どうするうだろ厚労省

中医協資料不正流用疑惑の経緯は7/2エントリーを参照して欲しいのですが、保団連の厚生労働省、不正流用を認める 記事には決定的に近い資料がついに提示されています。7/2エントリーでは目撃者の報告で厚労省の主張する「下書き」バージョンが、公式に配布されて医師会に保管資料として存在している話を書きましたが、さすがは保団連で探し出して公開してくています。ここでもう一度3つの「時間外診察の実態調査に関する調査」ご協力お願い(「お願い」文書)の調査目的を整理してみます。

バージョン 調査目的文 流用の適否
厚労省「正しい」版 今後の診療報酬改定の検討資料とすることを目的に
厚労省「下書き」版 今後の時間外診療のあり方を検討するための基礎資料とする事を目的に ×
みずほ情報総研版 今後の時間外診療体制のあり方を検討するため ×


これはついでですが、調査目的に対してどうするかもお願い文書には明記されています。

バージョン 調査目的に対する約束
厚労省「正しい」版
厚労省「下書き」版
ご記入いただきました調査票については、厳重に取り扱うこととし、上記以外の目的に使用することは一切ありませんので、調査の趣旨をご理解のうえ、ご協力を重ねてお願い申し上げます。
みずほ情報総研 本調査でご回答いただいた情報については取扱いに十分注意し、統計的に処理するとともに、上記目的以外に使用することは一切ございません。


またこの上、厚労省は間の悪い事に保団連のHPと保険医新聞記事に抗議書(怪文書)を厚生労働省保険局医療課の名前で厚労省の封筒に入り、さらに配達証明付で保団連に郵送しています。そこには、

また、貴会が発刊する全国保険医新聞(2008年6月15H号)においては、「別件調査が『5分ルール』の根拠に」(カッコ内は全国保険医新聞記事より引用。本段落において以下同じ。)、「『概ね5分』根拠なし」との表題の下、当省が行った時間外診療に関する実態調査(以下「調査」という。)が「『今後の時間外の診療体制のあり方を検討するため』として」実施されたとし、「これを密かに、外来管理加算の時間要件という全く別の目的に使用したのは、明らかな不正行為であると考えられる。」と述べられています。

 しかし、当省が行った調査については、医療機関に対し調査への協力を依頼する文書において、「今後の診療報酬改定の検討資料とすることを目的に… 実施することとなりました。」とし、平成20年度診療報酬改定における検討で用いることを明確にして実施したものであり、調査の結果を外来管理加算の検討に用いることにっいては、何ら不正使用に当たるものでないことは明らかです。この点において、貴会のホームページの記載や、全国保険医新聞の記事には重大な誤りがあるものです。

そこには自ら「みずほ」バージョンでは不正流用に当たることを明記してしまったのです。この抗議書(怪文書)の意味については様々な憶測がありますが、大きなチョンボで、もし怪文書が厚労省から出されたものと確認されると、この時点で調査書類に同封された厚労省みずほ情報総研の調査目的が全く異なる事が厚労省の手で証明されてしまう事になります。

これだけで必要にして十分なぐらいの厚労省の手続き上の大失態なのですが、さらなる大失態が確認されました。7/2時点では情報段階であった医師会に保管されている「お願い」文書が実は「下書き」バージョンであった事ですが、保団連は抜かりなく確認しています。

文書(D)は平成19年7月17日 日本医師会より調査対象の6府県医師会へ事務連絡され、各郡市医師会へ送られた正式の書類です。調査が実施された某府県医師会および熊本県の複数の某郡市医師会に保存されていました。

ついに第二の大失態の証拠が確認された事になります。ここで残念なのは各医療機関に調査書類とともに配布された「お願い」文書が一通しか確認されていない事です。これは大阪保険医協会に保管されており、これに関しては「正しい」バージョンで会った事が判明しています。Seisan様の発掘調査を期待していますし、調査の対象になった6府県の医療機関で奇特にも保管されておられる方がおられれば、情報頂ければ幸いです。文書の性格からして、急病診療所あたりなら保管している可能性があると思うのですが難しいところです。

  1. 調査書類に調査目的が異なる2種類の正式の「お願い」文書を同封して送付した事
  2. 日医に「下書き」バージョンの「お願い」文書を送付した事

この二つが証拠付で確認されましたので、事実関係は既に「詰んでいます」。ここで保団連に期待したいのは怪文書の正体の確認です。怪文書についての質問状に対しても厚労省は沈黙を守っています。沈黙を守ると言うより返答しようが無い状態と考えられます。そこでですが、
  1. 電話ででも厚労省に「出したのは、厚生労働省保険局医療課で相違ないか」を詰問する。
  2. 認めればそれでOK。
  3. 認めなければ「厚生労働省保険局医療課」の名を借りた悪質ないたずらとして警察に告訴する。
  4. 幸か不幸か配達証明付なので差出人は特定できる。
予定していると考えていますが、ここまで手を加えれば証拠関係はバッチリだと思われます。

それにしても、どうするんだろ厚労省。rijin様の説では、今頃、他の資料を使って中医協提出資料と同じ結果が得ようと血眼になっていると推測されています。少々の強弁では「問題ない」と押しきるのはさすがに困難だと思われ、問題の調査資料が不正流用ないしその疑惑が濃厚となれば、去年の診療報酬改定の「5分ルール」が根拠の無い資料に基づいて作成された事になり、これは大問題になります。そのためには後付でも他の資料で作成できる事を証明しておく必要があります。

そこは官僚の事ですから、無からでもなんとか捻り出すと考えられますが、それでも今回の大失態の責任問題は逃れる事は難しいと思われます。それにしてもこうなると、あの怪文書は大失敗でしたね。あれさえ無ければ日医の「お願い」文書の発掘まで事は拡がらなかったかもしれませんし、もっと言えばその前に情報開示で「お願い」文書を誤らなければ、もっと火の手は小さく済んだのにです。どこかに意図的な操作が仕組まれていたのか、それとも単純ミスの積み重ねなのかは、これはただ憶測の世界のみです。

最後にssd様のコメントを紹介しておきます。

いや、具体的な実行犯の左遷くらいは必要なんじゃないですか。

間違いは許してあげてもいいけど、嘘つきは許してはいけません。

今回のssd様は優しいな。