩み、2日間を要した
どこかで「関西医療を支えるオカンの会」とロハスが協力関係にあるとの情報も見た様な気がしますが、具体的な事実は見つけられませんでした。オカンの会の設立趣旨からしロハスと何らかの関係があったとしても不思議はないぐらいにしておきます。裏を勘ぐるとキリがないのですが、消えたロハス記事の確認できる事実は、
    シンポジストとして出席した勝谷氏が記事の削除・修正の要望を行い、ロハス側がこれを受け入れた
これは間違いないでしょう。これが間違いならロハス記事の記者コメント自体が大嘘になります。


削除・修正の要望

シンポジウムはフリートークの側面がありますから、結果としての不適切発言が出る事もあります。また話し言葉ですから、真意を誤解されたりの部分も出てくるとは思います。その点について釈明したり、補充説明を後日に行なっても構わないと考えています。切り取った一部の失言を鬼の首を取ったかの如く振り回す手法は宜しくないとは考えています。

そういう意味で記者コメントで気になる部分があります。

    勝谷氏から削除・修正の要望
これからわかる事は、勝谷氏が消えたロハス記事の部分に何らかの不適切部分があった事を認めているしか解釈しようがありません。上述した通り、不適切部分に対し釈明や訂正する事自体は問題ないと考えますが、消えたロハス記事の勝谷氏の掲載部分を引用します。

 さらに勝谷氏。「僕は記者クラブに入れない人間だから、当初から大野病院事件は東電案件だという事を、記者クラブ以外の報道に携わる人々はみな知っていました。小さい声で囁くんです。東電は当時ブイブイ言ってましたから。東電だったら警察は動かざるを得ないだろう、東電だったらマスコミは書かざるを得ないだろう、ただし県の佐藤栄佐久さんはどちらかというと原発反対派だったので、そこが微妙なところだね、という話でした。福島原発から大野病院は3キロです。大野病院自身、東電の原発関係者の人たちが非常に深くかかわっている病院ではあります。この事件から検察がどんなにひどいかが分かりました。だから検察を言えるようになりました。東京電力は下手を打ちました。だから東電のことも言えるようになりました。この二つのタブーが消えたから、我々は壇上からこの話を言えるようになったし、この二つの地獄の釜の蓋が開いたから、色々なものが見えるようになってきて、いまだからああなるほどと。この国は本当に怖いところです。これがこの出来事の本質で、加藤先生がいる前では言えませんでしたけれども、おられなくなったので私の責任においてお伝えする次第です」

読んでお判りのようにロハス記者が書いた部分は青字の「さらに勝谷氏。」と最後の「。」だけです。残りは「」付の引用部分であり、「」付の部分は記事の原則として被取材者の発言をそのまま引用したものです。何が言いたいかですが、勝谷氏の記事への削除・修正の要望として考えられるのは、

  1. 「」付の勝谷氏の発言部分にさらにカット部分があり、これが抜けているがために真意を誤解される
  2. 発言自体が不適切
少なくとも、勝谷氏の発言を記者が編集したがための曲解ではないとして良さそうです。だから発言自体が後から考えて不適切だったから削除してくれはあるとは思います。ただ「修正」とはどういう意味だろうと思わないでもありません。「」付の部分は勝谷氏の生の発言ですから、これを修正してまえば高度の創作になってしまいます。

ここは捻って考えずに、勝谷氏の要望は、

  1. 消えたページの勝谷氏の発言部分はとにかく削除してくれ
  2. 削除した後は、


    1. ページごと削除しての修正編集
    2. 消えたページから勝谷氏の発言がなかった事にしての修正編集
ロハス記者はページごと削除する方針を選んだと言う事になります。


有料配信記事

シンポジウムは10/8に開催されています。勝谷氏が自らの発言を不適切と判断したのはいつかになります。シンポジウムの直後だったのか、10/13にロハス記事にして初めて気が付いたのかです。行動を起されたのは10/13に記事が出てからなのは事実ですが、シンポジウム後に発言をどう考えていたかです。そんなものは調べようがないと言えばそれまでなんですが、傍証があります。

東田万偶斎氏による「勝谷誠彦様の華麗なる脳みそ]と言うブログがあります。ブログ名を読めばすぐにわかりますが、どうも勝谷氏に対して好意的でない内容のものです。その点は割り引いて読む必要はあるのですが、勝谷氏は有料配信記事を発行されているようです。これが年間購読料1万円だそうで、聞いた瞬間に「うらやましい」と感じたのは白状しておきます。

ま、私はあくまでも趣味で書いているものですし、勝谷氏は文筆で食っているわけですから、羨んでも仕方がないぐらいにしておきます。そんな事はともかく、東田万偶斎氏のこれが削除させた発言の中身に勝谷氏の有料記事が紹介されています。配信されたのは10月9日号となっていますから、シンポジウムの翌日になります。

 妊婦が亡くなった理由については専門的な話になるので特に書かない。医学的には「起きうること」であったことは裁判記録にある。昨日のその場でも言ったが医者の息子として生死をずっと見てきて「医学は万能ではない」どころか「医学で治せるのはむしろ幸運だ」なのだが、多くの人々はパソコンのアイコンをクリックすれば結果が出るようなことを医師に求めている。

