病中テレビ雑感

本当はと言うほどのことはないのですが、順番的には昨日と今日は逆です。病中に徒然でテレビを見ていたときに感じた事です。普段はほとんど見ないのですが、休診した日はさすがに時間があり、ちょこっと見てました。子供が見ているののお付き合い程度ですけどね。疲れていたので時間は長くないのですが、そのときに感じた事です。

まずですが、ハリー・ポッターの映画です。プライムタイムの特別企画みたいな感じでしたが、見ていてどうも違和感がありました。映画自体は悪くなかったのですが、CMがどうにも違和感があったのです。最初は気がつかなかったのですが、途中からやっとわかりました。スポットCMがパチンコメーカーが半分ぐらい占めているのです。

今さらパチンコメーカーのCMだからと言っても周回遅れなんですが、ハリー・ポッターはある程度の子供も見る事が期待されている番組かと思います。だから放映時間も繰り上げてあると思うのですが、そこにパチンコの取り合わせはやはり変です。教育的配慮なんて大層な事は言っても始まらないにしろ、良識として出来れば避けるべきのような気がします。

それぐらいはテレビ局も分かっているとは思っています。人気映画をプライムタイムに特別枠で放映すれば、従来ならスポットCMは引く手数多だったはずです。希望が多ければテレビ局もそこから選ぶ時に「教育的配慮」もできるんでしょうが、余ほど売れなかったと考えるのが妥当でしょう。テレビ局は視聴率競争に明け暮れているとされますが、真の目的は視聴率を上げることではなく、CMスペースとして売る事にあります。いくら視聴率が良くてもCMが売れないと商売になりません。人気映画とプライム枠の組み合わせでも、今やパチンコに頼らないとCMが埋められないのかと感じてしまいした。

次に鳥人間コンテスト中止のお知らせです。これはネットで見たのですが、理由は「制作費が不足」です。あの番組も根強い人気があったはずです。個人的には私も好きで、かなり初期から見ています。これも表向きは「制作費の不足」ですが、裏を返せば集められるCM料が制作費に足りないという事になります。番組的にはスポンサーの好感度が上りそうなものですが、それでもCMが売れないという事のようです。つまりパチンコに頼っても鳥人間は製作不可能になったと言うことです。

鳥人間がスポンサー不足で成立しなくなったのなら、私の嫌いな24時間テレビはどうなるかに興味が湧きます。あの番組のメインスポンサーはどこだったっけ?どこであっても業績は苦しくなっていますから、成立するほどスポンサーが集まるかになります。24時間テレビがパチンコ・メーカーがゾロゾロでもやるのかなってところです。

それとパチンコ・メーカーがスポンサーの主体になれば、今度はパチンコ・アピール番組が出てくるのは自然の流れと思います。スポンサーの意向は絶対ですし、今や数少ない有力スポンサーです。そうなれば登場する番組はパチプロ王決定戦みたいな企画が有力になります。この路線のおもしろいところは、視聴率がそれほど上がらなくともスポンサーは続く可能性が強くなります。本業のCMみたいなものですから、ある程度度外視するでしょうし、視聴率が下がれば下がったで、番組打ち切りよりもスポンサー料を下げる路線になりそうです。プライムタイムにパチンコ番組が並ぶのは壮観でしょうね。

テレビ局の収支決算はどこも厳しく、キー局でも赤字ないし大幅減益と聞きますが、今年はさらに悪化しそうな事を実感した次第です。


もう一つ感じたのは番組の多様性の喪失です。人気が出そうな路線に偏るのはテレビの宿命ですが、今はかなり異常な状態の様な気がします。どんな斬新な企画であっても全員がマネをすれば飽きられるのは早いものです。飽きられかけた時に新しい企画で次の時代を切り開くのがテレビの活力だと思っていますが、そのためには多様性が必要です。

現時点の主流路線に対し、反主流、非主流の番組が存在し、主流が飽きられかけた時に取って代わる構図です。それがどうにも枯渇している印象があります。非主流、反主流の番組は当然ハズレも多く、ある程度は先行投資とか、流行のアンテナ的な性格があるのですが、そういう余裕がテレビ全体から失われている印象です。そのために「手堅く」現在の主流路線にそって番組を制作する保守化です。冒険する余裕がなくなったと言っても良いかと思います。

現在の主流である「なんでもバラエティ化」の先鞭をつけたのはフジかと考えています。今ではウンザリの感じですが、当時は非常に斬新な路線でした。お堅いはずのニュースまで笑いが入るのは素直に楽しめたのは嘘ではありません。ただこれは他の局の番組が「お堅い」があってこそ対比で面白かったわけで、全部がそうなれば当たり前になります。

バラエティとはお笑いであり、お笑いとはおふざけは回避できません。お堅い路線にエッセンスとしてお笑いが入るのは楽しめますが、その部分が肥大すれば悪ふざけになります。ただバラエティ化路線内の競争となれば悪ふざけ路線の肥大しか選択枝はなくなります。本来なら路線転換で新たな興味や関心を引く路線に転換しなければならないはずですが、番組制作の保守化が蔓延すれば従来路線の過剰性の上乗せしか進む方向がないというわけです。

お笑いの基本は「アホを笑う」ですが、これも過当競争の結果、中学生レベルの「アホを笑う」になっています。行き着くところは必然ですが、実はもう限界で次の小学生レベルの「アホを笑う」が成立するかどうかは極めて疑問です。それでも番組制作の保守化はそこに突き進む事になります。去年流行したグループが「羞恥心」だそうですが、これがさらに進めば行き着くところは「白痴」とか「認知障害」になりますが、そこまで進めるかと言うことです。


当たり前すぎる事を実際に見て確認しただけですが、この大不況下でも元気そうな産業といえば、パチンコもそうですが、葬儀屋、仏壇屋も高齢化が進むと元気そうです。そうなると葬儀屋、仏壇屋も有力スポンサーとしてこれから主役になってくるかもしれません。宗教法人も出てきてもおかしくありません。どんなテレビになるかワクワクする思いです。