WEBの力

福島の産婦人科医逮捕事件で見直したのはWEBの力です。WEBがあれほどの力を発揮する段階まで進化しているとは驚きです。ネット社会の到来なんて言葉を見たのはそんなに前とは思えないのですが、まさに世の中の進歩は早いものです。

WEBが力を持ち始めているのはなんとなく体感的には感じてはいました。それでも現段階のWEBの力はふわふわっとしたガスのようなもので、気配とか匂いの様なものはあっても実体化して威力を発揮するには、何か新しい触媒が入って、これを結晶化する化学反応が必要と感じていました。なんと言ってもWEBの特徴は良い意味でも、悪い意味でも匿名性であり、匿名性であるが故に本音を赤裸々に吐露できるところと、いくら激しく意見を主張し、これに多数の賛同者が現れても、ネット上の仮想空間だけの物であり、これが実社会に影響力を具体的に及ぼすには壁が一つあると思っていたのです。どうもそういう壁が崩れかけているみたいです。

今回の事件で多くの医者が切実に要求しているものの一つに、専門家による公平な第三者審査機関です。私も直感的に「必要」であると考えましたが、具体的にとなると難題山積です。誰が作り、どんな権限を持たせ、誰がどういう人選をするかのどれ一つも、誰もが納得のいく方法が思い浮かばないのです。なんとなく作れと主張するのは容易なんですが、主張するからにはもう少しでも具体的な内容が必要ですからね。

いろいろ考えてはみたのですが、あんまり難しいから棚上げのしておいたのですが、ヒョイとうまい案が浮かびました。こういう物を作る時には上から作るか、下から作るのかの二つの方法があるはずなんですが、私は上から作る方法ばかりを考えていて行き詰ってしまったのですが、下から作っても良いじゃないかと言うことです。

今回の事件で医者があれだけ積極的に動いたのは下からの動きです。決して学会や医師会のような上から主導の動きではありません。最前線の医師の現場からの悲鳴が結晶して一つの力になったのです。であるならば、こういう動きをもう少しだけ組織化したらどうなんだろうかと。

今回のような事例が起こったとき、出来るだけ多数の現場医師が意見を出し、論議し、医師としての見解をまとめ発表するWEB組織です。強いて名づけるならWEB医会とでもなるんでしょうか。もちろん公式のものではありませんから、発表したからといって法的な拘束力はありませんが、現場の多数の医師の意見として一定の影響力はあるとは考えます。そういうものをコアとして作って、そこから活動の輪を広げていって、発展的に第三者審査機関として確立させていけば、筋道として可能ではないかと考えます。

てな事を昨日の夜から考えていたのですが、そういえば近い印象のものにm3.comがあった事を思い出しました。今回の事件があるまで私もその存在さえ知らなかったのですが、噂ではなかなかの活動をしているという話です。そういう訳で、実態を見なければならないと思っているのですが、ようやく認証されました。しばらくゆっくり目を通してみます。