 それでも加藤先生は遺族に謝った。立たされたまま1時間罵倒されたという。そうしたディテールが実は大切なのだが紙幅もあってざっくりと出来事を記していく。

 次に県が事故報告書を作った。全面的に非を認めるもので先生は「これでは逮捕されてしまいますよ」と言った。しかし県は「こう書かないと遺族に賠償金が出ませんので」と答えたという。賠償金は県民の税金から払われるのである。いったい県はどちらを向いて動いていたのか。

 ここで重要なことがわかる。 亡くなられた妊婦もその夫も東京電力の社員だったのだ。そして大野病院は福島第一原発からわずか3キロ。いまはだから稼働していない。加藤先生が逮捕されたあと、医局に医師を送りこんでいた大学の教授にすっかり有名になったあの東電の勝俣恒久社長(当時)から電話がかかってきた。「加藤の後任をよろしく」と。大野病院そのものが東電のコントロール下にあったのだ。そこで東電の社員の奥さんが亡くなったとすれば「独裁国家」としてはそれなりの生贄を欲したというのが、実はこの事件の構図だ と私は昨日悟ったのであった。

4段落に分かれているのですが、最初の3段落はたいした内容は書かれていません。福島大野事件に関心があるものなら、この程度の内容は一般常識です。問題は最終段落になります。引用は最終段落だけでも良かったのですが、最終段落だけだと話の続き具合がわかりにくくて、あえてその前の3段落も引用しています。

今日は記事の内容を云々するのが趣旨でないので軽くしたいのですが、勝谷氏は

  1. 亡くなられた妊婦もその夫も東京電力の社員である
  2. 病院に医師を派遣していた大学の教授(故佐藤前教授)に東電の勝俣恒久社長(当時)から電話をかている
この2つの事実から大野病院は「東電のコントロール下」にあったと断定しています。断定は言い過ぎかもしれませんが、ここを断定にしないと
    そこで東電の社員の奥さんが亡くなったとすれば「独裁国家」としてはそれなりの生贄を欲したというのが、実はこの事件の構図だ と私は昨日悟ったのであった。
論評するも徒労なので、一つだけ指摘しておきます。「私は昨日悟ったのであった」が何かです。これは消えたロハス記事からですが、
    この事件から検察がどんなにひどいかが分かりました。だから検察を言えるようになりました。東京電力は下手を打ちました。だから東電のことも言えるようになりました。この二つのタブーが消えたから、我々は壇上からこの話を言えるようになったし、この二つの地獄の釜の蓋が開いたから、色々なものが見えるようになってきて、いまだからああなるほどと。
つまり勝谷氏は東電が検察と結託して福島大野事件を起こしたと推測しているわけです。そういう裏事情が今になって明らかに出来たのは、検察不信が高まり、原発事故により東電の影響力が衰退したためだとしています。内容はともかくとして、勝谷氏の有料配信記事から導ける事は、
    10/8にシンポジウムで話した事を10/9時点では、真実だとさらに確信し情報発信を行なっていた
これは事実として確認できます。


では何故に削除・修正要求

勝谷氏は10/8シンポジウム時点はもとより、翌日の有料配信記事でも同様の見解の情報を発信しています。もちろん勝谷氏が東電陰謀論をいくら唱えようとも、広い意味の言論の自由に当たるとは思います。ポイントはシンポジウムと有料配信記事で二度主張を重ねている事です。ここで有料配信記事で「言い過ぎた」と訂正した上で、ロハス記事にも削除・修正要求を行っているのならまだ筋が通ります。

ところが勝谷氏自身は私が知る限りでは、ロハス記事及び有料配信記事について訂正なり、補足説明を行なった形跡を認めません。事実して確認できるのは削除・修正の要望をロハスに行ったことだけです。そうなると考えられる事は、

  1. 勝谷氏になんらかの圧力がかかった
  2. 10/10以降に「拙かった」と思い直し、臭いものに蓋の削除・修正要望を行った
私は勝谷氏の事は名前ぐらいしか存じません。ここで勝谷氏が真摯なジャーナリストであり、その発言が大きな影響力を持っているのなら、勝谷氏が唱える東電陰謀説が今の時点でも「宜しくない」の影の陰謀勢力が暗躍しているの考え方も成立はします。実際のところ、勝谷氏があげた状況証拠だけでは、これを信じろと言われても難しいとは思うのですが、発言者の信用が絶大であるなら無いとは言えません。

ただ勝谷氏の評価は私が調べる範囲ではその一言が重いタイプの人間と言うより、逆のタイプの人間に思わざるを得ない点が多々あります。それもキャラですし、そういうキャラを珍重する業界もありますから構わないのですが、そういう人物なら角を立てて口封じをやるより、むしろ放置されるかと思います。軽いだけに何を言っても聞き流されるみたいな感じでしょうか。

マイナーなロハス記事ですから軽く対応したのでしょうが、勝谷氏が想像するより医療界にとって福島大野事件は遥かに大きく、また加藤医師の存在も重いことを余りに軽く考えた行動の様に私は感じてなりません。ま、その程度の事を気にする人物かどうかについては、私は勝谷氏を存じあげません。