あるコメントから

(´・ω・`)のNEWS日記様のコメント欄で見かけたものです。「今さら」と感じられる方も少なくないと思いますが、個人的におもしろかったので紹介させて頂きます。ちょっと長めですが、全文引用します。

    ワタシも、マスコミのシゴトしてるくせに
    こんなコトいうのは なんですが……

    マスコミは、おかしいです。

    ……っていうか、何でも、おもしろおかしく
    取り上げすぎ!!!

    その、裏事情としては、民放の場合は、
    スポンサー様という存在があって、
    視聴率をとらないといけない。
    だから、視聴者にチャンネルを変えさせない
    表現方法を使って、CMに持ち込むのです。

    何か、最近、ニュースも『ワイドショー』のノリで
    報道しているカンジがしてなりません。

    ワタシは報道系のシゴトをしたことがないので
    どういう基準で報道するニュースを決めるのかは
    よく、わかりませんが、
    以前、テレビ局内でシゴトをしていた時、
    報道フロアーが近くにあって、そこでは、
    通信社から、『こういう事故が起きました』とか
    現状をわかる範囲で淡々とお知らせする
    コールみたいのが流れていました。

    ただ、そのニュースをどのような視点で報道するのかは
    それぞれの局のニュースデスク(ニュースを選ぶエライ人)や
    現場の記者の視点や『伝えることの力量』によって
    すごく変わると思います。

    あんまり大きい声では言えませんが、
    ニュース番組の『特集コーナー』では、
    ヤラセもよくあります。
    それがイヤで、プロデューサーとケンカして
    この業界を去っていく、
    正義に燃えた若手ディレクターがいるのも真実。

    ここで言っていいのかわかりませんが、
    テレビのニュースを見る皆さんに言いたい!!!

    ニュースで報道されている内容を
    そのまま、鵜呑みにしないで下さい。

    ニュースを見たら、客観的に、冷静に
    起きた事実だけを見つめて下さい。
    そして、真実だけを自分で感じ取って下さい。

    マスコミに翻弄されない、
    カシコイ視聴者様であってほしいし、
    報道がおかしいと思ったら、
    ……テレビ局に速攻電話して下さい (´・ω・`)むきゅっ。

    投稿者 まあ

まずはこのコメンテーター氏が本当にテレビ業界関係者かどうかです。コメント内容から判断するしかありませんが、本当にそうだの可能性は高そうだと感じています。まず業界関係者でないと書けない様な内容が含まれています。業界関係者以外では絶対知らない秘密ではありませんが、

    以前、テレビ局内でシゴトをしていた時、
    報道フロアーが近くにあって、そこでは、
    通信社から、『こういう事故が起きました』とか
    現状をわかる範囲で淡々とお知らせする
    コールみたいのが流れていました。

こういう事はそうそう知られている事ではありません。また冒頭部と終末部で軽く笑いを取ろうとしていますが、内容自体は至って真面目な話で、妙な煽りとか、事実を誇張しようとする気配がありません。若手ディレクターのエピソードも話の信憑性を高めるためにかなり淡々と記述されています。さらに文章全体が要点を簡潔かつ要領よくまとめてあります。こういう表現はある程度のトレーニングが無いとできないものです。

もっとも書かれている事自体は、今でもある程度のインパクトがある方もおられるかもしれませんが、既に多く人にとって公然の秘密とあからさまな事実の中間ぐらいに位置しています。そんなに驚くほどの事が書かれているわけではありませんが、あえて取り上げたのは、個人的に最後の一節に引かれたからです。

    報道がおかしいと思ったら、
    ……テレビ局に速攻電話して下さい (´・ω・`)むきゅっ。

番組内容に違和感が強ければテレビ局に抗議するというのは昔から行なわれていた手法です。あまりにも一般的過ぎて、そんな事をしても「暖簾に腕押し」だとか「蛙の面に小便」ではないかと考える節はあります。しかしテレビ業界人にとって相当痛い行為である事が推察されます。

テレビ業界人の至上の価値基準はコメントにあるように「視聴率」です。これはもう余りにも有名です。視聴率の増減にテレビ関係者が全神経を尖らせているという表現は過言ではありません。それが故に視聴率さえ確保できれば何しても許されるとまで聞こえてきます。現場でもその風潮が支配的であることは窺えます。

視聴率第一主義の前では抗議電話なんて無視されるかと言えばそうでもないようです。前から不思議ではあったのですが、問題点を多く含む番組が放映された時に、抗議電話がどれだけあったかが相当早い段階で公表され、報道されます。速報と言っても良いかもしれません。視聴率のみが絶対の価値基準であれば、抗議電話などは隠蔽しても差し支えないはずです。公表さえしなければ誰もにも知られないことなんですが、わざわざ公表され報道は大きく取り上げます。

この事はテレビ業界人にとって抗議電話があるという事がいかに重視されているかの証左かと思います。ここから先は推測になりますが、視聴率がCM料の価格設定に決定的な影響力があるとされます。CMは一人でも多くの人に見てもらうことによって価値が決まりますから、当然と言えば当然です。CMはスポンサーが買いますし、スポンサーの意向も直接の商売相手ですからテレビ局としては極めて重視します。

スポンサーが番組を買うときに、第一の目安として視聴率が高く見込まれることは当たり前です。では視聴率が高いだけで必要十分条件かと言えばそうではありません。スポンサーの目的は商品を良いイメージで宣伝する事による販売促進です。視聴率が高くとも世間の反発が高すぎれば、視る人は多くとも宣伝効果において逆効果となります。良いイメージの番組のスポンサーになることによりCM効果が上るという側面があります。

もちろんスポンサーにより目指すイメージは異なるので、型にはまった良質番組しか許さないという許容範囲の狭いものではないでしょうが、スポンサーにとっても番組放映後に抗議電話が殺到するような事態はマイナス評価になるということです。そんな番組のスポンサーになっているという企業イメージの損失は重視されるかと考えます。

つまりスポンサーにとって視聴率は必要条件である一方で、抗議電話も十分条件として重視されている考えられます。私が考える以上に抗議電話はテレビ業界人にとって重視されている可能性があるということです。視聴率と同等かどうかまでは分かりませんが、抗議電話がある一定の数になれば番組制作に強い影響力を及ぼしているんじゃないかと考えられます。

ここから先は完全に憶測の世界になりますが、抗議電話の内容や抗議メイルはスポンサーに直接送付されている可能性も考えます。こういう事はスポンサーにとってCM効果の評価の重大な指標になるからです。少なくともスポンサーサイドが望めば現場の力関係からして、あっても不思議無いことです。抗議を読んだスポンサーサイドの担当者が番組制作者に事情を聴取する事があっても不思議無さそうな気がします。

今回紹介したコメントでは、抗議電話一本が現場の内情として想像以上の影響力を及ぼしている事を示唆しているような気がします。現場の実感として、そういう抗議がドンドン来れば、現場のあまりにもの視聴率第一主義の弊害を改善できる可能性があると訴えている様な気がします。

そんな単純なものでは無いと言う意見も多々あるとは思いますが、テレビ業界が評価として視聴率だけではなく、番組自体の評価を非常に気にしている事が確認できたのは個人的に収穫だと感じました。