昨日の話題の蛇足みたいなものですが、簡単にまとめておきます。
- 東電(統合本部)の記者会見が荒れている
- 荒らしているのはフリージャーナリストである
- 産経はこれを記事にし、オープン会見に疑問を呈した
東電、統合本部の会見は基本的に社名、氏名を述べてから質問なので悪質な記者は少ないですけどね。報道各社の記者は変態新聞の記者を除いて、皆行儀良くしてます。
社長呼べやら個人の中傷やら火病を起こしているのはすべてフリーランスの記者です。フリーランス記者の質は(彼らがクラブ所属記者はダメダメと言ってる割には)思っていた以上が低すぎ、別の意図を持って参加している(弁護士兼任で将来の損害賠償訴訟の証拠集めしてるような)ように見える人もおり、産経新聞の懸念はその辺を踏まえての記事なのかなと思いました。江川紹子さんあたりは会見で得られた回答を元に周辺取材をして、改めて追求する等経験豊富なところをみせてくれます。
やはり問題を起こしているのはフリー系のようです。つうか一部のフリー系があまりにも物凄いので、記者クラブ系が反動で大人しいのかもしれません。ちょっと注目しておきたいのは、
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東電、統合本部の会見は基本的に社名、氏名を述べてから質問
>会見が混乱したり、糾弾の場と化したりする場面も少なくない。
解決は簡単。報道各社が責任を持って「どこの媒体がそういう発言をしているのか」を公表すればいい。
そうすれば、その媒体の視聴者側の信用度が低下しますから、モラルが保たれると思います。
どうも名前や所属を名乗った程度(なおかつネットで会見の様子が公開されても)では馬耳東風の一群が確実に存在するようです。これはなかなか困った問題です。結局のところジャーナリストは自称業ですから、たとえ私であっても自称すれば記者会見に参加できるわけです(本当に出来るかどうかは知りません)。事実上の自由参加になるわけです。
そうなるとフリー系と言っても完全に玉石混交状態になり、様々な思惑で記者会見に参加し、様々な思惑に従ってのパフォーマンスを繰り広げられる事になります。あくまでも例えばですが、
- 記者クラブ系より感情的なボルテージを上げる事がフリーの存在価値の証明であると確信している者
- とにかく派手に目だって名を売りたい者
- 報道とは関係無しに東電相手にウサを晴らしたい者
- これも報道とは関係なく訴訟の準備の情報収集にあたる者
ほいじゃ、どうするかですが、これがまたすこぶる付きの難題です。記者クラブの開放には真摯なフリー系が長年努力してきた成果です。ただそういう真摯なフリー系であっても、こんなのが引っ掻き回す事態をそれほど想定していなかったかもしれません。ある程度は想定していても、ここまでとは想定外だったとの認識です。
荒らしは追放したいのが本音かもしれませんが、ジャーナリストの分類は2つしかありません。
- 記者クラブ系
- その他
ジャーナリストの門田隆将氏の話「原発の問題は、津波の想定を誤った東電に非がある明らかな人災。被災者の今の暮らしや思いを考えれば会見は国民の怒りを反映するものだ。反核団体が運動の論理を持ち込む恐れがあったり、エキセントリックな光景が混じっているからといって、まともな質問が制約される状況とまではいえず、基本的に容認すべきだ。既存メディアが会見の正しいあり方を説くことには大マスコミのおごりを感じる」
これを現時点で排除の論理を持ち出すわけにはいかないの前提があるとして考えると、
- 会見は国民の怒りを反映するものだ
- まともな質問が制約される状況とまではいえず、基本的に容認すべきだ
- 既存メディアが会見の正しいあり方を説くことには大マスコミのおごりを感じる
門田氏の真意が本当はどこにあるかは知る由もありませんが、それでも無理があると懸念しているフリー系の良心的ジャーナリストはいると考えています。記者会見の開放は、記者クラブ系の記者の取材では国民の知る権利を十分に満たしていないの主張に、世論が付いた部分が多分にあります。ところが現実に荒らし系フリー・ジャーナリストがあまりに横行すれば、世論の後押しが失速する危険性があります。
