新型インフルエンザワクチンみたいなコント

第1部:前大臣編
    厚労官僚:「新型接種の事務手続きを早急に進める必要があります」
    厚労大臣:「わかった、オールジャポンで10月下旬からスタートだ!」
    厚労官僚:「数が足りないので接種者を限定する必要があります」
    厚労大臣:「足りないなら、外国から買って来い!!」
    厚労官僚:「海外メーカーは免責を条件にしていますが?」
    厚労大臣:「オールジャポンで総選挙後に考える!!!」
第2部:総選挙後
    厚労官僚A:「自民が下野しちまったよ」
    厚労官僚B:「新内閣成立には、まだ3週間ぐらいありまっせ」
    厚労官僚A:「新大臣が誰かもわからないし、今の大臣では何も決められないしな・・・」
    厚労官僚B:「何も動かなかったらまた批判されまっせ」
    厚労官僚A:「それもそうだ。優先接種者の案をパブコメ募集にした上で、『案』の説明だけはやっておこう」
    厚労官僚B:「なるほど、パブコメなら時間稼ぎになりますし、『案』の説明だけなら後から変更しても責任問題になりまへんし」
第3部:新大臣就任
    厚労官僚:「新型ワクチンですが・・・」
    厚労大臣:「年金改革は新政権の課題であり、私のライフワークでもある」
    厚労官僚:「え〜と、新型ワクチンなんですが・・・」
    厚労大臣:「子ども手当は党のマニュフェストにも掲げてあり、これも実現に向けて早急に動く必要がある」
    厚労官僚:「え〜と、え〜と、新型ワクチンなんですが・・・」
    厚労大臣:「後期高齢者制度は廃止し、新たな制度の構築を考えなくてはならない」
    厚労官僚:「え〜と、え〜と、え〜と、新型ワクチンなんですが・・・」
    厚労大臣:「党のマニュフェストの実現のために厚労省からも財源を見つけなくてはならない」
    厚労官僚:「え〜と、え〜と、え〜と、え〜と、新型ワクチンなんですが・・・」
    厚労大臣:「とりあえず未承認薬・新型インフルエンザ等対策基金679億円は執行停止にする」
第4部:大臣記者会見編
    厚労大臣:「10月下旬から新型ワクチン始めると聞いているが、どうなっておる」
    厚労官僚:「総選挙後から作業がストップ状態で遅れています」
    厚労大臣:「10月下旬に間に合わせると大臣として言明したのは聞いたな」
    厚労官僚:「とりあえず接種開始の正式承認が必要です」
    厚労大臣:「どこで正式承認する必要があるのだ」
    厚労官僚:「政治主導ですからインフルエンザ対策本部です」
9/16新内閣成立後に、インフルエンザ対策本部長である総理は9/21〜9/26にかけて外遊。外遊前も外遊後も総理も厚労大臣も多忙を極め、インフルエンザ対策本部が開催されたのは10/1になったとさ。

第5部:新型ワクチン対策室(仮称)にて
    厚労官僚A:「大臣が10/19開始と宣言しちまったよ」
    厚労官僚B:「困りましたな。まだ『案』は正式承認されてまへんし、委託医療機関の募集契約も手がついてまへんで」
    厚労官僚A:「そうは言っても大臣の10/19開始宣言は報道されちまったし」
    厚労官僚B:「それやったら、こう考えまひょ。10/19に1人でもどこかでワクチン接種できたらOKでどうでっしゃろ」
    厚労官僚A:「それでも無茶だが、やむを得まい」
第5部:委託契約編
    厚労省:「委託医療機関の選定と国との契約を行ないなさい」
    医師会:「契約書の正式内容は?」
    厚労省:「正式の契約書はないが、正式の契約書になる予定の『案』があるから代用せよ」
    医師会:「説明は『案』でも可能だが、契約は『案』では無理なのでは?」
    厚労省:「届出を出してもらい、それで暫定的に承認とし、正式契約は委任状を出してもらい後日書類処理する」
    医師会:「えらい条件ですが、いつまでですか?」
    厚労省:「10/9までに完了だ」
    医師会:「ヒェ〜、今日は10/6ですから『案』の説明も間に合わないのですが?」
    厚労省:「10/9は政治主導で決定である」
第6部:医師会混乱編
    医師会幹部A:「こんなんで委託契約を結べとは無茶でんな」
    医師会幹部B:「会員から問合せの山が来るやろし、来ても何にも答えられへんし」
    医師会幹部A:「でもお国の命令だし・・・問合せの期間が短くなるように、今日Fax、明日返答にしよう」
    医師会幹部B:「問合せにはひたすら『詳細は後日説明』で押しきらなしょうがおまへん」
第7部:医師会員ドタバタ混乱編
    職員:「医師会からFaxです」
    医師:「どれどれ、新型接種の契約届出をせよみたいやな。こっちが届出書でこっちが委任状か、他は?」
    職員:「それだけです」
    医師:「つう事は白紙委任状を明日までに提出せよと言う事かいな。そんなアホな!]
その日は患者からのインフルエンザの問い合わせと同じぐらい、医師会員同士の「一体、どうなっているんだ!」「お宅はどうする?」の電話が飛び交ったそうな。

第8部:医師会による説明会編
    幹部:「・・・それと新型接種は一般の診療時間とは別に必ず行なってください。感染予防のためです」
    会員:「分けろと言われても、具体的にどうするんですか?」
    幹部:「時間で分けてください」
    会員:「時間でと言われても、診察時間中にいつインフルエンザ患者が来るなんて予想できません」
    幹部:「そういう場合は『時間外』に接種時間を作ってください」
    会員:「昨日の午前診が終わったのが15時で、16時から午後診で21時までかかったが、それから時間を作れと言う事ですか?」
    幹部:「では、次の質問をどうぞ」
    幹部:「・・・接種費用は1回目が3600円、2回目が2550円となっています」
    会員:「新型ワクチンは季節性より原価が高いという話もありますが、卸価格は幾らなんですか?」
    幹部:「現時点では公表されていません」
    会員:「そんなアホな。新型ワクチンは全量が国の買い取りで、なおかつ全国一律の接種価格にしているのだから判っているはずだ」
    幹部:「そう言われても現時点では公表されていません」
    会員:「おかしいではありませんか、卸価格も判明していないのに接種価格がなぜ決定されるんだ」
    幹部:「では、次の質問をどうぞ」
前大臣からのオールジャポンのスピリットは新大臣にも脈々と受け継がれ、医療機関も国民も振り回されるのでありました。今日もまた問合せ電話がジャンジャン鳴り響いています。