真摯なフリー系ジャーナリストに取って、もっとも望ましい展開は、記者会見場において記者クラブ系ジャーナリストを質で凌ぐ事です。できれば圧倒して、記者会見のオープン化の成果を実績として誇りたかったと考えています。そういう実績ができてこそ、やっぱり記者会見はオープンにすべきであったとの更なる世論の後押しが期待できるわけです。
ところが従来の記者クラブ系による記者会見が上品に見えてしまうほどの記者会見が「これが成果だ!」とすれば、はっきり言って興醒めする者が必ず増えてきます。言うまでも無く記者クラブ系マスコミの反撃もあります。そういう流れが出てくることを真剣に憂慮しているフリー系は少なくないと思っています(いや真剣にたくさんいて欲しい)。
とは言え難問です。なんと言っても荒らしを排除の論理を使わずと言うか、そう見せない様に排除するなんて離れ業が必要とされるからです。もしやるとすれば、やはりジャーナリストの資格化ぐらいになります。資格化と言うと狭くなりますが、記者会見への出席要件を仮称ジャーナリスト協会なりに限定します。ただし入会はほぼ無制限としておきます。資格制と言うより登録制に近いイメージです。
登録制ですから記者会見への参加のハードルは低いですが、協会に入会すれば倫理規定を遵守する事を条件としておきます。協会が荒らしと認定すれば資格停止を行なう権限を持たせます。もっともこの程度の思い付きでは、異論反論テンコモリになり、報道の自由との兼ね合いで、協会支配は新たな記者クラブ制度の創設だみたいな大騒ぎになる事も十分に予想されます。
う〜ん、難しいな。結局のところは自浄作用が働くかどうかなんですが、自浄作用への期待がどれほど持てるかとすればかなり疑問です。他の職種の事は言えないところがありますが、ジャーナリストも小骨が多い連中が多く、そうは簡単に一枚岩にはなれないだろうからです。フリー系はとくにそうで、各々が自営業みたいなもので、自分のスタイルでの取材で食べている面が強いですから、どんな形であれ統制は嫌うだろうからです。
それなら互いに牽制させると言うのはどうでしょうか。つまり記者会見の様子を取材して、荒らし系を曝す手法です。つまり「あいつは荒らしだ」と周知させ、記者会見場から自然に追い出してしまう手法です。ただこの手法の問題点は、曝す報道が商売として成り立つかがあります。プロは商売になるからやるのであり、趣味では動かないと言う事です。
そうなれば、記者会見を開く側がブラックリストを作成して、ジャーナリスト側ではなく、記者会見を開く側が荒らしを弾く手法になります。これはジャーナリスト・サイドが排除しているのではなく、開催する側が排除しているので、排除の論理に抵触はしません。ただこれも、そういう制限について糾弾するのがジャーナリスト側になりますから、関係が複雑かつ微妙になります。
誰か御存知の方がおられれば教えて欲しいのですが、海外ではどうなっているのでしょうか。荒らしが横行する東電のような記者会見がスタンダードなのでしょうか、それとも、もう少し上品な記者会見になっているのでしょうか。海外と言っても広いので一概には言えないと思いますが、そこが基本的な疑問です。
あくまでも「なんとなく」ですが、オープンでやる関係でどこでも荒らしが横行した時代はあったが、長年の慣行によりやがてそれなりのルールが形成され、それなりの記者会見に落ち着いていった経緯はありそうに感じています。日本の場合は、長年その他のフリー系を排除してきたので、これから荒れる時代を嫌でも潜り抜けないと落ち着いた状態にならないのかもしれません。
いずれにしろフリー系に開放すれば、物凄いフリー系が寄り集まって来るのだけは証明されました。もともとジャーナリストの質はあんまり期待していませんでしたからさほどの驚きではありませんが、記者とかジャーナリストとか名の付く人と接近するのは余程の注意が必要と言うのだけは改めて教訓に出来そうです。まともな人もいるのですが、ハズレをつかむと被害甚大ですからね。
いちおう問題点と考えられる対策を出しましたので、後はやっぱり「自浄作用を期待する」でお茶を濁させて頂きます。
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